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■ 母の日に。
「今日ちょっと出かけてくるけど。」 二人の住んでいる小さな家。いつもと変わらない朝。アスランはいつもと少し違ったことを言った。 「どこ行くの?」 食事を作るのはアスランの担当、片付けるのはキラの担当。キラは食器を洗いながら自分の背中を見つめているであろう人物に声をかけた。 ほんの少しだけ時間が流れ、食器を全て洗い終えると、キラは振り向いた。と、アスランはキラを見ながら少しだけ悲しそうに微笑んでいた。 「・・・着いてくるか?」
「海?」 そのままアスランに連れられてきたのは海だった。そこは砂浜ではなく、ほんの少し岩のごつごつした場所だった。 アスランは持って来た花束を散らすように岩場から海へと投げ入れた。 それを見て、キラは悲しそうな困惑した表情になる。 「あっ花・・・どうして捨てちゃうの?」 キラがアスランの方を向くと、アスランはじっと水平線を見つめていた。 「違うよ。捨てたんじゃないよ。送ったんだ。」 「海に?誰に?」 「・・・・・・母さんに。今日は母の日だから。」 そのままゆっくりとアスランはキラを見る。少しだけ悲しそうに微笑んだ表情のまま。 「あ・・・。」 「忘れてただろ。」 「う・・・・・・。」 月にいるときもキラはよくこの日を忘れていた。なので、毎年アスランはこの日が近くなるとキラに言っていた。 「俺は母さんとの思い出があんまりないんだ。忙しい人だったし。母の日に会えなかった日もあった。けど毎年カーネーションを送ってたんだ。“産んでくれてありがとう”っていう感謝の気持ちをこめて。」 二人で海を見る。波で流されつつも、まだいくつか見える範囲にカーネーションは浮いていた。 「そうなんだ。月にいた頃は僕のお母さんに一緒にあげてたよね。」 毎年キラとアスランはお小遣いをほんの少しずつ出し合ってキラの母親に何か贈り物をしていた。それは毎年違う物で、二人は毎年この時期になるとそれを考えるのに必死だった。 「母さんより長い間一緒にいたしね。キラはちゃんとあげてた?」 「え・・・ううん。毎年気付くと終ってた。」 「キラらしいな。」 そう言われ、ほんの少しだけ頬を膨らませたキラを見て、アスランはくすくすと笑った。 そんなアスランを見て、キラは肩をすくめ、改めてアスランを見た。 「けどどうして海なの?」 アスランの母親が亡くなったのは宇宙である。それなのに、どうして地球の、それも海なのかキラには分からなかった。 「海は全ての母だから。生物は海から産まれて海に返るって言われてるから。だから海に送ったんだ。死んだ人は星になるって言うこともあるけどな、けれど海の方が母さんに似てる気がしたんだ。」 全てを優しく包み込む感じが。それが母親という存在とよく似た感じがしたから。 「そうなんだ・・・。」 波の音だけが二人の間を流れる。そこにいないと分かっているけれど、思い上がりだと分かっているけれど、その音はあの懐かしい人の声を届けてくれている感じがした。 『ありがとう』 と。
「ほら、キラ。ゆっくりもしてられないよ。」 「え?」 さっきまでしんみりと海を見ていたアスランはキラの腕を引っ張った。キラはびっくりしながらも、抵抗などせずそのままアスランに引っ張られて行く。足場の悪い岩場を転ばないようにと二人は進む。 「もう一人の、俺たちの”母親”にプレゼントを渡しに行かないとだろ。」 「え?けど僕、何も買ってない・・・。」 「カーネーションなら買ってあるよ。さっきのと一緒にさ。けれど俺たち二人が二人で行けば、それだけでプレゼントになるだろ?」 今年のプレゼントはカーネーションと自分たちが幸せであることの報告。 「また・・・そういうこと・・・・・・。」 そういうセリフをはずかしげもなくさらりというアスランに対し、キラは頬をほんのりと染める。そしてアスランの腕にぎゅっとしがみついた。 「そしたら・・・もう一本だけカーネーションもらってもいい?」 「え?」 「僕の・・・・・・本当の母さんに・・・あげたいんだ。」 キラの育ての親は、キラの本当の母親の妹である。本当の母親がお腹を痛めて産んだ子ではないとしても、産まれてすぐにブルーコスモスに追われてしまい、顔も声も温もりさえも何も覚えてなくても、それでも母親なのだ。 「そうだな。分かった。あんまり本数ないから分けられないけどな。」 「ううん、ほんの少しでいいからさ。」 自分の母親は育ててくれたあの人だけ。けれど本当の母親が存在しなければキラはそこに存在しなかった。 だから感謝したい。何をどう感謝していいのか分からないけれど感謝の気持ちを表したい。
だって今日は母の日なのだから。
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母の日っていうことで、かなり無理矢理書きました。勢いだけです。珍しく何日もかけてない小説です。 見直しもあんまりしてないので文がおかしいです。すいません。
「母の日か・・・そうかレノアさん・・・!!!書かないと!!」という全く意味の分からない連想が頭の中に浮かび、そのまま書きました。 どうしてそこでカリダさんに行かないでレノアさんに行ったのかふしぎです。
母の日ってアスランにとって結構シリアス・・・なんて思ってたら、よく考えたらキラの方がシリアスちっくなんですよね。 自分の母親は卵子提供者なんですもの。 十月十日お腹を痛めたわけではないし(痛めて産んだのはカガリですからね)。 だから母親と思うのは育ての親で。けれど本当の親ではなくて。そこんとこが微妙。 けれど書きたかったのはレノアさん。 本の為に色々ネタだししているのですが、自分的レノアさんが出来上がってきました。もうかなり勝手にレノアさんを作りだしてます。 カリダさんはドラマCDとか出てきたから何となくイメージあるんですけどね〜〜。まぁ、喜久子ママはまんま喜久子ママで。 レノアさんの声優とか気になるな〜〜。聞きたい〜〜〜!!!
2004年05月09日(日)
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