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■ ここが、一番の場所
明け方にふと目を覚ますと、よく知った温もりの中にいた。
「腕とか痺れないのかなぁ。」
自分にしか聞こえないくらい小さな声で呟き、隣に眠る人物を起こさないようにそっと身体を起こした。 片方の腕は伸ばされ枕に、そうしてもう片方の腕は抱き締めるように腰に回されていた。 いつもの光景なのにどこかくすぐったくて思わず笑みをこぼしてしまう。 そして、起きる気配のない人物の髪をそっと撫でた。 起きている時は英雄と呼ばれる彼も、こうしているとただの少年だ。 二度の対戦を戦い抜いたほどの実力の持ち主なのだが、今は普通の少年の寝顔をキラに見せていた。
「……まぁ僕も人のこと言えないか。」
フリーダムのパイロットだと伝えた時、信じて貰えたことは一度もなかった気がする。向かうところ敵無しのその強さから、屈強の軍人だと思われていたようだ。 確かにキラは同い年の軍人であるアスランに比べて少しだけ小さく、筋肉もそれほどついてはいなかった。信じてもらえなくても頷ける。 寝ているアスランの額を撫で、それから頬を優しく撫でる。 不思議と愛おしさしか生まれてこない。 殺したい程に憎んでいたころもあったというのにも関わらず、今はこうして触れられることに喜びだけを感じていた。 手で触れるだけではあきたらず、今度は唇で額、頬、そしていつも優しく名前を読んでくれる唇に触れるだけのキスを落とした。 すると固く閉じられていた瞳がゆっくりと開き、キラの姿を捉えた。
「おはよ、アスラン。」
そうして再度唇にキスを落とすと腕と腰を引き寄せられ、数分前と同じようにアスランの腕の中に捕えられた。
「…まだ朝じゃないだろ。もう少し寝てろ。」
まだ少し寝ぼけたような声がキラの耳に届く。
「けどもったいなくない?せっかく久々に一緒にいるのに。」
お互いに忙しくて、こうして会えたのはいつぶりだろうと思う。それなのに会話よりも見つめ合うよりも寄り添って寝ている時間が何より長いのはなんだかもったいない気がする。 するとキラの額に軽くアスランの唇が当てられた。
「けどお前、最近寝てないんだろ。」 「なんで知ってるのさ。」 「昨日会った時から顔色が悪かったしな。こうしていればよく寝れるだろ?」
そうして身体に回された腕に力が入り、さらに身体が密着する。
「寝れなかったのは君も同じだろ。」
まるで抱き枕を抱き締めるようにアスランはキラを抱え込む。するとすぐに規則正しい寝息が聞こえてきた。 アスランの言うことは真実だ。最近は忙しくてろくに睡眠もとれてなかった。なにより、ソファーやら椅子やらでのうたた寝ばかりでベッドの上で寝るのも久々だった。 それはアスランも同じことだろう。いつもならしつこいくらいにべたべたしてくるアスランが安眠を求めるようにキラを抱き締めているのだから。 そっと目を閉じるとアスランの温もりと心音がキラに伝わる。それがなにより心地よくすぐに睡魔に襲われる。 あぁ確かにここなら安眠出来る。そう思って眠りについた。
2010年04月21日(水)
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