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■ 忘れな草。33 にょ
「どんな、ですか。生命を生む神がいればそれを無に返す神もいるということです。」
白があれば黒がある。影があれば光があるというということ。
「それはあなた一人だと?」 「いえ一人じゃありませんわ。」
少女は首を横に振った。自分は大勢の中の一人なんだというように。 そんな死神の話を聞いて、アスランは少しだけ悲しそうに笑った。
「けれど産み出すのはとにかく消し去るなんて大変な仕事ですね。」 「そうですね。けど私はそれが仕事です。気付いた時はもう死神。自分が生まれてきた意味もその自分の仕事にも疑問を持ったことはありません。」 「本当に?」
アスランは思わず聞き返した。自分が自分であることに疑問を持った事がないという言葉に。自由などないという存在に。
「そうですね。あなたに会ってちょっと色々と思うようになったかも知れません。今まで誰にも聞かれたこともそしてこんなに長く話をしたこともありませんし。私が話をするのは人の死の直前ですから。」
それが死神なのだ。誰かに知られてはいけない。だから会うのは死の直前。いや、死にそうな人間にしか見る事すら出来ないのだ。 だから見たら死ぬ。
「・・・やめたくないですか?」
人の命を奪うという事。人殺しではない。死神が人を殺すのではないのだから。死んでしまった人の魂を導くのが仕事なのだから。 それでも何度も何度も人の死を見て、自由など与えられず、ただ与えられた仕事だけをこなしていく。
「やめても何もすることがありません。私はこれだけの存在。役目が出来なくなれば消滅するだけです。」
ただそれだけの為に生まれてきた。それだけの為に作られた。誰かがしなくてはいけない。その誰かが自分なのだ。
「随分な話だな。」 「それが決まりです。神は生まれた時から神でありつづけなくてはいけない。」
絶対的で公平な存在。それが神。誰からも崇められるかわりに、自由などない。あるのは永遠だけ。
「じゃあ人間のがいいのか?」
色々と考えて、自由が与えられて。死というものがつきまとうけれど、神ほど縛られているわけではない。
「まぁ色々なことを思い考えることが出来ると考えればそうでしょうね。神には辛いこと悲しいことも無ければ楽しいこともありませんし。」 「だからあなたはそんな風に悲しそうに微笑むんですか?」
少女はずっと笑っている。けれど楽しそうでは無い。ずっと悲しそうな目をしている。それは涙を流しそうというわけではない。ただ悲しみを帯びた目の色をしているのだ。
「それはあなたも同じなのではなくて?」
まるで似た者同士というかのように、少女はアスランを見た。
「・・・何で俺があなたのきまぐれに選ばれたのか分かった気がします。」 「そうですか?」
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まぁ、そろそろキラに出会えるかな、アスランが。 そろそろキラを抱きしめたいんですけど、あたしが。
2005年03月07日(月)
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