よるの読書日記
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| 2002年04月12日(金) |
いのちのまひる いのちのくらやみ |
『永遠の仔』下<天童荒太/幻冬舎> 優希が医者を目指せるほど優秀な女の子だったっていうのは ドラマでは出てなかったような気もするなぁ。 賢さを強調すると柴田になってしまうから?
このことに気付いてふと思ったのはベストセラーだからって 安易に映画化や2時間ドラマ化するのはいけませんな、 内容が骨太な長編ならなおさらね。 作家がそれだけの言葉を費やして練り上げた世界を 絵と音があればあっさり越えられるなんて考えちゃいけません。 だってこれだけ念入りに作られた連続ドラマでも 描ききれないことがあるんだから。
とは言えキャストがもろ好みだったので 最後はドラマでも泣けましたが小説でも。 そんなに自分を追い詰めなくても良かったんだよ、 あなたはとても素晴らしい人だよと言ってあげたかった。 もしかして優希が言えば喜んでくれたかもしれない。 例え本当に救われることにはならなくても、 二人で生きてみてほしかったぁ。 傷を舐め合うんじゃなく、そっと息を吹きかけあうように いたわりあって、あの老夫婦みたく寄り添っていてほしかった。 生きて、いつか幸せになって。
余談ですが今回のタイトルはイメージから 谷山浩子の名曲『約束の海』の一節を借りました。 でも歌詞カードが行方不明なので一応平仮名(笑)。 “暗闇”から連想したのですが、 さらによく聞くと「あなたと出逢えた約束の海 約束の岸辺」 ってますます近いのでした。
『永遠の仔』上
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