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■ 好き、好き、大好きだからこそ。
いつになればこの身体に飽きるのだろう。いや、いつ彼はこの身体に飽きてしまうのだろう。 ふとそんなことをぼんやりと考える。 柔らかみのない身体。平らな胸。下半身にあるのは彼と同じもの。 彼を引き留める要素なんて全くない。けれども彼は愛を囁き、この身体を蹂躙する。
「キラ。」
与えられる快楽に身を任せ浅い呼吸を繰り返していると名前を呼ばれ、ゆっくりと目を開けると、瞼の裏側の暗い世界からエメラルドの瞳をもつ少年の顔がいっぱいに広がった視界へと変化する。
「やめる?」
この行為以外のところに意識があったことをすぐに悟られ、キラは首を横に数度振った。 嫌いではない。彼のことも、この行為も。むしろ幸せなのだ。切羽詰まったような彼の声とか表情とか、この身体を感じてくれていることとか。 幸せで、だからふと頭によぎってしまう。一度頭に浮かぶと残ってしまう。今だけの関係なら、今を一番信じなくてはいけないのに。
「じゃあどうかしたのか?」
前髪を避けられ、額に軽くキスをされる。嫌いではない。むしろ好き。彼のしてくれる行動はそんなものばかりだ。 素直に言ってよいものか思案していると、アスランはキラの手をぎゅっと握りしめ、キラをじっと見下ろした。 きっとキラの言葉を待っているのであろう。それ以上動く気配はない。 何度か口を開いては閉じて、それを繰り返した後、喉を震わせて言葉を出した。
「幸せ、なんだ。」
その言葉に、アスランはゆっくりと顔を緩ませる。
「だけど、だからこそ怖い。この手が離れていくことが。」
キラは握られていた手を握り返す。
「離れてなんていかないよ。」 「…うん。けど怖い。」 「それはキラが俺のことを信用してないってことか?」 「信じているよ。けど……こんな面白味のない身体をアスランが飽きないとは限らない。」
その言葉に驚いたようにアスランは目を丸くした。 それから一呼吸置くとアスランは口を開いた。
「それなら俺の方が不安だ。キラは男だから、男に抱かれるよりも女を抱きたいと思うだろう?」
確かに男が好きだからアスランを足を開いているわけではない。可愛い女の子や魅力的な女性に目を奪われることもある。 しかし、素肌で抱き合うのは彼一人。
「キラは俺の身体に飽きない?」
飽きることなんてない。だって身体が欲しくて身体を重ねているわけじゃないんだから。確かに気持ちいいと思う。けどそれだけじゃない。 答えを返していないのに、アスランはキラがなにを考えているのかわかっているように嬉しそうに笑う。しかし、唇をゆっくりなぞられる。ちゃんと言葉にしろというように。
「アスランの一番近くになれるのが嬉しい。」
腕を伸ばしてアスランの首の後ろに回して、その身体を引き寄せる。
「それに、こんな近くで誰かを見つめさせることなんてさせてくれないんでしょ。」
他の誰かを見つめることを許さない、だけじゃない。他の誰かに目がいかないくらいアスランに夢中にさせられている。
「当たり前だろ。それに俺だってキラしか見えてない。」
お前だって嫉妬深いだろ? そう耳元で囁かれる。 あぁなんて馬鹿な二人だろう。これ以上ないくらい馬鹿だ。
「もちろん、許さないよ。君が他の誰かを見るなんて。」
さっきまでもやもやとしていた胸の中がすっきり晴れる。 言葉に出しただけなのに。知っているはずの言葉を聞いただけなのに。
「この距離は僕だけのものだから。」
そう言って腕に力を込めて、アスランの頭を自分へとさらに引き寄せて、唇を重ね合わせた。
2010年04月22日(木)
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