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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2002年05月31日(金)
前原くんの盗塁を見てみたい♪

 今日は、ちょっと足を伸ばして、福井県は敦賀まで出かけた。高校野球北信越大会が行われている。北信越というと、ものすごく遠いイメージがするので、試合から何からいろんなことが新鮮だった。

 注目の選手がいる。第二試合に登場した敦賀気比高校の前原健太選手だ。

 実は、同校を昨秋の練習試合で一度見ている。よく鍛えられていると思ったと同時に気になっていたのが、この前原選手の存在である。

 上背があり、足も長い。ホームランを打ったこともあり、非常に能力の高い選手なんだろうなと思った。しかし、一番気になっていたのが、彼に科せられたポジションだった。1番・ピッチャーなのである。

 高校野球におけるピッチャーの打順の傾向は、大きく分けて二つ。1つは、その高いセンスを買って、中軸の置く。もう一つは、負担がかからないようにと下位におく。

 だから、この1番・ピッチャーは非常に珍しいことだと思う。野球において、ピッチャーは過保護なくらい大事にされる。春のセンバツなどで、ランナーに出ているときに、グランドコートを着ているピッチャーをときたま見かける。また、塁上に出ても必要以上に走らせることを嫌がる傾向が首脳陣側に見られる。

 実際、全力で走塁したすぐあとに守りにつくと、制球が乱れたり、打たれたりするピッチャーも少なくない。私個人は、「スタミナの問題なんじゃ?」と思ったりするが、それだけピッチャーにかかる負担は大きいのだろう。

 それだけに、1番・ピッチャーという存在は興味津々。もし、「盗塁したら、ピッチングに影響が…」などという不安がよぎるのなら、指導者もここに彼を据えないのだろう。

 ということは、私の前々からの夢、「一番・ピッチャーの盗塁をこの目で見る」を彼なら叶えてくれるかもしれない。打席に注目。

 第一打席には、いい当たりだったものの、センターライナーに終わった。

 第二打席はツーベースヒットを放つ。相手ピッチャーが右だったので(多分)、セカンドからサードへの盗塁は難しい。不謹慎ながら、ちょっとがっかり。次打者は送りバント。サードに進み、盗塁の確率はますますなくなった。

 第三打席は見逃し三振。実は、これ、後でスコアを見せてもらってわかった。ほんまに野球を見ているのだろうか。自分で自分が不安になった。

 第四打席。2点リードで迎えた9回表。内野手のエラーで出塁。ファースト止まり。やった♪

 しかし、次打者はまたまた送りバント。無理もない。2点リードしてはいたが、中盤には同じ2点のリードをひっくり返された経緯がある。確実に1点。それがセオリーだ。

 セカンドベース上に立っている前原選手を見ながら、「あ〜あ、やっぱり見たかったなあ、盗塁」と思った。むろん、三盗の確率が残されてはいるが、試合展開から見て、期待出来ない。

 こんなチャンス、滅多とないのになあ。私はそうウジウジしながらも、「いっそ、彼が盗塁するまで追いかける“前原選手の盗塁を見届ける会”でも立ち上げようかしらん」と本人いい迷惑の企画を思いついた。現実離れした話だが、それだけ価値もありそうに思えた。

 そんななか、バッターのカウントは0−1。2球目が気の抜けたようなスローボールだった。バッターは見逃し。そのとき、前原選手が走っていた。盗塁成功、である。

 やった、盗塁が見れた!ところが、腹の底から沸き上げる興奮はなかった。
 
 それは、盗塁のシチュエーションにある。相手バッテリーは、塁上のランナーを無視し、バッターオンリーのような素振りがあったからだ。キャッチャーもサードに送球しなかったし、ピッチャーもそれほど動揺しているようには思えなかったのだ。

 また、ランナーだった前原選手自身も盗塁モードではなかったようだ。まさか盗塁出来るとは思っていなかったところに、たなぼた的に無警戒な球が来たという感じだった。本気盗塁のときの選手の体制は低いが、彼の体制は普通に立っているときと同じで、「いいのかなあ」という物足りなさすら伺えた。

 う〜ん、私が見たかった盗塁はこんなんじゃないんだな。

 もっとアグレッシブな盗塁と言いますか、塁上でじっとピッチャーを見つめ、「ここだっ!」というときに、体制を低くして、全力疾走。盗塁を感知した相手キャッチャーはすばやく送球。前原選手がセカンドベースに滑り込む。あの体格だから、迫力あるだろうな。牽制に入ったショートがタッチ。スライディングしたとき、周りの黒土が飛び散る。そして、一瞬の間をおいて、セカンド塁審が「セーフ!」。

 いいなあ、絵になるだろうなあ。