 |
 |
■■■
■■
■ 忘れな草。5
「ただの俺の不注意だよ。キラが気にすることはない。」 「・・・ごめんね。」
そして自然に唇が重なる。軽く重なって、そして離れた。その瞬間、アスランの頭の中に何かのビジョンが流れた。それは昨夜だかいつだか分からない、月の下での話し合い。 生きるためには何かを犠牲にしろ、というあの話。 アスランはそれを頭から消し去るように、一度頭を振った。何があってもキラにだけは手を出せない。キラにだけは知られたくない。 ふと、アスランは何かに気づいた。いや、頭に何かが引っかかった。けれどそれが何だか分からない。何かを忘れているかのような、そんな感覚。
「アスラン?」
ずっと難しい顔で考え事をしているアスランを、キラは心配そうに覗き込んでいた。そんなキラに心配をかけまいと、アスランはいつものように笑った。
「さ、キラは今日は部屋に帰って。また明日、な。」
ぽん、とキラの頭をなでると、キラはどこか悲しそうな目でアスランを見つめた。
「アスランは一緒にいるの、イヤ?」
まるで置いて行かれる子犬のような、そんなすがるような目でじっとアスランを見る。キラは今までそんな日々をずっと過ごしてきたのだろう。昼間は誰かが来ても夜は一人。そんな日々を。 だから同じ敷地内にいるアスランにすがろうとしている。それは甘えなのか当然のことなのか。 けれど甘やかしているばかりでもいられない。そうは思ってもアスランにとってキラは大切な存在で、突き放すことも出来ない。 だからキラの頬に手をあて、そしてキラと視線を絡めた。
「そんなことあるわけないだろ。けどここは病院なんだから、な。お前の入院が長引いたら大変だろ。」 「・・・・・・。」
日が暮れていく。彼女の言った言葉が本当ならキラをこんな時間に側においておく訳にはいかない。知らないうちに力を使ってしまい、彼女を巻き込んでしまいたくないから。
「分かった。けど明日も来ていい?」 「当たり前だろ。みんなに迷惑をかけない時間にまたおいで。」 「うんっ!!」
キラはちゅっともう一度だけアスランにキスすると、ベッドから降りてスリッパを履いた。
「じゃあね、アスラン。」 「あぁ、おやすみ。」
キラはアスランに手を振ると部屋を出ていった。
「・・・。」
彼女の言ってた力がどういうものか分からない。けれどあの子にだけは手を出すわけにはいかない。何よりも大切な子だから。 考え事をしていると夕食が運ばれ、そして何と無く外を見ているともう消灯時間だと告げられた。
「さて、と。」
見回りの看護婦が遠くへ行ったことを確認し、アスランはそっとベッドを出た。 彼女と話がしたいから。部屋から見た景色と似たような景色が見えたあの場所は・・・。 ぎぎっと重たそうな音と共にドアが開く。
************
・・・手出したいです(ぉい。) いや、まぁ流れがどういう方向に進むかなんていまのところさっぱりですけどな。 今回はあんまり話の展開が進みませんでしたな。 次とかその次あたりで・・・ようやく少しは見えてくるかなぁ。 見えないかな、まだ。
次はあの方が再登場です。言わずとも分かると思いますがね。
2004年09月08日(水)
|
|
 |