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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2002年07月09日(火)
球児の誇り?

「なあ、熊本の城北っちゅー学校は野球強いんか?」

 大阪の飲み屋で一杯やっているときに、唐突に相方が聞いてきた。ジョウホク? 頭の中で漢字変換するのにちょっと時間がかかった。

「さあ、どうやろな。でも、甲子園には出たことあるやん。93年夏の。智弁和歌山に負けてんけどね。ほら、49番くじで最後まで待たされてなかなか初戦の相手が決まらないところやったんちゃうかな?確か京商の勝山さんが監督してて…」

 相方は、「別にそこまで訊いてへんやんけ」とばかりに、興味なさそうにジョッキに口をつけた。

 で、それがどうしたん?

「うちの会社に入ってる業者の若いもんが、そこの野球部OBらしくて、ことあるごとに自慢して言ってるから、なんぼほど強いんかなと思って」

 ほ〜。でも、私より年下の相方が“若いもん”って言うんやから、明らかに甲子園組やないねえ。相方の話は続く。

「仕事するときも、野球部のシャツ(アンダーシャツのこと?)着てやっとるわ。腕に“JYOUHOKU(スペルの字体は不明)”って書いてあんねん。アホやで」

 相方独特の吐き捨てるような口調。本気でアホとか思ってるわけじゃなくて、そのままでは話の収集がつかなかっただけ。いつものことだ。

 でも、私はその話を聞いたとき、額に汗して作業をしている男の子の姿がパッと浮かんだ。いいやん、かわいいやないの。ぱっと見ぃ小生意気そうなんだけど、憎めないタイプと見たね。

 元高校球児の人が、野球部のシャツを着ていたり、カバンを使っていることは結構ある。本人からしてみたら、「あるものを使ってるだけ」となるのだろうけど、私にはそれが彼らの誇りに思えてならない。

 高校卒業してからいろいろあっただろう。厳しい練習や上下関係…、高校野球生活、決していいことばかりではなかったと思うが、ふと社会生活の中にどっぷりつかってしまったときに、たまらなく恋しくなったりするんじゃないだろうか?

 俺はあのとき、あれだけがんばったんだ。その思いがシャツなユニフォームやカバンや帽子に汗と共に染みついてる。なんだかがんばれる。そんな気になれるんじゃないかな?

 前述の彼、そういうこと自覚しているか否かはわからないけど、きっと心の奥にあると思う。何故こんなに断言できるのか、自分でもわからないけれど、絶対そうだ。