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| 2003年07月13日(日) ■ |
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| 雨の音 |
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ランナー1人を置いて、平安高校の選手の打球は左中間のフェンスを越えた。あまりに唐突なことで、電光掲示板のスコアも『2x』と出すのにしばらく時間がかかった。また、三塁側海洋高校のベンチも戸惑っていた。ただ一塁側平安高校だけは、冷静にコールドゲーム成立を判断し、ベンチから小走りで整列した。
海洋高校ベンチが事態を把握し、ホームベース前に集まった。そして、勝った平安高校の校歌が流れた。その後、両校、スタンドの前に一列に並んで、礼。すると、何事もなかったかのように、場内の人々は移動を始めた。
静かだなと思った。空が暗いからかもしれない。いつもなら見受けるエール交換もなあなあで流れた様子。私は外野フェンスの向こう側にいたのだが、周りの観客も一人二人と球場を後にし始めた。雨の音だけがしずしずと響いていた。小雨の音がこんなに耳につくなんて。
第三試合の中止を聞いて、私も球場を後にした。すると、側にある屋根の下のベンチに負けた海洋高校の部員たちがいた。泥だらけになったユニフォームで呆然とする選手。赤い目でインタビューに答えてる選手。柱に身をあずけ、体育座りのまま、突っ伏せて泣いている選手…。じっと見つめていたいような、目をそむけたいような…。
周りには、側のグランドで草野球に戯れていたユニフォーム姿の男性や、制服を着た女子高生が雨宿りをしている。中は満員御礼。
夏が終わる。高校球児にとって特別なときくらい、彼らだけに切り取られた空間をあげて欲しかった。雨がうらめしい。
<1回戦> 平安 11x−0 海洋 (太陽が丘)
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