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2001年12月22日(土)
スカッとさわやか、なのに虚しい人殺し

『殺し屋1』@シアターイメージフォーラム

「『殺し屋1』、面白いよねー」。

このひとことを言う相手は選ばないといけない。なかなかね、いろいろとね(笑)。実は愛読しておりまして…『のぞき屋』(“新”が付く前から)も好きでして…と言いつつ作者が同一人物と知ったのはつい最近。何故気付かない自分。

そんな訳でこっそり読んでおりました『殺し屋1』。1年程前に映画化されるとの話を聞いて、しかも垣原役に浅野忠信くん!マジですか!?ここらへんから冒頭の言葉は「今度浅野くんがやる映画、面白そうだよねー、原作も面白いんだよー」と微妙に変更、話も振りやすくなると言うもの(笑)そんな感じで初日、友人をだまくらかして連れて行く。でもそのコはNINの発禁ビデオを観ても大丈夫なので…と一応人選にも気を遣ってみました(笑)。そして一応観るまえに「キッツイ描写があるからね!」と言っておくなどの配慮(どこが配慮だか)もしてみたり。

舞台挨拶迄観てやろうと言う、いつも混み混みの映画館には足が遠い自分にしてこの意気込み。イメージフォーラムへ着くと凄いひとだかり。当日券も若干出すとは言っていたけど、入れなかったひとも沢山いただろうな。整理券を確保しておいて良かった。

友人とペアチケットを分けて手に持ち列に並んでいると、「そのチケット、なんですか!?」といきなり男の子に話しかけられる。通常のチケットとは違い、ペアチケットは原作のイチと垣原がチューしていて、引き離すのは何となく可哀相(笑)なもの。「え!?そんなのあったんですか!いいなあ!俺は原作のファンなんですよ!(そばにいた連れの女の子を指して)コイツみたいに俳優が好きで〜なんてのじゃないんですよう!」と熱く語られてしまい、動揺しつつも「楽しみですね〜」と言葉を交わす。客層は浅野くんファンの女の子と原作、三池監督ファンの男の子に分かれる感じなのかな。立ち見あり、通路もびっしりで「これじゃあ気持ち悪くなっても出られないね」と友人。ごめんなさいごめんなさい…。

舞台挨拶には三池崇史監督、原作者の山本英夫さん、浅野くん、大森南朋くん、SABUさんの5人が出席。司会は映画評論家の塩田時敏さんでした(たまたま客で来たらいきなりやらされるハメになったらしい(笑))。

三池監督「(入場時の観客の歓声と拍手を聞いて)その元気が2時間後には10分の1になっているでしょうが、楽しんで帰ってください。今日はゲロ袋は準備されていませんが、吐いたら映画館のひとが掃除してくれるから大丈夫。上映の条件に『掃除する』ってのを入れたから」
浅野くん「カナダの映画祭の時にはじめて監督と会ったんですけど、その頃にこれのお話頂いてて。映画祭に出品されていた『漂流街』を観て、『これは一緒にやってみたい!』と思いました。特殊メイクとか大変でしたけど、楽しかったです」
大森くん「現場はとても楽しかったです。きつい場面もあると思いますが、目を反らさずに是非観てください」
などなどのコメント。

全員実物を見るのは初めてだったのだけど、皆さん予想より大柄でビックリした 。特にSABUさん、モデルばりにスタイルいい。脚長ー!腰の位置高ー!山本さんも描いてるものからは想像し難いイケメンだしね…。それにしても大森くんがかわいくて!監督に「愛くるしい」って言われるだけあるね!その反面声が低音で格好よくて、かなり骨抜きにされました。先に実物を見てしまったので「こ、このひとがあのイチを…」と心臓ばくばく。皆さんシャイなのか、自分が喋っていない時は下を向きっぱなし。大森くんは塩田さんに持たされた自分のフィギュアをいじくりまわしたり、隣のSABUさんとずーっとこそこそ話していたり。何喋ってたんだろう?山本さん浅野くん大森くんは揃ってニットキャップ被ってて、頭丸くてかわいらしかった。

本編はと言うと、スカッとさわやかバイオレンス!凄すぎて笑ってもうた。目を反らす事はなく、むしろあまりの躊躇なしシーンの連続に目が釘付け。こんな凄い画を見逃す手はない!と思えてしまうんだよね。現場の圧倒的なパワーみたいなもんが目を反らす間を与えない感じ。途中何人か席を立つひとはやっぱりいましたが、笑いも随所に出てました。特にジジイの筋肉ムキムキシーンはもう場内大爆笑。ここは素直に笑ったな〜。何故ビキニ!何故ポーズをとる!何その得意げな顔!(大笑)二郎の「何なの、これどうなりたいの」て台詞にも吹き出しちゃった。

でも血と涙と鼻水と精液にまみれてうえ〜んと泣いてるイチからは、ひと殺しの徒労感が滲み出ていて悲しくなった。子供の様なウルウルの瞳で「殺すのよくないよ」って、そりゃ正論じゃー!でも自分をコントロール出来ないのよね、切ないねー。

塚本晋也氏がジジイ役を怪演。イチをはじめ登場人物を将棋の駒のように(そういや将棋してるシーンあったな)コントロールするジジイって裏の主役じゃん。このひとの軟眼、と言うのかなんて言うのか、あのどろ〜んとしてるのに何かを見透かしているかの様な目が最高に気持ち悪くてよかったな。ああこれじゃますます役者で引っ張りだこになってしまうかも。監督作品もお願いしますよ!『六月の蛇』楽しみにしてますよ!

いちばんまとも=心情を理解しやすい人物は、SABUさん演じた金子とその息子タケシなんだけど、このふたりをイチが殺してしまうのは必然だろう。賛否両論らしいこの“子供殺し”はストーリー上、是だと思う。子供だろうが大人だろうが、人間死ぬように出来てんだから。そこに倫理観なんてものはない。偽善ぶって入れ込む事じゃないだろう?ましてや相手はイチなのだし。

画ヅラにもスピード感とノイズ感が満載!タイトルロール、エンドロールも格好よくて、全編見入ってしまった。ボアダムスのメンバーが手掛けた音楽もすっごかったー。映画と原作は別物と考えているものの、これは原作好きからしても充分楽しめた。あんだけやってくれちゃったらねえ。ビバ三池監督!

あーこれでCutに連載されていた『「殺し屋1」日記』が読めるよー!とHMVに行ってバックナンバー一気読み。大森くん右利きだけど、踵落としは左でって条件があったんだね。大変だったろうねー。寺島さんもさぞや大変だったろうね…(黙)

友人も面白かったと言ってくれてホッとする。ありがとうありがとう!うーん、また観たいな。今度は、映画の舞台歌舞伎町のド真ん中、新宿ジョイシネマで観たいなー。

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『STRUCTURE』@EX'REALM

イチ終了後原宿へ移動、大森くんがモデルを努めたエキシビションへ。あのヘタレなイチがステキ!ステキ!相手の女の子モデルをサーブする仕種が自然にサマになっていて、格好よくってもう大変。役者っておそろしい。