初日 最新 目次 MAIL HOME


あるこのつれづれ野球日記
あるこ
MAIL
HOME

2002年10月29日(火)
対話するエース


 印象に残るピッチャーがいます。試合中、チームがピンチに立つと、ベンチにいる選手がピッチャーに声をかけるじゃないですか。「落ち着いて」とか「打たせていこう」とか。でも、ああいう声に対してピッチャーが反応するところを見かけること、あまりないんですよ。もちろん、試合中だから自分がするべきプレーに集中しなければなりませんし、またイチイチ返事をしないからって、無視しているわけではないのでしょう。そして、それが当たり前だと思う自分もいました。

 ところが、そのピッチャーはイチイチ反応していたんです。「みんなが守ってくれてんねんからなぁ〜」とベンチにいる選手が叫ぶと、プレートから足を外し、ベンチの方に顔を向け、叫んだ選手をしっかり見据えて、「はいっ」。「打たせていこうや」と言われれば、また同じ動作で「はいっ」。そんな彼は、再三投げる牽制球を野手が逸らしても逸らしても投げ続けて、アウトを取り、一死満塁のピンチでもしっかり相手バッターに打たせていました。名実共に対話しているエースやなあと思いました。

 試合が終わった後、マネージャーに訊いたのですが、やはり彼は下級生でした。それで、律儀に返事をしていたのもあるんだ。ちょっと興ざめでしたが、上級生になっても、実際行動には表れなくとも、その心意気はなくさないで欲しいなと思いました。