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| 2002年07月17日(水) ■ |
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| ゲーム前の柑橘系 |
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私は鼻炎持ち、いわゆる“鼻づまり”のため、匂いというものにあまり縁がありません。文章にしろ何にしろ、匂いを表現したものを見ると“いいなあ、表現の幅が広くて”と思います。
高校野球を現場で体感する機会はおそらく生涯にわたってないと思います。だから、高校野球の匂いというものにも縁がないと思ったし、そういうことは書けないと思っていました。
ところが、そんな私が出会ってしまったのです、“高校野球の匂い”に。
今日も高校野球京都大会を見に、西京極球場に足を運びました。球場内で知り合いの方を見かけたので、その人の横で観戦させてもらいました。その方は写真撮影をされるので、スタンドの最前列、それもベンチがすぐそばに見える席を陣取っておられました。普段、私がます行かない場所です。
ここで見る野球も良かったです。あ、高校球児って、高校生なんやなあと思えました。最後の夏の試合だから、何か特別な雰囲気でもあるのかなと思いましたが、そんなことなかったです。これが、リラックスとか自然体というものなのかもしれません。
試合前、選手たちがベンチ前で輪になって、大声をあげる儀式みたいなのがありますが、そのとき、ふと私の鼻に“匂い”が舞い込んできたのです。
汗の匂いだと思いました。確かに汗の匂いなのですが、いろんな経験から“汗は臭いもの”というイメージがあります。でも、このときの匂いは臭くなかったんです。だから、汗の匂いと思いきるのに戸惑いを感じました。
その後、何か柑橘系の果物の匂いがしました。選手が試合前に果物を食べたのだとか、側にいる観客が果物を食べているのかな。そんなことは一切思いませんでした。何故かわからないのですが。
ありきたりの表現にたどりつてしまったのが悔しいのですが、ゲーム前の彼らは熟し切る前の果実。一歩グランドに駆けだして初めて、味わい深い果実になる。そのときを今か今かと待ち焦がれる気持ち。きっとそういうものが、利かないなずの私の鼻を刺激したのでしょう。私のお気に入りのスタンド最上段では嗅げなかった匂いでしょう。些細な偶然に感謝したいです。
ちなみにゲームが終わって、スタンドで観戦している選手からは、汗と土の匂いがしました。
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