浅間日記

2010年03月28日(日) 不条理な権力の行使と暴力

富士山麓の街へ。

最近の旅の楽しみは車窓の風景ではなく映画鑑賞となっている。
子どもに遮られることなく映画作品に没頭できる貴重な時間なのである。

ということで、甲府盆地を抜けたあたりからいそいそとPCの蓋を開け、ヘッドフォンを取り出し、ミニシアタータイムである。
頭の中には既に、ゴッドファーザー愛のテーマが流れている。


この有名なアカデミー賞作品は、言わずと知れた、
イタリア系マフィアファミリーの三代にわたる物語である。



暴力を切り札にする組織が放つ饐えた匂いを、フランシス・コッポラは上手に映像に描き出しているなあと思う。

時代とともに通用しなくなっていく人間の信念や信頼関係、についてもまた然りである。



不条理な権力の行使と暴力は、鶏と卵のような関係にある。

けれども、例えそれが仕方のない真実だったとしても、
人が人を殺したり傷つけたりして守ったものは、
必ず別のかたちで損なわれる。


2007年03月28日(水) 
2006年03月28日(火) 
2005年03月28日(月) 饒舌教育の効果はありや
2004年03月28日(日) ボサノバの神様



2010年03月24日(水)

お彼岸も終り、おはぎを拵えようという気概もなんだか萎えた。
寒の戻りでみぞれが山を白くしているせいかもしれない。



連休中に、大学の卒業式をやっていた。袴姿で華やかであった。
「卒業」という節目は、何だか哀しく美しい響きをもっている。

そのせいか、「定年退職」と言わずに「卒業しました」という言葉を使って挨拶を受けることもある。

確かに勤め上げて去る悲喜こもごもの気持ちを託すには、「老後」とセットになっている「定年退職」より、「卒業」と飾りたいのかもしれない。

言われるこちらも、「お疲れ様」というより「良く頑張りましたね」と、
ちょっと親心がかった言葉がけになってしまうのだけれど。



2009年03月24日(火) 勝負するイチローの技
2007年03月24日(土) 治癒のショートカット
2006年03月24日(金) ビーフとストーブその2
2004年03月24日(水) 年度末公道占有



2010年03月22日(月)

「ひき逃げ」に関するニュースが増えている。そんな気がする。

ただし、「ひき逃げが増えている」とは必ずしも思っていない。
ひき逃げ事件を意識的にニュースに取り上げようとする意思を、
報道の指向から感じる、ということだ。

ひき逃げに関する問題提起をし、あるコンセンサスを形成し、
さていったい、お次は何の法律を作ろうとしているのだろうか。

そういう、かなり穿った見方をしている。

2007年03月22日(木) Bar一陽
2006年03月22日(水) 
2005年03月22日(火) 彷徨えるカーナビ車
2004年03月22日(月) 慕情先生



2010年03月15日(月) too much to live 〜もうたくさんだ

「too much」と大きく書かれたファッション雑誌。
スーパーの本棚でみかけ、瞬間に手にとって眺める。

どうもそれは月刊誌で、件の見出しは、過剰さを取り払ったおしゃれ、
という月のテーマのコピーだったようである。

おしゃれはともかく、私は長年探していたキーワードをやっと見つけたのだ。



世の中すべてが「too much」であり、
それこそが現代社会で人に苦しみをもたらす源である。
つまり、「too much」から如何にして逃れるか、が幸福の鍵である。

私は勝手にそう思っている。

だから、特になにか頑張らなくても、
ただ引き算していけば、自然に福が訪れる。

楽ちんなんである。

2009年03月15日(日) 日の丸オラトリオ
2007年03月15日(木) 水盗っ人
2006年03月15日(水) よれよれ申告
2004年03月15日(月) Mayor! Mayor!



2010年03月14日(日) テンとみられる小動物

佐渡トキ保護センターで、ことし秋の放鳥に向けて屋外のケージで自然に慣れる訓練をしていたトキが、テンとみられる小動物に襲われ9羽が死ぬなどの被害を受けた。環境省によると、ケージの中で、テンとみられる小動物が赤外線の監視カメラの映像に映っていた。またケージを覆う金網の網目より大きな隙間が260か所以上見つかっており、同じ小動物が今もケージの透き間から出はいりしている可能性もあるとみて、14日、透き間を作っているケージの柱などに毛を採取するための両面の粘着テープをはり付け、今後テープに毛が付いた場合は、その毛を詳しく調べることで侵入経路や小動物の種類の特定につなげたいとしている、というニュース。



自然に慣れる訓練をしていたトキが、
自然界に普通に生息するテンに食われた。
至って普通の現象ではないか。

環境省が大慌てするのは、
トキが「ニッポニア・ニッポン」と学名のつく鳥であり、
国をあげて保護にとりくみ、教科書にも掲載し、
その総仕上げとして、宮様が放鳥記念式典にいらしたことなど、
人間の都合が難しいからだ。

そもそも、日本在来のトキは絶滅していて、
今新潟にいるトキは中国からもらってきたものである。
遺伝子の多様性という側面からいえば、
そんなDNAの違うものを日本列島で繁殖させていいのかという疑問だってある。



「テンとみられる小動物」は、まるで凶悪犯罪者である。
コンビニエンスストアの防犯カメラに映し出された、
「30代とみられる中肉中背の男性」と相違ない。



テンは犯罪などおかさない。
食物連鎖の理に従って、生きているだけである。

間違っているのは、愚かであるのは、
260ヶ所の侵入ヶ所を数え上げ、何時何分カメラに映った、などと調べ上げる人間の方だ。

憤懣やるかたない思いでいるのだが、環境省がこんな有様ならば、
専門家だって「テンはトキを襲います。それは普通のことです」とは
言えなくなってしまうのに違いない。



民主党の金と政治の問題よりも何よりも、
違和感と怒りのフラグを高く上げたい出来事である。

何の畏れもなく、厳しさも覚悟もなく、予定調和され、許容できないことは起こらない。

そんな偽物の自然観が広く社会へ浸透していくことに、我慢がならぬ。
自然の世界というのは、ディズニーランドではないのだ。

まだまだ悪態の限りを尽くしたいが、我慢する。

2007年03月14日(水) 
2006年03月14日(火) ナヌークと扶養家族
2005年03月14日(月) 札のかけかた
2004年03月14日(日) 春風とジャムの一滴



2010年03月08日(月) 職人礼賛

信濃町で、ちょっとした祝宴。

物づくりを極めた本物の職人の方々が一同に集う。
明らかに会社員とは違う様相に、職業は人をつくるなあと興味深く思う。

話をしなくても、全身から学ぶべきものが発せられている。
想像であるが、昔の勤勉な日本人気質に近いものがあるのかもしれない。



プレゼンが上手いとか、口が達者とか、損得勘定が上手いとか根回しが上手いとか、

そんな資質も大切だが、既にそれは、社会を支えるに十分行き渡っている。
むしろ飽和気味であり、イスとりゲームで無用な競争や醜い足の引っ張り合いをしている。

社会の継続的な安定のためにはむしろ、別の資質を評価していかなければいけないだろう。

何事もバランスである。



自分で真摯に何かをつくりだす人というのは、
嘘やごまかしがない。そう思う。

嘘やごまかしで仕事をしないから、その成果も本物である。
だから、謙虚であるが隠し切れない自信に溢れている。

2005年03月08日(火) 



2010年03月07日(日) 母か娘か

天気が悪く東京見物がままならないAは拗ねている。
Hが水族館へ連れ出すことを請け負ったが、
もちろん山道具屋の探索も、セットでついている。

何だかチンチクリンの格好で出掛けようとするから、
池袋だったら川越あたりから来た田舎の人と思われるよ、と悪態をついた。
そうしたら父が、川越にはそんな変な格好の人はいないね、とたたみかけるから、Aはついに泣き出す。

部屋に篭城して怒り心頭に達している。

お母さんは口が過ぎるのよね、と母がAをなぐさめる。
貴女の口から言われなくないね、と心中で思うが後が面倒なので黙っておく。



母親の一言というのは娘には重いものと、自分でもわかっている。

しかし所詮は娘としてそう思っているのにすぎず、
母親としては、実はかなりルーズである。

やれやれ、母と娘というのはやり方が難しい。
それに比べれば、夫婦関係は楽ちんで、因縁が浅い感じがする。

2007年03月07日(水) honey beeその2
2004年03月07日(日) ファイトレメディエーション馬鹿



2010年03月06日(土)

一家で上京。
特急列車の座席をボックスにして、お茶を窓のところに並べて、
家族で行楽、の図式ができあがる。

しかしながら、絵にかいたようにはいかぬ。
Aは小さい弟にちょっかいを出しては大騒ぎをさせ、
Hは出張のビジネスマンみたいな一人旅気分で、のんきに本など読んでいる。

絵にかいたような楽しい家族旅行にするためには、
書かれた絵のように、時を経て実態を曖昧にする必要がある。

つまりは、小さい子どもを抱えた家族の今現在というのは、
騒々しく、争いが絶えず、散らかり放題で、休む暇がないことの連続なのである。

2007年03月06日(火) 鏡をみがく男
2005年03月06日(日) 下山道
2004年03月06日(土) 家畜人ヤプーである状態



2010年03月05日(金) 膨張する身体

昨日の最高気温が最低気温になり、あくる日はその最低気温が最高気温になる日々。


三寒四温が身にこたえるのは、気温差もさることながら、
気圧差というのも、なかなか馬鹿にできないのではないかと、この頃思う。

海面を何センチも上昇させるほどのパワーが、確かに我が身にも作用している。

暑さ寒さみたいに肌身に感じることはないけれど、
膨張収縮に身体が対応しきれていない違和感がある。
首から上がミシミシして、まるでエレベーターに乗り続けているみたいだ。

こういう不具合は薬や空調機器で解消できそうもないし、
またそうするべきではないという感じがする。

大気ある地球に生きる以上、自分で上手く身体をドライブさせて、
この乱気流を乗り切ってみせると意気込んでいる。

2009年03月05日(木) 黒に黒
2008年03月05日(水) 
2005年03月05日(土) 世界の常識、日米の非常識
2004年03月05日(金) 


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