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| 2002年10月07日(月) ■ |
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| とどのつまり、私は山下清になりたいんだ。 |
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今日、母は叔母と一緒に京都大丸の山下清展を見に行った。いたく感激したようで、普段は聞き役に回る母が饒舌に話し、我が家の食卓は終始山下清談義が続いた。母は作品のきめ細やかさに感動し、父は山下清の才能が陽の目を見たことに重きを置き、そして、私は山下清になりたいと思った。
山下清と言えば、『ドラマ・裸の大将』。安直なイメージだが、そんな私をどうか責めないで欲しい。あのドラマは、それほど強烈な印象を人に植え付ける。ブラウン管の向こうから、♪野に咲く花のように〜の音楽が流れてくると、血がたぎり躍り出す。ちょうど、球場に向かう途中、場内で響く金属バットの音に興奮し、思わず駆けだしてしまう。そんな感じ。ようこそ、非日常の世界へってな具合だ。
ああ、私も放浪した〜い。 日本中を歩き回って、見知らぬ土地の小さな高校のグランドで、野球部の練習とかを眺めていたい。横にいる熱心なおっちゃんと野球談義とかしたい。で、家に帰ったら、そのとき見た景色、聞いたこと、感じたことやを書くんだ。ネット社会だから、そのとき出会った人たちも見てくれるかもしれない。「こないだ会ったあの変な姉ちゃん、文章書くんや。ふ〜ん」なんて言ってくれていたら、至福。
ライターとかそういう肩書きを持ったら、話は聞きやすいと思う。でも、今の私は素直にそれに従えない。取材される人の立場に立ってみたら、「ライターさんと話をする」ということで、妙に自分を繕ってしまうように思う。なんて答えたらいいかな。いい印象持たれたいとなあ。そしてまた、色気も出るだろう。少なくとも、私はそうだった。
私は、ライターとしてではなく、1人の人間として話をしたいし、話を聞きたい。わかってる、肩書きナシの人間に人が簡単に話をしてくれないことくらい。でも、だからこそ、ふと口にしてくれることがささいな話が、大切だとわかる。そういうものを温めていきたいなあ。
ということは、やっぱり山下清しかない。あんな裸同然の格好は世間が許さないと思うので、ユニクロで買った1980円のストレッチズボンに、土日限定1250円のシャツを着て、今となってはどこで買ったかすら記憶にない愛用のリュックを背負って、出かけよう。
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