野生の森
高瀬志穂



 お医者さん。

 ここは小さな村の小さな診療所。そこにはカッコ良くて腕利きだと有名なお医者さんと可愛くて優しい看護婦さんがいました。

「さて今日も一日頑張ろうねアスラン。」

 うすピンク色のきれいな服に身を包む少女。彼女は自分の目の前にいる人物に対してにっこりと微笑みかけた。

「頑張るってこんな朝から?昨日もいっぱいヤったじゃないか。」

 キラの微笑みに答えるかのように、アスランはにっこりと微笑む。それはキラのそれとは違って、色々な含みのある表情にしか見えないのだが。

「違ーう!!!今日も沢山の人を幸せにしてあげるの。」
「はいはい。けど俺が幸せにしたいのはキラだけ何だけど。」

 顔を染めて抗議するキラの腰にするりと手を回し、アスランはキラを見下ろす。逆にキラはそんなアスランの視線から逃れようとうつむきつつも、アスランの腕の中から出て行こうとする気配を全く見せなかった。

「だから、そういう恥ずかしいセリフを普通に言わないでよ・・・。」
「いや俺は別に恥ずかしくないし。」
「・・・・・・さぁ開けるからね。」
「はいはい。」

 アスランはキラから離れ白衣を着込む。キラは診療所の入り口を開けた。もうそこには常連とも言える人が座り込んで待っていた。

「あ、おばあちゃんこんにちは。」
「あぁこんにちは。」
「どうぞ、お入りください。」

 そんな感じでいつものように患者さんはぽつぽつとやってきた。


「あ、そろそろ・・・。」

 キラが時計を見ると11時を指していた。

「おーい、いるかー?」
「あ、はいはい。」

 キラはぱたぱたと受付の方にかけよっていった。するとそこにはキラの思ったとおりの人物が立っていた。

「よ、今日は連れてきたぜ。」
「・・・・・・。」
「良かった〜。このまま来なかったらどうしようかと思いましたよ。」
「別に来ようが来ぬまいが治癒力が上がるわけじゃ・・・・・・。」
「けどいつギプス外していいか分からないでしょ?せんせーい。アスラーン。」

 キラはほかの患者がいなくなり、奥で休んでいたアスランを呼んだ。すると、まもなく奥からひょっこりとアスランが顔を出した。

「聞こえてるよ、キラ。あ、ようやく来たか。」
「おまえに見て貰いたくて来たわけじゃない!!」
「はいはい。俺もおまえなんぞ見たくない。けど一応仕事だしな。キラ中へ通しておいて。」
「はい、こちらにどうぞ。」

 イザークは不服そうな顔をしながらも、キラに促されるままに奥へと入って行った。
 それは数日前、道でひかれそうな子供を助けたときに負った怪我であった。が、どうも医者にくるのが嫌いというか、この診療所に来るのが嫌というか、マメに来てくれ、というアスランの言葉を無視しつづけた。
 しかし、結局は幼なじみのディアッカがこうして無理矢理つれてきていた。イザークとは長い付き合いなだけに、彼の扱いに関しては誰にも負けないと自負していただけに、軽やかにここに連れてくることに成功した。 ディアッカは待合室で中の様子を想像しながら、時折聞こえてくる声にくすくすろ笑った。


「はーやれやれお疲れだないつも。」

 診察室から出て来たアスランに、ディアッカはねぎらいともとれるような言葉をかけた。アスランはそのままディアッカのそばの壁に寄りかかり、ポケットから缶コーヒーをとりだし飲んだ。

「別に向こうにいた時よりマシだよ。夜勤もないし、大手術もないし。時間に追われることなくゆっくり出来てるよ。」
「まぁそうかも知れないが・・・・・・。」

 こんな辺境の地に飛ばされたアスラン。自主的に来たというが、もしかしたら何かあったのではないかとディアッカは心配していた。
 アスランのことは実は小さい頃から知っていて、お兄さんのような立場だった。

「おいっ、いつまで待たせる気だ!!」

 と、奥から怒鳴り声が聞こえてきた。

「お前、診察の途中でイザークほったらかしにしたのか?」
「包帯の交換をさせてただけだよ。はぁ、それじゃな。」

 アスランは持っていたコーヒーを飲み干し、それをゴミ箱へと放り投げると奥に有る診察室へと向かった。

**********************

 こんな感じな書きかけの小説があったり。
・・・色々可笑しいね。
去年の今頃のやつです。うわー・・・・・・・・・。
展開が無理矢理すぎ。だって何も考えてないもん。

去年の今頃は普通に普通なアスキラでした。
今?
キラは普通にオンナノコですよ???

この後、実はニコルが出るはずだったんですが、収集がつかなくなりそうなのでカット。

多分サイトの方にはアップされないので、こちらにこっそり。


2004年06月15日(火)



 疑問。

 いつもいつも思ってあることがある。あの二人が二人でいることを始めたあの日から思っていたこと。

「あの、お二人に質問があるのですけど」

 ニコルは目の前でバカップル劇場を繰り広げているキラとアスランに声をかけた。いつもいつもことあるごとにベタベタいちゃいちゃしている二人。今日もアスランは隣に座るキラの腰に手を回し、キラはアスランの肩にもたれかかって気持ちよさそうにしていた。いちゃつくなら部屋に戻れ!というイザークの言葉を無視し、今日もまた回りを気にすることなく談話室でいちゃいちゃとしてた。
 もう日常の光景となりつつあるものだったのだが、ニコルは不思議で仕方なかった。
「あの・・・」
「何?ニコル」

 無視されているのと思いきや(いや、無視というより回りなど全く見えてないような状況なのだが)一応は話を聞いてくれそうな雰囲気のキラにニコルはほっとした。

「お二人はもう随分と長い付き合いなんですよね」
「あぁ、キラとは産まれた頃から、いや産まれる前から赤い糸で繋がっていたんだ」

 キラに質問したはずなのにアスランが口を開いてニコルはほんの少しびっくりした。まぁ答えになってない回答だったのだが。

「アスラン・・・またそういうこと言って・・・僕とアスランは月の幼年学校で一緒になったんだよ。僕の母さんはナチュラルで、けど僕はコーディネイターだから分からないことだらけで。だからアスランのお母さんに色々教えてもらっていたんだ」
「というわけで俺達は親公認の仲だというわけだ。分かったか?」
「いや、僕が聞きたいのはそういうことではなくてですね・・・」

 前は普通だったはずなのに、何故か最近はアスランと会話をすると疲れる気がする。早めにこの話を切り上げないとアスランとキラの愛のメモリアル劇場と始まりそうだったのでニコルは口を開いた。

「今二人の間にあるのは恋愛感情ですよね。けど小さい頃からずっと一緒だったわけでノその気持ちが変わったらとか・・・その家族愛とかにはならないのですか?」

 いつからこの二人に恋愛感情があるのか分からない。けどかなり前からだろうし、そして何でずっと相手だけを思い続けることが出来たのだろうか。
 キラはびっくりしたようにニコルを見てそれからアスランを見つめた。

「家族愛って何だかほんわか愛ってこと?」
「そうだな。恋愛は胸がドキドキしたり、とかだろうな」

 二つの違いを聞いてキラはうーんと悩んでいるようだった。
 するとアスランの方が口を開いた。

「今は恋愛感情だろうけどもしかしたらこれが家族愛に変わるかもしれない。それでも俺がキラを愛しているという事実に代わりはないのだから別にいいと思ってる」

 と、アスランはキラをさらに引き寄せて頬にキスをした。

「しばらくはキラと恋愛を続けたいとは思ってるけどね」
「・・・」

 そう、アスランはキラの前では変態で馬鹿にしか見えないけどちゃんと自分の考えを持っていて。ニコルはアスランを尊敬の眼差しで見つめた。

「ちょ、アスランくすぐったいよぅ」

――――ほんの一瞬だけ。

「あ、ありがとうございました。少しだけすっきりしました」

 ニコルは一応頭を下げる。

「では失礼しますっ」

 そして何だかこれ以上のラブラブが始まりそうなこの場所から離れようとした。

「ニコルにも俺にとってのキラみたいな人が出来ればきっと分かると思うぞ」
「・・・はぁ」
 
 さすがにこんなバカップルにはどうやってもなれないだろうが。
 そんなことを思いながらその場を後にした。


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パソの中に放置されていたネタです。
データは1月とかになってたなぁ・・・。うわ・・・。
多分これは載せて無かったと思うんですけど、あれ?載せてたかしら。
なんていうか、ニコルの疑問ってよりあたしの疑問。
どうしてあの二人はあんなにずっと恋愛の好きでいられるのか。まぁ、乙女の夢のアスキラだからか?

久しぶりにキラinザフトだったりします。



2004年06月10日(木)



 探し物。

 6月の、梅雨でじめじめしたこの時期。
 毎日雨ばかりで憂鬱になったりもするけれど、それなりに楽しいこともあったりする。俺はもうそんなことはどうでもよくなってしまったけれど、今自分の目の前にいる妹はまだそれを心待ちにしている様子だった。
 眉を下げて、まるで泥棒でも入ったかのような部屋のまん中にぽつんと彼女は立っていた。

「・・・・・・キラ、引っ越しでもするのか?」

 色々なものを保管しておく部屋。ここには色々なものがある。もし自分の部屋になければここを探せばきっと見つかるというくらい、色々なものがおいてあった。

「あ、おにいちゃん・・・僕の水着知ってる?」

 キラは眼下に広がるものをじっと見つめて、目当てのものを探す。だがしかし、キラの目にはそられしいものが映らなかった。

「明日からプールの授業が始まるんだけど・・・見つからないんだ。」
「水着、かぁ・・・。」

 アスランもその部屋をぐるりと見回した。キラがあたりをかき回してしまったせいで、探すのが余計に困難な状況になっていて、アスランもそれを見つけることが出来なかった。

「どうしよう・・・ずっと楽しみにしてたのに・・・。」

 見つからない焦りと不安からか、キラの瞳が揺れていた。
 そんなキラを放っておけるアスランではなく、キラの頭を軽く撫で、ゆっくり顔をあげたキラの頬に一つキスを落とした。

「大丈夫だよ。一緒に探してあげるから。」
「ホント?」
「当たり前だろ。それにこれはキラ一人じゃ片付けられないだろ。」

 どこから手をつけてよりのやらさっぱり分からない程にぐちゃぐちゃになってしまった部屋。これをキラに元に戻せと言ったら一日かけても終わらないであろう。

「ありがと、お兄ちゃん。」

 にっこりと自分だけへの笑顔が向けられる。
 最近、キラは少女の顔と女の顔を見せるようになった。そのどちらも自分が作ったものだと考えると、悪い気などしない。
 キラはまたその瓦礫をあさりだし、アスランはそんなキラをじっと見つめたあと、その部屋を出ていった。




「キラ、これなーんだ。」

 しばらくしてアスランはキラのいる部屋へと顔を出した。キラは相変わらずたくさんの荷物と格闘していたのだがなかなか見つからず、少し疲れた顔をしていた。
 後ろから声をかけられ、キラは振り向く。すると見たことのあるいれものを手に持ったアスランがドアのあたりにもたれ掛かっていた。

「・・・・・・あれ?どうしたの、それ!!」

 アスランが手にしていたのはまぎれもなく自分が探し求めていたもの。キラのプールセットが入っている水着入れであった。キラは転ばないように道を選び、とたとたとアスランのそばへとかけよった。

「どうしてお兄ちゃんが持ってるの?」

 ほんの少しの間、いなくなっていたと思っていたら、お目当てのものをもって現れた。実はアスランは魔法使いか、もしくはアスランが隠しもっていたとしか考えられないような状況であった。

「キラの部屋にあったんだよ。」
「・・・・・・・・・・・・え????」

 思いもよらぬ答えを返され、キラは目をぱちくりさせた。だって自分が探した時は・・・。

「ちゃんと自分の部屋、探した?」
「え?あ・・・れ?」

 そういえばキラは自分の部屋を探した記憶がなかった。自分の部屋でそんなものは見たことなかったし、あるとしたらこの部屋だと思っていたから。

「・・・・・・ごめんなさい。」
「いいよ、別に。けど来年はこんなことにならないようにね。」
「分かってる!今度はちゃんとするから。」

 キラがこのセリフを言うのは一体何回目だろうと考えながらアスランはくすくすと笑った。キラもそのことに気づいたのか、笑うアスランをほんの少しだけ眉を潜めた顔で見上げる。けれどアスランはそんなキラを気にした様子もなく、キラに微笑みかけた。
「さて・・・この部屋を片付けないとだな。」

 アスランは途方もなくなってしまった部屋を見回した。どこから手をつけてよいかなんて分からなかったけど、がんばれば今日中に終わるであろう。

「お兄ちゃん・・・僕、どうすればいい?」

 自分が下手に触ると余計に大変なことになることはキラも少しは分かっていた。だからこれ以上アスランに迷惑をかける訳にも行かず、キラは見つけてもらった水着入れをぎゅっと持ちながらアスランを見上げているしかなかった。

「・・・!!」

 縋るような目で見上げるキラは、あどけなさが残る少女そのものだった。しかしその雰囲気は少女のものではなく、男達を惑わせるかのようなものでもあった。
 自分が育てた花とはいえ、自分以外の男が自分と同じようにこの花に惹かれるかもしれない、と最近アスランはずっとそんなことを考えていた。キラにもしものことがあったら・・・と、ここ最近のアスランは気が気でならない。キラはそう言うことに関してはかなり鈍いので、ぼーとしているところにつけいられそうだからだ。

「お兄ちゃん?どうかしたの?」
「え、あ、ごめん。ちょっと考え事。片づけはいいから、キラはその水着着てみなよ。」
「・・・え?」
「だってきつくなってるかもしれないだろ。キラも成長してるわけだし。着れなくなってたら大変だろ。」
「あ、そうか。」

 素直に頷いたキラにアスランは小さくため息をついた。純情に育てたのはアスランだけど、ここまで素直に信じきられてしまうと、キラを一人にすることすら危ういと思ってしまう。自分自身が重傷だということは分かり切っているのだが、それ以上にキラが心配なのだ。

(水着が着れなくなってるわけないじゃないか・・・・・・。)

 どちらにしろ今年一年しかもう着ないのだ。来年は進学し、そこで新しい水着を買うのだから。今着たところで何ら代わりはない。
 まぁ、自分の事をここまで信頼されているというのはうれしいことなのだけれども。

「じゃあちょっと着てみてくるね。」

 バッグを持って部屋を出ていこうとするキラを、アスランは呼び止めた。

「着替えたら俺にも見せてくれよ。」
「分かった〜〜。」

 そう言ってキラは自分の部屋へと戻っていった。

「・・・・・・そろそろ違うことも教えないとかな・・・。」

 自分以外の男を見ないように。ころっと回りに騙されないように。しっかりしているようで抜けているキラに、色々と。

「さて、片付けるか。」

 アスランは気合いを入れ、荒れ狂った部屋の片付けを始めた。


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アスキラ兄妹もの。すっごい途中ですが。
二人の性格を決める為のリハビリなんですけど・・・キラがここまで純情乙女なのもどうかと思う今日この頃。
もう少しアスランを疑うくらいの方がいいかもしれませんな。

2004年06月07日(月)
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