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2002年02月27日(水)
リンチのあたまはどうかしている

『マルホランド・ドライブ』@シネマスクエアとうきゅう


リンチの国へようこそ。おはなしは説明のしようがありませんよ。だってリンチの国のおはなしだから。とは言ってもリンチの国への入り口は、普通過ぎる程普通で、気付いたら迷い込んでいる感じ。どこから国境?みたいな。

ブルネットの女を乗せた車が夜の道を走っている。どこへ向かっているのかはわからない。その車が交通事故に遭う。頭を打った女は車からぬけ出し、眼下の街の灯りを眺め、道を降りて行く。辿り着いた家にはブロンドの女。女優志願で、カナダのオンタリオからハリウッドへ出てきたばかり。オーディションを控えている緊張と、夢の都へ出てきた嬉しさからちょっと興奮状態。ブルネットは記憶を失っており、基本的にとてもいいコのブロンドは「映画みたいだわ」とブルネットの素性探りに力を貸す事にする。

その頃(つっても時間軸もどうなってんだか…)映画監督アダムは自分の作品の主演女優の変更を迫られる。いやだよそんなんと言って家に帰ると妻は浮気中、口座を凍結され破産宣告。" This is the girl. " な女優を探さねばならなくなる。

ブルネットの女は何者なのか。" This is the girl. " は誰なのか。って方向へ進むと思うでしょう。そうじゃないんだなー(笑)。いや一応その話も進んでいくんだけど、時間が進むにつれ疑問は増える一方ですよ。

ブロンド(ナオミ・ワッツ)とブルネット(ローラ・エレナ・ヘリング)がすっごい美しくてねー。前、後の変化が凄くてねー(何の前と後かはまあいろいろあるので割愛)。ブロンドなんて、前と後とでは歯並び迄違って見えた。実際なにか被せたり入れたりいじったのかな。ブルネットも、前ではボイーンバイーンだったのに後ではスレンダ〜に。リンチの国のひとは体型も顔も自由自在です。ベッドシーンも美しく、涙も美しく。その分“後”の変化が怖いんだよねー。

アダム(ジャスティン・セロウ)の眉毛がつながっているのが気になって気になって。でも眼鏡のフレームが太くて実際つながってるとこは見えないのね。でも眉間から眉毛が思いっきりはみだしてんのね。眼鏡とってくれないかなあと思うのね。でも絶対とらないのね。それはリンチの国のひとだから!オーディションで唄っている「あなたを好きな16の理由」で、8つ理由を唄った後でシーンを変えちゃうのも気になるね!「これで丁度半分ね♪」とか唄ってるしね!残り8つを教えてくれ!(いや字幕にならなかっただけかも知れないが。でも音も小さくなってるし!)でも絶対教えてくれないのね。それはリンチの国のひとだから!も〜う気になるね!目も耳も釘付けだね!そこが本題じゃないだろう!本題とは関係なしに気になる箇所は毎度の如く。小人さんとか。赤いカーテンとか。エスプレッソとか。ゲラゲラ笑うジジババとか。ひとの態度がデカいと説教するカウボーイとか(お前がいちばん態度デカいっちゅうねん)。

でもワケわかんないふりして実は誠実に作ってる気がする。ひょっとして家に帰ってじっくり組み立て直せば、ひょっとして話もつながってるんじゃないか?とか一瞬思ったり。つながんないんだけど。誠実さ、丁寧さを感じるなあ。実はリンチってすごい真面目なひとなんじゃないかな…。その真面目さがどっちの方向へ向かってるかってのも考えると怖いですけど。エンドロールが上がってきた瞬間の、客席の「はぁ〜」と言うタメイキとざわつきはすごいもんがありました。皆一斉に息をついたと言うか。ああ、むちゃむちゃ面白かった。パンフレットもすごいかわいくて内容充実。勿論滝本誠さんのテキストも掲載ですよ!

終映後、一緒に行ったTさんとリンチ→ロビン(NIN→ガンズ)→トゥィギー(マリマン)の話でひとしきり盛り上がった後、日曜日にタトゥーを入れてきたと言うので見せて貰う。左の上腕にトライバル柄。丁度かさぶたが出来始めた頃で、まだまだ痛いそうだが綺麗に入っていて格好いい。オリジナルの一点ものしかやらないお店で入れたそうで、柄の打ち合わせから彫り終わるまで4〜5時間くらいかかったとか。彫っている間、お店のひとに聞いたいろんなお客の話を教えて貰う。うわ〜すごいわ(笑)お店のひとも大変だね…(苦笑)。

やっぱ筋肉があるとタトゥーも映えるので「もっと鍛えるわ!」と言っていた。いやあなた充分鍛えてると思います(笑)。もう次も入れたいそうで、「次に会った時には増えてるかもよ」と言っていた。楽しみにしてるわん。あ〜平日だと喋り足りないね。