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2002年10月15日(火)
Parco Trial Series Vol.1『ダブル・スタンダード』(1日目)

Parco Trial Series Vol.1『ダブル・スタンダード』@PARCO劇場


馴染みの浅い戯曲・短編を上演しにくい劇場事情の中、2日間だけでも機会を作ってくれたPARCO劇場に感謝!以下ネタバレしてます。


『おーい、救けてくれ!』演出:鈴木裕美

「人間は誰でもひとりぼっちだよ!それにつける薬なんてありゃしない」

W.サローヤンの短編戯曲。30分との話だったが、実際には1時間弱の上演。初見。

投獄されたひとりの男が、牢屋の世話係をしている少女を騙して何とか脱獄しようとする。最初は警戒していた少女も少しずつ心を許しはじめ、家に置いてあるピストルをとりに帰る。そこへ、男が投獄された原因となった女の夫が現れる。
男は何故投獄されたのか。夫は何故妻のしたことを隠そうとするのか。少女はどうしてこの小さな町を出ることが出来ないのか。
結果男は夫に射殺され、少女も取り残される。序盤「おーい!」と叫んでいた男のように、ひとり「おーい」と呟く。

裕美さんのダークな部分を初めてはっきりと目にした気がする。しかし…裕美さんなら絶対に希望を残すだろうなと思ったんだが…今回はその希望が、軽く息を吹けばすぐに消えてしまいそうな、ちいさなちいさなロウソクの炎のようになっていた。いや、それでも希望を残したってとこが彼女らしいのだろうか。まだ判断がつかない。あと1回観るのでもうちょっと考える。保留。
いくらでも深読みが出来る面白い話だ。テキストを探してみよう。
ムラジュンはやっぱりいいな。舞台仕事も増やしてほしい。西尾さんの少女らしさは良かったが、滑舌に難があり、台詞が聞き取りにくかったのが残念。石橋祐さん、秋山菜津子さん、藤本浩二さんを予定外で観られたのはラッキーだった。皆この2日の為に集まってくれたのね(涙)


『動物園物語』演出:鈴木勝秀

「人間はなぜ愛なんて言葉を発明したんだろう?」

E.オールビーの初期の代表短編。短編であるにも関わらず、この10年で結構上演されている。これは買い被りでも何でもなく、ザズゥシアター『ウェアハウス』の影響が大きいと思う。田中哲司さんは『ウェアハウス』にも出演、朗読も含め、以前演じたことがある。以下箇条書き。今回の翻訳・上演脚本はスズカツさん本人。

・こんなに笑えるとは…
・このハコであれだけフリースペース遊びをしてくれると面白い反面席によって観づらい。やはり2回しか観られないのは勿体ない
・ピーターとジェリーと言う名前の設定をなくしていた。お互いは、名前も知らないまま別れる
・『おーい、〜』とのバランスをとったのかも知れないが、結構カットされており、話の構成も前後が入れ代わっている部分もあった
・戯曲の性質、登場人物の少なさからしてこのハコでは難しいのではと思っていたが、やはり役者の力は偉大
・「舞台は、想像力さえあれば何でも出来る」と言う演出家の有言実行
・言葉の繰り返しは子供にウケる。小さいコがすごく笑っていた(それ以外はきちんとおとなしくしていたけど、この芝居トラウマにならなかっただろうか…)
・ラストは普遍だと思っていたが、こう構成しなおす程今の時代は絶望的と言うことか


さて明日はどうだろう。