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| 2003年08月01日(金) ■ |
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| ダンディズム |
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「曲が終わるまで動かないでください」 やぶからぼうな店員の声にちょっと戸惑った。今日2つ目の現場、百貨店内にある本屋に行ったときのことだ。どうやら、閉店を告げる音楽らしい。すでに客はいなかった。他のみんなも何のこっちゃわからないながらも、その場にとどまった。ただ、ポジションを変えなければ作業をしてもいいようで、声をかけた女性の店員もレジの中のお金を合わせていた。
どれくらい動きが止まっているのだろうと辺りを見渡すと、斜め向かいの小物売り場の前に白髪の混ざった長身の年輩男性が、背筋をピンとして、立っていた。一ミクロンも動かない雰囲気。やがて、音楽が終わった。レジのお金を合わせていた女性店員も、私たちも、やれやれという感じで各々の作業を始めたのだが、その男性は、誰もいない店内に深々とお辞儀をしたのだ。まるでその場にお客さんがいるかのように。開店直後の百貨店に行くと、店員が丁寧にお辞儀をしてくれるが、それと同じことがここでも繰り返されていた。 なんか、すごくかっこいいなと思った。プロフェッショナルってこういうことでもあるんだな、と。今日一日が終わったことにたいするけじめかもしれない。来ていただいたお客さんに対する感謝の気持ちかもしれない。百貨店の従業員としてのプライドかもしれない。知らないから仕方なかったのだけど、彼の仕事場の聖域を侵してしまって、申し訳なく思った。
人が見ていないところで、礼儀正しく振る舞うことはかっこいいと思う。誰もいないグランドに、一礼して入っていく野球部員はやっぱりかっこいい。いい男になってね。
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