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| 2003年04月26日(土) ■ |
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| ビューティフル・レインボーの後始末 |
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応援に一番燃えていた学生時代、阪神は弱小をきわめていた。当然観客も少ない。そんな中好き放題していた私にとって、甲子園球場3万人以上の入りはテンションを下げる。いろんなことがしんどい。スーパーでごはんや酒を買うときの混雑さ、チケットを買うために並ぶ暑苦しさとじれったさ、外野で席を探すうざったさに階段を上るしんどさ(年やんか)、トイレに行くときには一体何人の人に「すんまんせん」と言わねばならないか。
そんなわけで、試合が始まる頃にはかなり疲れてしまっている。ああ、帰りたい、なんて思ってしまうのだ。みんなが同じようにたたくメガフォン、自分もその一員のくせに、「同じことして何が楽しいんやろ」などと思ってしまう。グランドにいる選手は遠い。私らが一生働いても稼ぎきれないお金をもらっている人たちをなんで応援しなあかんのやろ。応援して欲しいのはこっちの方やわ。光景が色褪せていく。
その光景の再び色が戻ってきたのは、7回裏のことだった。ラッキーセブン。恒例のジェット風船である。赤、黄、青、緑、オレンジ、最近は白もある。ピューという音と共におびただしい量の風船が空へ向かう。ときたま、側にいる甲子園慣れしていない観客が、その光景を写真に納めているが、気持ち、わからなくもない。その風船を見たとき、「ああ、観客が多い方が(風船が飛ぶ光景は)きれいやねんな」と思った。
「前田が拾ってんぞ」 そんな光景にしばらく見とれていると、横で相方の声がした。何かと思って、目線を相方に合わせるとレフト後方に散らばったジェット風船の残骸を球団職員とともに腰をかがめて拾っている広島の前田選手の姿が。え、こんなことをする選手だっけ?私は驚きや喜びより、まず戸惑いを感じた。でも、いい物が見れた気がしてやっぱり嬉しかった。
それに気付いている人は少なかった。少なくとも私の周りにはいなかった。ごく少数の阪神ファンと広島ファンは、各々に「前田コール」を始めた。でも、それもすぐに終わる。処理のキリがある程度ついたと判断した球審がプレーボールの合図をしたからだ。前田選手は何事もなかったかのように、いきなり襲ってきたレフト前ヒットの打球を処理していた。あのシーンは現実だったんだろうか。一瞬に自分の前を疑ってしまった。
それにしても、前田選手にはファンを萎縮というか一歩引かせる不思議な雰囲気がある。それはマスコミなどが作り上げてしまった彼のイメージなのかもしれないけれど。
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