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■ 苦しい。苦しい。苦しい。
苦しい。
あのひとは奥さんのことを 「嫁さん」って呼ぶ。
すごく綺麗なひと。そして我儘なひと。 気が強くて、あたしに会うと笑顔で手を振ってくれた。 結婚する前からずっと その、綺麗なひとのことを あのひとは、「嫁さん」って呼ぶ。
「お前が彼氏を愛してるように 俺は、嫁さんを愛してるから」
初めて、あたしに言ったね。 嫁さんを愛してるって。 あの綺麗なひとのこと、愛してるって。
でも違うよ、いかせん。 あたしは彼氏を愛してるわけじゃない。 大切だけど、ただ大切なだけの そんな生半可な気持ちを愛とは呼びたくないの。
あたしが愛してるのはいかせん。 そんなの愛じゃないからってあなたが言ったとしても でも、あたしの中でこれは愛なの。 歪んでても、何も知らなくても。 あたしが決めたから、たった今から愛なの。
だってあたしは、 裏切られつづけても どんなに傷つけられても たとえあたしがあたしであるということ、 そんな尊厳すら踏みにじられたって
きっといかせんから離れられない。 それをもう知ってる。
もしね、例えば、あくまでたとえの話で。 今、誰かを殺めようとする姿を見たとしたら
今の彼氏なら、命懸けでも止める。 絶対やめさせる。どんな手をつかってでも。 それは今の彼氏がとても大切だから。
けど、いかせんだったら あたし、何も言わずにたぶんついてく。 それでも、ずっと好きなんだ。きっと。 あの人があの人であることも それが残酷な結末の原因であることも ぜんぶまとめてあたしは心底惚れてて それだって、ある意味大切なんだと思う。
もうそんな言葉自体、どうでもいいんだけど。 言葉なんてほんとうは要らないと思ってるんだけど。
初めて会った6年前の秋。
あたしは、それからずっとずっとずっと 心のどこかでいかせんを見てた。
誰かと恋をし、別れ、 誰かと体を重ね、時には誰かの愛する人を奪い 繰り返される毎日の中で それでもいかせんを忘れたことだけはなかった。
惰性なのかもしれないけど それでもやっぱり 恋とか愛とかそんなんじゃないのかもしれないけど
だいすきでだいすきで、死ぬほど好きで、それだけはわかる。
このひとと一緒に死ねたら、何も要らないと思う。 でも、あたしの命を捨ててでも生きていてほしいと思う。
死んだら永遠になれるのかな。 生きていても永遠はあると思うけど。
こんな苦しさ、今まで知らなかった。 ただ体を重ねただけなのに
相手がいかせんだとこうも苦しくなるなんて。 もういちど触れたくてたまらなくなるなんて。
苦しいってば。
2004年02月21日(土)
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