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| 2002年07月29日(月) ■ |
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| みんな、いい顔っ。 |
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前日、テレビで準決勝の試合の録画が放送されていたので見ていた。まあ、驚きの連続で、みんな“誰やねん!”と思うくらいいい顔をしているのだ。肌つやもいい。テレビ写りがいいようにとベンチのどこかに一流のメイクさんが隠れていそうだ。選手たちは一試合一試合成長したと思うが、その顔つきはあどけなくなっているような気がした。もういいと思った。決勝戦、勝つとか負けるとか、甲子園とか、そういうものにこだわるのは。
球場に着いたらすでにゲームが始まっていた。応援校の陣取る三塁側スタンドにはまだ空きがあったが、それももういいと思った。ともきちと2人、ネット裏最上段の上にある通路で立ち見することに。制服の他校野球部員の姿が目立った。もう次の夏が始まっているんだなと思った。
予想外の展開だった。応援校が先制し、なぜか終始リードを奪っていた。スコアは4−3、安打数9、被安打数8、失策1。なんや、普通の野球やん。今日は勝ったことはもとより、それに拍子抜けしてしまった。
それにしてもリードしている状態は体に悪い。7回くらいからは吐きそうだった。落ち着きなく、周りをぐるぐる回っていた。後ろを振り返ると、熱戦どこ吹く風?とばかりに、穏やかな風景があった。別世界のように思えた。
試合前、勝ち負けや甲子園に対するこだわりはないと思った。でも、いざとなったら、浮き足だってしまう。まだ試合はわからへんと思う反面、ここまで来たからにはお願いしますっと祈るような思いも…。
こちらも心境などつゆ知らず、選手達は今日もあのグランドでいい顔をしているのだろう。帰宅後、TVで試合を見守っていた母が、「ほんま野球している高校生っていう顔やったなあ。一人一人きちんと個性が出てきてて」と言っていた。
9回ツーアウト。あと一つで…。まさか、嘘やろ?夢ちゃうの?絶対、目ぇ覚めたらおかんがおるで。「あんた、今日試合ちゃうの、間に合うんか?西城陽戦」、そう言って起こされるに決まってる。あほな、今日が決勝戦?そんなわけないやんけ。
最後のバッターが打球を外野に打ち上げた。レフトの選手がキャッチ。とりあえず喜んでおかんと。へたりそうな体を奮起させ、ともきちと飛び上がった。「やった〜」とか言ったんだと思う。それからの記憶があまりない。
ベンチ前で選手が思い思いに仲間と抱き合っていた。スタンドはものすごく沸いていたのだろうけど、その歓声は何故か耳に入ってこなかった。気付いたら、胴上げが始まっていた。激励会とき、父兄さんから監督さんに手渡された紫のメガフォンだけが目に鮮やかだった…。
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