野生の森
高瀬志穂



 忘れな草。3

 アスランは自分を見下ろす人物の目尻に指を滑らせ涙を拭った。キラはそんなアスランの手に自分の手を重ね、その体温を感じた。
 そこにはたった二人しかいないような甘い空気が流れる。そのままっずっとこうしててもいいかななんて思った頃、二人の甘い空気をかき消すかのように声をかけられた。

「・・・もういいかな、キラ君。」

 二人が声のした方を見ると、ドアの辺りで二人を見つめてる人物がいた。白衣を着込んだ男性は何だか恥ずかしそうというか、自分の存在をきれいさっぱり消されてて一体どうしていいのか分からず、気まずそうにしていた。

「あ、ごめんなさいっ!!」

 キラはその事実を思い出し慌ててアスランから離れた。
 ラブシーンを人に見られたのだから当然というべきか。キラがアスランから離れると入れ替わるようにアスランに近付き、じっとアスランの顔を見つめた。

「酷い外傷も脳波の以上もない。ただ眠り続けていただけ、か。」

 そういえば一体何日経ったのだろうか。外はきれいな夕焼けで、確かあの時は朝だった気がする。部屋には何も置いてなく、今の日付を確認するようなものなんてなかった。
 けれど、さっきの夢は夜だった。きれいな満月でそこに少女がいた。

「ホントにホントにアスランは平気なんですか!?」

 キラはどうもまだ落ち着かない様子で、その医者に喰ってかかるようにアスランの状況を聞いていた。

「あぁ。車に引かれたハズだけどきっととっさに受け身でも取ったんだろ。命に関わる怪我はないよ。打ち身と擦り傷くらいだし。しかし運がいいというか何というか・・・。」

 医者はさらに興味深そうにアスランを見た。まぁ、車にひかれてひどい怪我もないのだから、医者としては興味をそそられるだろう。
 医者の言う通り、アスラン自身に特にこれと言った痛みはない。ちょっと所々ずきずきする程度で、別に命に別状なんてなさそうだった。

「キラ、大丈夫だよ。お医者さんだって平気だって言ってるんだし、俺は別にどこも悪くないよ。」
「そう?ホントに平気?無理してない?」

 先ほどアスランから離れたキラであったが、やはり側にいたいらしく、だんだんとアスランに近づいてくる。そんなキラの仕草が可愛くて、アスランはくすくすと笑ってしまった。

「私としてみればキラ君のが重病人だな。顔色変えてここまで走ってくるし、そのまま何度も倒れそうになるし。」

 その医者は一つため息をついた。どうやらこの病室で横になっている人物より、今その人物に泣きついてきている人物の方が大変なことになっているらしい。
 と、アスランは一つの事実に気がついた。

「・・・そういえばキラ、お前はどうしてここにそんな格好で?」

 よく見るとキラの服装はパジャマ。ここは多分病院。アスランはなぜかその二つが繋がる記憶がなかった。記憶がぽっかりと抜け落ちているというか、最初からそんな事実はなかったというか、全く思い出せない。
 こんなにも大切な子のことなのにどうして何も思い出せないのだろうか、というくらいに。

「アスラン覚えてない?僕、数日前から検査でここに入院してるの。」
「あ・・・。」

 そういえばそんなこともあったかも、とアスランは気付いた。なぜそんな大切なことを忘れてしまっていたのか。
 キラの見舞いにくる途中、信号待ちをしているところを車に突っ込まれ、そこからの記憶がない。
 ということは自分はそこで車にひかれてここに運ばれたということだろう。

「やっぱりまだおかしい?」

 心配そうに覗いてくるキラに、アスランは心配をかけまいと笑った。

「いや、平気だよ。ちょっとぼけてただけだから。」

 多分ぼけていただけだろう。だって、今、キラからその事実を聞いてちゃんと思い出せたのだから。無いと思った記憶がちゃんとたぐりよせられたのだから。
 すると、キラがずっと見つめていたアスランから視線を外し、そこに立つもう一人の人物をじっと見上げた。

「・・・先生。」
「駄目だって言われるのにお願い事か?」

 その医者はキラの主治医なのだろうか。キラが何を言いたいのか手に取るように分かる、みたいな顔をしている。それがアスランにはちょっと気に入らない。
 キラのことを一番分かっているのはアスラン、もしくはキラの家族だと思っているから。

「う・・・けど今日はアスランのそばにいたいし。」

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 すごいよ!!連続更新。
実は昨日の朝、起きた瞬間からすごい書きためました。
というわけでまだしばらく更新には困らなそうです。

つか、少しずつなんですけどカウンタが回ってるってことはここ読まれてるってことなんですかね?
何だか嬉しい限りです〜〜。
最終的にはサイトに載せますけど、こんな小さいところまで発見して読んでいただいてるって思うと幸せです。

さて、この後ですが・・・まだ色々と解けていない謎をときつつ、らぶらぶらぶらぶにしていきたいな、と。
まだちょっと先になりそうですけど。
・・・つか、これホントにハッピーで終われるか?ゲームはハッピーだったけど・・・あたしの文才じゃ運が悪いと・・・。

まぁ、頑張ります。
本の方の原稿をやらないといけないんですけど、こっちもちょこちょこ頑張ります。



2004年09月06日(月)
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