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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2002年07月19日(金)
“ホームランかっとばせ〜”


 私が高校野球を見始めた1990年は、“かっとばせ〜○○(選手名)、××(相手校)倒せ〜、おうっ!”の終焉期だった。“××倒せ”はよろしくないということで、高野連あたりが何か言ったのだろう。翌春の選抜を見たときにはものの見事に“かっとばせ〜○○、△△(自校)ファイト〜、おうっ!”に変わっていた。飼い慣らされた動物みたいで貧弱やなあと思っていたが、応援校がこの方式を採用していたこともあり、だんだん好きになった。

 そして、それも1993年あたりから変化を見せ始める。“かっせ、かっせ、○○、かっせ、かっせ、○○、かっとばせ〜○○!”となったのだ。学校名は一切出てこない。高校野球に漂うアンチ個人主義への反論なのかと思ってしまった。私はなぜかこの応援に素直になれなかった。でも、時代はそんな私の置いてぼりにして、“かっせ、かっせ”がどんどん普及していった。今では大半の学校が採用している。

 今日、久しぶりに“かっとばせ〜”応援を耳にした。昔は“かっせ、かっせ”がせわしなく思えたが、今では“かっとばせ〜”が随分のんびりした応援のように思えたから不思議だ。慣れというものは怖い。

 ところが、今日耳にした“かっとばせ〜”応援はちょっと変わっていた。“かっとばせ〜○○”までは同じなのだが、そのあとは“ホームランかっとばせ〜、おうっ!”となるのだ。

 うわ、わかりやす。

 なんか高校野球って、ホームランとか三振とかいう華やかなものを露骨に求めるのはよろしくないっていう空気が漂ってませんか? 現場はもとより、観客の中にも。だから、こういうストレートな応援がどんどん姿を消しているように思うのですが…。

 4番であろうが、9番であろうが、相手校がどこであろうが、“ホームランかっとばせ〜、おうっ!”

 この日の対戦相手校は、選抜出場校でV候補の一角・平安高校。0−9で迎えた8回。ここまでのヒットはまだ1本。バッターは代打。そんなときでも、声援は、“ホームランかっとばせ〜”。なんかいいなあと思った。ここの応援団は高校野球に対してでしゃばっていないなと思った。

 サッカーW杯の影響で、新たな応援を耳にするようにもなった。応援はこれからも変化し続けるだろう。もちろん、どんな応援になれど、声援を送る側の思いは変わらない。でも、私の中での原風景はいつまでもこの“かっとばせ〜”だ。