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| 2002年07月13日(土) ■ |
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| 「16」番君、ホントのところは? |
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各地の熱戦のあとを追うように、高校野球京都大会が開幕。不安定な天気ではあったが、無事開会式と予定されていた2試合が行われた。
珍事はいきなり起る。開幕第一試合、西宇治ー城南戦。両校選手が勢いよくベンチから飛び出して元気に挨拶…と思いや、三塁側城南高校の選手が思いあまって、地面に突っ伏せるようにこけた。場内から笑いが起った。私も思わず笑ってしまった。はりつめていた空気がなごんだ。とてもほほえましく思った。もし私が審査員だったら、彼に「天然なら10点、ウケ狙いなら5点」をあげたい。
しかし、ふと思う。当の本人はどう思っているのだろう。
城南高校は部員が20人(マネージャーをのぞく)しかいない。しかも、そのうち17人が1年生という若いチームだ。コケた子の背番号は「16」。十中八九、一年生だと思って間違いないだろう。
初めての大舞台に緊張し足が動かなくて、気付いたらコケてたという風に解釈した方がより正確なように思う。場内の笑いを背に受け、体を縮めて小走りして整列に加わった16番君。とても「やった、ウケた、目立ったぞ」とほくそ笑んでいたようには見えなかった。一瞬でも笑ってしまったことを、申し訳ないなと思う。
このところ、試合を見るとき“私だったら、この選手にこういうことを訊いてみよう”とか“ああいう質問をしてみたいな”などと考えている。実現する可能性はないに等しいのだが、人生何が起るかわからないし、気分だけでもライターになっている感じで楽しい。
今日もいろいろな出来事があったが、ただ1回取材を許されるなら、彼のチームメイトを呼んで、「彼は普段どんな子なんですか?」と訊いてみたい。
あのコケ方からして、ユニフォームは肩先から足の下まで真っ黒になっていると思う。洗濯するのは、女子マネさんかお母さんかわからないが、汚れたユニフォームを手渡すときの、彼の照れた顔が目に浮かぶ。
これに懲りずにどうか3年間野球を続けて欲しい。そして、2年後にはファウル線の向こう側の土でユニフォームを汚して欲しいなどと思う。
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