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| 2002年11月15日(金) ■ |
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| 高校生が真剣に話を聞くとき |
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高校野球部の練習では、練習中に何度かミーティングが行われる。一つの課題に入る前に、何故この練習をするのか、どういう風に進めていくのかという指示が指導者から出る。走塁やフォーメーションなどの細かいプレーの練習をする際にはしっかり聞いておかないと頭がこんがらがりそうだ。
選手たちはそんな指導者の説明をもちろん真剣に聞いている。しかし、その表情やまなざしが色褪せて見えるほど、彼らの表情や目の色が一変するときがある。
ある日のミーティング中のこと。バックホームのフォーメーションの練習における説明がなされていた。じっと耳を澄まして聞いていたが、ややこしすぎて頭がこんがらがってきた。選手とてそれは同じで、私の目から見ても集中力をなくし始めているように思えた。
そんなときである。指導者が少しトーンを変えた。 「…(前略)、結局、このプレーが出来なかった。それだけで、夏が終わったんだよ。3年間がんばってきたのに、たったそれだけで」
選手の目の色が変ったのは、このときだ。姿勢も前のめりになっている。側で談笑しながら見守っていた父兄さんの口も止まり、じっと指導者の方に目線を注いでいた。
新チームが結成されてまだ日が浅かった当時、上級生ですらまだ“最後の夏”という実感がそれほど湧かない時期のはずだ。でも、選手たちは“夏が終わる”という言葉に鋭く反応した。びっくりした。
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