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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2002年03月24日(日)
さくら、さくら


 今年は例年より、桜の開花が早い。京都では、今日がピークだとも言われている。毎日、地下鉄での通勤で、家と職場の往復をしている私は、まだ今年になって1回も桜を見ていない。

 だから、ニュースで花見の席取りをしている学生や新入社員のインタビューを聞いても、別世界の出来事であるかのようだ。

 春の暖かい日差しと桜の下でおにぎりをほおなったり、円山公園でライトアップされた夜桜を見ながら酒を飲むのもいいが、実は私には、もうひとつ桜の楽しみ方がある。

 それは、春の練習試合。
 私の応援しているチームは、センバツの時期を使った遠征から戻ってきて、4月半ばに始まる春季大会までの間にいくつかの練習試合をこなすのだが、この時期が丁度桜の季節だ。

 学校のグランドと言えば、桜である。たいていどこの学校でもグランドの周辺をとりかこむかのように植えられている。昔のアルバムを広げると、入学式にそんな桜の下で撮った写真が出てくる方もいるかもしれない。

 練習試合観戦が、花見を兼ねることができると気付いたのはずいぶん遅く、昨年春のことだ。

 その日は滋賀・石山高校との練習試合で、同校のグランドでWヘッダーをこなした。

 大津市郊外にある同校は小高い丘の上にある。正門を入るやや急な坂道を上ると、眼下にグランドが見える。その日は、桜が満開の日で左中間の桜並木は白に近いピンク色で覆われていた。更に奥に進んでところに、父兄さんを始めとする観客がいたので、そこに腰掛けた。後方に桜の木が1本植えてあった。

 その日は風も強かった。グランドではその風に負けじと打球音と掛け声が響く。そんななか、背後の桜はハラハラと、もろくも風に飛ばされて散っていく。花びらは、そのパワーに誘われるかのように、グランドにいる選手たちの方へ向かっていく。ドラマのような光景だった。

 長い冬を越し、春が始まった野球と選手たち。そして、短い春に終わりを告げるはかない桜の花びら…。

 そのコントラストのなんともいえない美しさ。正座もろくにできない私だが、「やっぱ、日本人の心は“桜”やな」なんて思ったりした。

 
 前述した通り、今年は桜の開花が早い。次に練習試合を見に行く頃には葉桜になっていることだろう。ま、それもよしか。緑の鮮やかさに心を癒してもらおう。