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| 2015年12月13日(日) ■ |
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| 出汁は、作るとはいいません。引くといいます。 |
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映画「千年の一滴 だし しょうゆ」(柴田昌平監督)から。 素敵なナレーションに包まれて、気持ちよかったから、 久しぶりに、映画館の真っ暗の中で、メモを取った。(汗) 多くの中から、私が選んだのは「出汁」という言葉の使い方。 「出汁は、作るとはいいません。引くといいます。」 会話として「今回の出汁は、何から作った?」とは言わないが、私は 「今回の料理の出汁は、なにから取った?、鰹?昆布?椎茸?」と使う。 しかし、本来「出汁を引く」という言葉の使い方をするようだ。 この「出汁を引く」という言葉に、この作品のエキスが詰まっていた。 出汁は、和食の魅力・素材の旨味を存分に引き出す役割だから「引く」、 さらに「引き出す」だけでなく「引き立てる」役もあるので、 「引く」を使うのかもしれないな、と嬉しくなった。 和食の料理人も、それを支える「醤油・酒・みりん」などの職人も、 さらには出汁の素材である、鰹や昆布、椎茸を手間隙かけて作る人たちも、 とても謙虚であり、「俺が・・私が・・」と自分たちをアピールしない、 そんな人柄が、この作品の隅々にまでまで浸透していた気がする。 和食が、ユネスコ無形文化遺産に登録された時に耳にした 「外国はシェフやお店の名前が有名になるが、日本は料理名なんです」と いう話が、なぜか私の頭の中に甦った。 映画のエンドロールと言えば、監督の名前が最後に浮かび上がってきて、 しばらく表示されてから消える・・となるが、今回は監督が意識したのか、 さらっと、名前が表示されて、監督だから・・という特別扱いがなかった。 これもまた「出汁と同様、私は引き出し役、引き立て役ですから」と 口にしそうな、柴田監督の粋な計らいなのかな?
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