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| 2002年07月18日(木) ■ |
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| うれしかったこと |
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今日は、応援校の夏初戦だった。前日の夜は1時間ごとに目が覚め、眠ったという実感のないまま朝を迎えてしまった。“遅刻してでも朝食は食べる”が学生時代からのモットーである私が、用意されていた朝食に手をつけずに家を出た。
阪急電車に乗り込んだ辺りから奥歯と下腹が痛くなってきた。キューっと締めつけられたような感じ。車内アナウンスが「次は西京極〜」と伝えると、いよいよ吐き気すら催して、思わずえづいてしまった。
緊張感が抜けたのは、不覚にもエラーが絡んで相手チームに先制点を取られたときだ。エラーはいつものこと。おできの膿じゃないけれど、出すだけ出したら大丈夫?! それでも、5点のビハインドは大きい。幸い序盤だったので、「まだ大丈夫」という声がちらほら聞かれたけれど。
けど、今までと違うなと感じたのは、3回の5点以降、追加点を取られなかったことだ。今までなら連鎖反応を起こし、エラーも失点も増える一方でにっちもさっちもいかなかったのに。ま、危なかったことは危なかった。安心して見てられるのは、セカンドだけ。♪みなさ〜ん、打球はセカンドにお願いしまっす。ゴロ、ライナー、フライ、なんでも承りま〜す、なんていうくだらないキャッチフレーズを思いついたりしていた。
<返す返す3回の5失点が悔やまれる。あーあ、なかったことにしてくれへんかなあ?でかいでかい修正液でまるごと消せへんかなあ。>今日の日記はこんな感じで締めくくろう。そんなことすら考えていた。
幸運なことに、6回、セカンドゴロの間に1点入った。1−5。よかった、1点取れた。でも、どうせならあと2点くらい欲しいなあ。ちゃんとしたタイムリーとかで。なんかこのままやとちょっと淋しいやん。私の気持ちはこんな程度だった。「これでいける」などとはこれっぽっちも考えていなかった。でも、スタンドはそうではなかったようで、全体的に元気になり始めていた。
リードを許した終盤、ランナーが2人ほどいる場合、ふと「もしここでホームランが出たら…」となどと考えることはありませんか?取らぬ狸の皮算用ならぬ、取らぬ点のスコア算用。
今日の私もそんな感じだった。
7回裏、3−5になった。私はここでもまだ勝つとは思えなかった。2点ともエラーが絡んでいる。前の試合を見ているだけに、これ以上相手がエラーするとは考えづらい。
しかし、どうやらここで試合の流れはかわっていたらしい。
ツーアウト一二塁。バッターは、3番。ここでホームランが出たら、6−5、逆転か。今まで腐るほどよぎった思いであり、記憶にないくらい想像に域を出ないで終わったもの。深い意味はない。スーパーで予算ギリギリの買い物をするとき、消費税を含めた値段はいくらになるのだろうと目安をつけるのと同じレベルの話だ。
ところが、打球はレフトの頭上を越え、フェンスオーバー。審判が手をぐるぐる回す。当然スタンドも沸く。私は何故かうずくまっている相手校の外野手を見つめていた。まだ試合が終わったわけじゃないのに、すごい落ち込みようでびっくりした。それだけの緊張感の中、試合が展開されているのか…。
結局、試合は9−5で見事初戦を突破。前日、知人が「打ち合いになったら(応援校に)勝算があるのでは?」と言っていたのを思い出した。父兄さんたちはさかんに握手、8回裏に公式戦初HRを記録した選手の親御さんは半泣き状態で「みなさんのおかげです」を繰り返していた。スタンド中段でしたり顔で試合を見ていた新OBたちもいてもたってもいられなくなって、応援団席に乱入。フェンス前にいた若い女の子は応援団の振り付けを真似て踊っていた。
私は心の中で、「嘘や、嘘や。こんなはずない」、ずっとそうつぶやいていた。興奮する自分を落ち着かせようとしてたのかもしれない。
でも、私が何より嬉しかったのは、逆転3ランが出たときに、一緒に手を取り合って喜べる人がいたこと。試合前、一人でスタンドに腰かけていた私に気付いてOBの父兄さんが声をかけてくださったのだ。いつか年老いて、いろんなことを忘れていくかもしれない。今日の試合内容も忘れるかもしれない。でも、手を取り合ったその感触はいつまでも残っていると思う。
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