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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2003年09月27日(土)
甲子園が近づいてきた


 もう4冊目になる東山スクラップ。もちろん東山の記事だけを集めているのだが、たった1枚だけ東山以外の記事が貼ってある。1冊目の終わりの方。その記事の主人公は、南京都高校のエース。名前は斉藤和己という。

 1995年、南京都高校3年生だった彼は、すでにドラフト候補選手で、地元でもかなり注目されていた。彼は甲子園に出ていない。京都大会準々決勝で、東山高校に負けた。好ゲームになるという前評判だったが、東山は速球に滅法強いチームだった(余談だが当時私は、「すっごい大接戦かコールドで、東山が勝つ」と言っていた)。スコアは0−10。5回コールド。スクラップされてるのは、そのときの記事だ。記事はこう締めくくられている。『「甲子園は遠いなとつくづく思った」。つぶやきが耳に残った』

 なぜこれをスクラップしてあるのか、自分でもわからない。次の日、東山は京都成章高校に完封負けした。ピッチャーは小谷という2年生で、タイプ的には彼とは正反対。緩急をつけた投球を続けた。東山にとっても、結局、甲子園は遠かった。

 ところで、そんな彼を球場以外で見掛けたことがある。

 京阪三条駅は地下にあるのだが、地上に出て、三条大橋を渡ると、左側に鴨川が見える。その河原一帯は、“三条河原”と呼ばれ、近くにある飲屋街木屋町でコンパや飲み会をする学生たちの待ち合わせスポットの定番になっている。彼は、その真正面にある中華料理店の前に友達といたのだ。最初は人混みのせいもありわからなかった。でも、こんな声が聞こえてきたのだ。「こいつー。斉藤和己ぃー。南京都のエースやってん。プロに行くねんで〜」

 斉藤和己…?
 喧噪の中、なぜその声だけがはっきり聞こえてきたかはわからない。周りを見渡したが、振り返る人はいなかったが、私は声が振り返り、高校らしき男の子を捜した。すぐ見つかった。3人連れ。2人は、“君ら、大丈夫?”系だったが、彼はいたって普通の格好をしていた。なんで彼と他の2人がツレなのか、わからない。彼は真ん中で長身を折り曲げるようにして恥ずかしそうな、困ったような感じでうつむいていた。

 秋になり、彼はドラフトで指名され、ダイエーに入団した。もう7年が経った。あのとき背中を丸めてうつむいていた少年は、いまや20勝に手が届く第一線級の投手になった。チームはマジック1。明日にでも優勝が決まる。日本シリーズでの対戦相手は、すでに決まっている。阪神タイガース。本拠地の球場名は、言うまでもない。