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| 2003年08月23日(土) ■ |
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| テレビで見れない甲子園 |
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友人・みどりさんに便乗して、甲子園の決勝戦を見に行った。実は、甲子園の決勝戦は初めて。1人で行くまでもないけど、一緒に行く人がいるから行っておこうというわりと軽いノリ。行きしな、地元の金券ショップで、切符を買った。阪神電車の切符は売り切れらしい。「いつもは全然余ってるんだけど、今年はねえ、どこで聞きつけたのかよう売れるんよ」。店のおばちゃんはそう言った。こんなとこにも、タイガース効果?結果、切符を買うため、梅田駅構内で強烈に並ぶ羽目になった。
前日、すみちゃんから「常総スタンドに行くように」という指令が下ったいたが、“白河の関”“ダルビッシュ”“大阪出身”に負けて、一塁側東北高校応援席へ。多くの人が似たようなことを考えていたのか、スタンドは一塁側から早く埋まった。満員の人で、移動もままならない。売り子の姉ちゃんから水を買うのも、お金と水が何人もの人をリレーした。
試合が始まった。さすがここまでくるチーム。安心して見ていられた。それ故に、暑さを感じる余裕までできてしまって、試合展開より、浜風が頬を通り向ける瞬間に敏感になっていた。あの快感よっ。東北の応援席ではあったが、常総サイドにいいプレーにも拍手が出た。私もそうなんだけど、ここにいる人の大半が、どっちかの応援というより、優勝の瞬間をこの目で見たいという気持ちの方が強いんだと思った。ダルビッシュくんの存在感はやっぱりすごかった。単にずばぬけて背が高いということもあるのだが、ダルビッシュくんがマウンドに立ったあと、常総のピッチャーが同じところにいると中学生くらいに見えて、過剰にかわいらしかった。
でも、それより、目がいったのは両チームのキャッチャーだった。いつもはピッチャーばかり注目する私が、なぜかキャッチャーばかり見ていた。乾いた土の上に座って、ピッチャーからのボールを待っている彼らの姿がいとおしかった。わからない、ほんと、なぜかわからないのだけど。東北のキャッチャー・佐藤くんは、以前読者の人に“注目してください”とメールをいただいたのだが、常総の大崎くんはそれこそ生まれて初めて知った選手。大崎くんは、ピッチャーからのボールを待つとき、右手を地面に近い位置に置いていた。その手元が気になって仕方なかった。 試合は、東北が先制し、「これは、白河の関を越えるか?!」と思ったが、その後常総が逆転。2番手・飯島投手が東北の攻撃を見事にシャットアウト。木内監督、恐るべし!今まではブラウン管の向こうだった優勝決定の瞬間の歓喜の輪を生で見た。テレビでは大映りになっているので、感動も迫ってきたのだが、リアルに見ると、視界を占める割合は周りの景色の方が圧倒的に大きいため、何かのパロディーかロケシーンを見ているような感じだった。思い入れの問題かもしれないけど。
ホームベース整列、握手、校歌斉唱、スタンドへの挨拶が滞りなく終わり、優勝監督インタビューが始まった。負けた東北高校の選手や監督もインタビューを受けている。東北の選手は、わりとさばさばしていた印象があったが、ダグアウト前の群れを避けるようにして、1人の選手が両手を膝において、うつむいていた。とくどき、しゃくりあげるような頭の動き。相当落ちこんでいるようだ。背番号は「9」。8回表、常総にダメ押しの4点目が入ったとき、バックスクリーンにある電光掲示板には、「HE9」と示されていた。後逸だったかな?数十メーター離れた三塁側ダグアウト前では、今夏で勇退を表明している常総の木内監督が、こなれた口調で話をしていた。そのあと、選手が涙声で叫ぶように話していた。熱いなと思った。でも、目線を一塁側の背番号「9」に移ると、その温度もすぐに下がった。あそこが赤なら、ここはグレーの混じった青色。そんなことを思った。マスコミも選手もそんな彼の存在を知ってか知らずか、随分長い間彼一人の空間が出来ていた。ずっとキャッチャーを見ていた私だが、彼の存在が初めて気になり、スコアボードで名前を確かめようとした。すると、代打が出たため、名前がなかった。汚名返上も出来なかったということか。側にいた男性が、「あの子、確か2年やんな」と言っていた。それならいいんだけど。いや、いいことないんだけど、まだ救いがある。
優勝インタビューが終わってしばらくしたら、彼はフェンス際に移動した。しゃがみこんでいたように思うが、前方で群がる観客の頭で見えなくなった。もう少し早くくればよかったな。
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