幸せ記録帳
涼香



 暗幕

 暗幕のかかった部屋には、光を遮らなくては観ることの出来ない、光があると思う。
 始めから暗闇の中に明かりのある映画館とは違って、いつもは明るい採光が入る体育館だとか、視聴覚室に暗幕が引かれると、わたしは胸の辺りが不思議とワクワクしてくる。

 それは、小学校の頃の学芸会とか、音楽鑑賞会とか、映画鑑賞会とか。普段の授業とは違う特別な空間が広がっていたことを思い出すからだと思う。
 暗幕を引いた部屋で起きる出来事は、どれもこれも、楽しいことばかりで、これから何か起こるんだろうかという期待に包まれていた。

 だから、わたしは今でも暗幕を引いた部屋に入ると、わけもなくドキドキする。

 暗幕というカーテンには、特別な魔法がかけられているのかもしれない。
 夜は、魔法がかかりやすくなる時間帯。
 そして、夢を見る大切な時間。
 それを、一瞬にして作り上げてしまう暗幕は、やっぱり普段太陽の光で消されてしまう、地上の星を見る魔法の道具なのだろうと思う。

 幸せをありがとう★

2003年09月14日(日)
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