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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2002年09月26日(木)
ある日、私はこんなことで叱られました。


 叱られるというといいイメージはないが、時折思わず頬が緩んでしまうような嬉しいお叱りを受けることもある。

 ある試合を観戦していた。逆転につぐ逆転で、ハラハラドキドキの好ゲームだった。試合終了後、負けたチームの応援団部員が、勝ったチームにエールを送った。ところが、勝ったチームの部員は少なく、スタンドには1人の部員もいない。熱心な父兄さんが着ているおそろいの黄色いシャツはすごく目立つ。どうするんだろう、応援を返さないのも失礼だし、かといって父兄さんがするのもちょっとキツそう。別に必要ないのに、1人で悩んでいた。

 すると、「○○(負けたチームの校名)高校の今後の健闘を祈ってぇ〜」と言う若い男の子の声がした。え、どこから?私はスタンドを見渡した。すると、スタンドにある通路の前に制服を着た男の子が2,3人いた。髪の毛は伸びていた。野球部員じゃないんだなと思った。よかった、臨機応変な対応をする子がいて。またまた必要もないのに、安堵のため息。

 選手が引き上げ、球場にグランド整備用の車が入った。観客はおもむろにとスタンドを後にし始めた。そんな流れに乗り遅れないように、私も立ち上がり出口へ向かった。そのとき、友人に先ほどのエール交換の話をしていたんだと思う。後ろから声がした。「何言ってるの、あの子ら3年生やん。夏に引退したばっかりの」

 えっ。
 振り返ると、黄色いシャツを着たおばさんがいた。父兄さんだ。後ろにいて、私たちの会話が耳に入ったのだろう。おばさんは、「え〜、それくらいわかっていると思ってたけどねえ」と言いたげに、小さく微笑んでいた。このチームの試合、地元ではないのでもあって、旧チームを含めても、観戦したのは3,4回と数えるほどだ。選手の顔など認識出来るはずもない。ひょっとして、地元民だと思われてる?熱心なファンだと思われてる?私の口元が知らぬ間に緩んでいた。嬉しいじゃない、なんか。憧れでしかなかったクラスの人気者に、「何言ってんの、友達やんか」と言われたときのような、そんな照れくささと戸惑いと喜びが入り交じったような心境になった。