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| 2002年02月09日(土) ■ |
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| まとめの弊害 |
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本の最後についている解説というものは、それひとつでその本の価値観すら決めてしまうほど大きなウエートを占めていると思う。
すばらしい解説文、あるいは、あたりさわりのない解説文は、その本の魅力は一層引き立てる。しかし、そうでないものは、きれいに仕上がった絵に墨などを塗ってぶちこわしにされたほうな不快感をあおる。
私は「すばらしい」と思う解説文は、その人がその本を読んで印象に残っている部分にポイントを絞って書いていたり、また作者を面識のある人はその作者とのエピソードが混ざっているものである。
逆に今まで読んだ中で、「最悪だ」と思ったのは、作者の手法を真似て自分の物語を書いていたものだ。その作品は、12編の短編によって構成されていたのだが、解説者は「12は数字がきれい過ぎて気に入らない」と、13個目と14個目の短編を解説文をして書いてしまった。これは、痛い…!
その筆者の世界観が好きだった私は、解説を読んでものすごく不愉快になった。確かに自分の物語を作りたい気持ちは、わかる。しかし、これはあくまでその作者世界であるべきだと思う。
そして、もう一つ苦手な解説のタイプは、「まとめ」を書いているものだ。今日、通勤電車の中で読んでいた本の解説文はまさしくそれだった。<この作品を全体的にまとめてみよう>という一部を見た瞬間、本能的にページを閉じ、カバンの奥深くにしまい込んだ。ああ、不愉快。
そういえば、これと似た不快感を持ったことがある。
1,2年ほど前、地元の地域団体が、平安高校の原田監督を招いて講演会を開いたことがある。40代以上の人しかいないような団体だが、父の計らいで私も会場にお邪魔することが出来た。
スーツ姿の原田監督は、思ったより体格がよく、肩幅が広かったのが印象的だった。(後日、原田監督は選手とともに、ご自身も体を鍛えておられると知りました)また、思ったよりお若く見えたので、周囲からは「スポーツメーカーの兄ちゃんかと思った」という声もあがった。
講演すること自体が初めてという原田監督は、かなり緊張しておられるように見受けた。しかし、多少たどたどしながらも、話の内容は興味深いものばかりだった。ご自身の野球人生の話、プロの壁に苦しんでいる教え子・川口投手(オリックス)のこと、また平安高校野球部の指導についての話、またご自身の生まれ育った家庭環境のお話までされた。(また話題を試合のイニングにわけて話されるのも、野球人らしいなあと思った)講演が終わると、質問の時間がもうけられ、年輩の方から飛び交う質問に軽快に答えられた。「え、こんなこと言っていいの?」ということから、「なるほど」と納得させられることまで…。こうと分かっていれば、私も何か質問事項を考えておけば良かったなあと思った。
この日以来、勝手ながら、平安高校野球部や原田監督の存在をちょっと身近に感じてしまった。平安高校は、地元ではナンバーワンの名門校で、選手も監督もさぞ特別かという錯覚に陥りがちだが、平たく言えば、私たちと同じ「人間」だ。
時間も迫ってきたので、質問タイムも終わり、原田監督は大きな拍手の中、退場された。しかし、問題はそのあとである。
そういう肩書きを持った人だか知らないが、小太りのおっちゃんがおもむろにマイクを手に話しだした。そして、今回の講演内容をダラダラを話しだした。
帰り、父が言った。 「最後のおっさんの話が、余計やったな。もっともらしくまとめて自分では気持ちいいかもしれんけど、(原田)監督が一生懸命話したことがぶちこわしやで」。 なるほどな、と思った。
本にはたいてい「あとがき」というものが付いている。そして、大半はそこにまとめやこの本を書いた理由やきっかけ、そこに込めた思いが書かれている。だから、まとめを他人がする必要はないと、私は思う。
〜続・つれづれお仕事日記最終回〜
バイト最終日、入試もすでに終わっているため、通勤途上で下宿案内のパンフレットを渡されることもない。気分は、爽快で穏やかだった。何者にも邪魔されずに道を歩ける。なんと素晴らしいことか!
今日は、入試で使われたものの後かたづけをした。しかし、思いのほか、仕事はなく、職員の人もヒマをもてあましている私たちを見て、困惑していた。
とにかくヒマで、他の4人に人と給料についての話をしたり、私用電話をしたり、買い物に行ったり、なぜか、ティータイムには学生すら入れない職員専用の食堂でケーキを呼ばれたりした。
しかし、間際に他の仕事を手伝うように言われた。与えられた作業は、採点された答案の点数確認。あらかじめ、書かれた数字がちゃんと読めるものかどうかを見るのが主な仕事。ここにも、私と同じような派遣で雇われたアルバイトの女性が数人いた。彼女らは、黙々と冊子をめくり、出来たら「終わりましたぁ〜」と気の抜けたような声を出す。
帰り、同じバイトの人が「座ったままで、「終わりましたぁ〜」って、それだけかい!殺気が足りひんわ、殺気が!」と憤慨していた。確かに、私らの時間に追われる仕事より遙かに楽だし、職員の接し方の違った。(だって、私ら初日にいきなり「人数いるだけで、使いものにならんわ」などど言われたし)あれで時給が同じなら、あほらしいにもほどがある。
余談だが、そんな「終わりましたぁ〜」女に昼間、私たちは「弁当泥棒」の疑惑をかけられた。私たちは職員の人に言われて弁当を取りにきただけなのに、聞き耳持たず。結局、女は別の職員を呼んできた。で、もう一度説明し直し。職員は、「ああ、そうだったんですか?」と言ったまではいい。そのあと、「で、何を取りにこらられたんですか?!」…人の話をきちんと聞かんかい、ボケッ!
結局、最初から最後まで「イライラ」「ブチギレ」をつきまとった素敵な7日間だった。でも、いい経験をさせてもらったのは間違いないと思っている。普通ならまず見れない入試の楽屋裏を覗くことが出来たからだ。また、長らく働いていなかった私にとっては、立派な社会復帰のリハビリになったと思う。さて、次は定職を探すとするか。その前にもう少しユニークな短期バイトをしていたい気もするけれど。
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