Movin'on without you
mako



 永遠の記憶をください。

ほんとうにたいせつなものなんて
せかいにいっこでいい。




今の、恋人のほうが
大切になったと思ってた。


それまでずっといかせんが、
あたしの中では「せかいいち」で
なんでそうなのかよくわかんなかったけど
べつに愛されてるわけでもないのに。
いかせんにとって、あたしは
べつにこの世に無くてもいい存在なのに。
なんかよくわかんなかったけど
そういうのって理屈じゃないんだろうなって
漠然と、思ってたし。


愛し愛され、大切な人から大切に想われる。
そういう気持ちを教えてくれたのが今の恋人。
何より安心感をくれてのは、今の恋人。
だから、とても大切だった。
もう、いかせんにも負けないと思ってた。
いかせんより、大切だって思ってた。


だけど
あたしはそう思い込んでいただけで
だってあたしの中で
いかせんと、今の恋人と
両天秤にかけなきゃいけない、っていう事態は
一生訪れないから、だからわかんなかっただけで


そんな事態はやっぱり訪れないままだけど
でも、わかってしまった。
あたしは世界一にはできない。
あたしの恋人が、あたしを世界一に思ってくれているのに
あたしは彼を「せかいいち」にはできないんだと。

ほんとはせかいいちにしたいのに。










目を閉じると、まだ思い出せる。

あなたがあたしの名前を呼ぶ声とか、
あたしを触るときの手の感触とか
すこしざらついた背中とか
あなたと過ごした、部屋の照明の色とか。


でももう抜け落ちた記憶もあって
まだいっしゅうかんも経っていないのに

たとえば、部屋で流れてた音楽とか
あなたの言った台詞のひとつひとつとか
あなたの、キスの味とか。


そういうふうに忘れていくことが、
今のあたしには、いちばんせつない。





この記憶を留めておけたら
他に何も望まないと言ったら

この記憶が永遠になるわけもなく。




それでも、あのひのおもいでを、
あたしがわすれていく速さが

あなたがそれを忘れる速さの1000倍くらい遅いのかと
考えるのも虚しくて。




あのひとの記憶の中に
どうか、ほんのすこしだけ

あの日の記憶と
あたしの想い出を
残してください。


それ以外何も望まないといっても
それが叶えられるわけもないけど。




2004年02月22日(日)
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