■つれづれ日記■
光樹



 スウィーニー・トッド感想

 「スウィーニー・トッド」を観た!
 メイク濃っっ!!←第一声。

 しかしここ最近観た舞台の中で一番面白かった。出来もよかったし、キャストもうまかったし、お話作りのお手本のようなまとまりかたをしていた。無実の罪で15年の島流しにあっていた床屋のスウィーニー・トッドが街に戻って復讐を開始、殺した人肉でラヴェット夫人がパイを焼く、というものすごい設定のお話。実にお約束通りの展開をして、実にわかりやすいキャラの配置。水戸黄門のようなお約束ごとが大好きな日本人としては、お約束を守られることには割と安心するタチなので、気持ちいいくらいです。凄惨な復讐劇なのに、ちっとも重苦しくなくて、むしろ楽しいとすら感じる演出。宮本亜門の演出ってはじめて観たのだけど、いやあ、すごいなあ…。

 市村正親(スウィーニー・トッド)の存在感は登場するだけで目が釘付けになるし、大竹しのぶ(ミセス・ラヴェット)がどれだけ陰惨なことを言ってもその可愛らしさが全てを超越する。
 城たん(アンソニー)はうぜぇ(爆笑)。←誉めてます。一人若々しくて純粋でテンション高い役で、暗い話の一服の清涼剤としてちゃんと機能してはいるんですが、フリスク10粒一気に飲み干したみたいな劇薬効果でした。誉めてるよ? 尻尾が千切れそうなくらいぶんぶん振る大型犬。あと背高すぎて遠近感狂う。
 ソニン(ジョアンナ)は部屋に閉じ込められて育った清楚なお嬢さんで、そのアンソニーに一目惚れされる役だけども、世間知らず加減や養父への恐怖がヒステリックで若干電波の域に達しているのが、その演技と高音の歌で非常によく出てて、結局この舞台でほんとに清涼剤なキャラなんて一人もいないんだなあというのが面白いです(笑)。

 粗筋にある通りの展開で物語は進んでいくわけで、登場人物の配置や役どころや心の動きが、もう何一つ迷うことなく観客に伝わってくる。セリフの大半が歌だというのに、聞き取れないということがないのが驚き。ソンドハイムの楽曲は難しいことで有名、と聞いていたけど、難しいとかそういうレベルの問題ではなくて。
 キャラの役割はわかりやすいけど、記号化されたようなわかりやすさではなくて、生き生きとキャラが動きまわるのに、観客が迷うことがない。出てきた瞬間に、この人はこういう役割なんだな、と、表情や、声や、あとは音で知らせるのは非常に演技力や演出力を要することで、それに全員が応えてはじめてこの舞台は成り立つのだろうな。
 トッドさんが1幕終盤で満願成就の瞬間を向かえて、悪者を床屋の椅子に座らせて(髭を剃るフリして剃刀で喉をかっ切るわけだ)歌うシーンなんか、殺人鬼とヒゲのおっさんのデュエットで描かれる復讐の瞬間だというのに、美しいとすら思った。

 古典的というか、初演はそもそも30年近く前らしいので古典なのは当たり前で、むしろ私が小学生のころに図書館で読み漁った海外ミステリー(ドイルとかクリスティーとか)を彷彿とさせて、ノスタルジーすら感じてしまう。筋立てはものすごく「モンテ・クリスト伯」とか「レ・ミゼラブル」だなあと思うんだけど、どっちがどっちにどう影響してるのかはよく知らない。

 城田優がこういう大きなミュージカルの中でどの程度に見えるのか、というのが知りたかったのだけど、やっぱり遜色無かったと思う。もちろん存在感とかで太刀打ちできるとは思わないけど、もっともっと舞台で観たいですやっぱり。



2007年02月18日(日)
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