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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2003年05月31日(土)
二重課題状況


 たとえば。打席に入っているバッターが、すごく緊張しているとする。そんなとき、ベンチから「リラックスしていけよ」と声をかける。ところが、これも過剰になると、その選手に「リラックスしなければならない」という努力を課すことになる。従って、打たなければならない選手は、さらにリラックスもしなければならない。これを二重課題状況というらしい。

 このことを本で読んだとき、その場でしばらく固まってしまい、なかなか次のページに進めなかった。それは私が心の奥に抱えていたもやもやに、明確に名前がついたものだった。

 ある日、新聞の記事で、ゼミの生徒が自殺してしまったことに対して、大学教授が話している記事があった。教授の専攻は仏教。生前、「ノイローゼなんです」と言ってきた彼に、教授は仏教の法話が書かれた本を薦めた。ところがしばらく経って、彼は自宅で自らの手で命を絶ってしまった。教授は言う。「講義であれほど“命が大切だ”と強く強く言っていたのに…」と。

 だけど、先生。
 私はふとその教授に語りかけたくなった。

 別に先生のせいで彼が首をくくったとは思わないけど、その“命を大切に”というのが彼にとって重かったとは考えられない?もしかしたら、彼の中に“命を大切に思えない自分”っていうのがいたのかもしれないし。悩みを先生の相談するような子だから、きっとまじめな子で、先生の話も法話もしっかり受け止めていたと思う。だから、苦しんでいたとは考えられませんか?自分の悩みと戦い、“命を大事にしなければ”ということとも戦い…。自分がどんどんこわされていくような感覚。そして、もう壊してしまおうという感覚…。先生、わかりますか?

 記事に出てくるのは、実はうちの母校の“教授”。私も講義をとっていたことがある。そして、自殺してしまった生徒は面識がないながらも後輩にあたり、年月を計算すると、ほんのわずかではあるが、同じ時期を大学のキャンパスで過ごしている。気持ちがドンと重くなった。