野生の森
高瀬志穂



 一番側にいる人。

「痛いよぅ・・・。」

 ベッドの中お腹を抱えて丸くなる。この慢性的な痛みはただこうして耐えるしかない。今日は両親も兄も帰りが遅いと言っていた。だから家にいるのはキラ一人である。

「おにいちゃん・・・。」

 布団を頭から被り目を瞑る。頭に浮かぶのは父親でも母親でもなくいつも優しい兄の姿。

ガタンッ

 誰もいなく、音のしない家。少しの音でも響くのでキラはびくっと震えた。

「おにいちゃん・・・。」

 小さく名前を呼ぶ。一人きりは寂しくて余計に体調が悪くなりそうで、ただ名前を呼んだ。そうすれば少しは気がまぎれると思ったから。
 しかし、ただ一方的のはずの呼びかけに答えるものがいた。

「どうかしたのか?」
「・・・っ。」

 痛みをこらえゆっくりと布団から顔を出す。すると、そこには今までずっとまちわびていた人物がいた。

「お、にぃちゃん・・・。」
「キラ!?どうかしたのか?」

 アスランは優しくキラの涙の痕を手で拭った。

「あ・・・。」

 それでようやく気付いた、自分が泣いていたことに。そして無理に作った笑顔をアスランに向けた。

「大、丈夫・・・。」
「じゃないだろ。全くお前は無理をしすぎなんだよ。ご飯も食べてないみたいだし。どうかしたのか?」

 心配そうに覗き込んでくるアスラン。知られたくない。恥ずかしい。けれど今はそんなことを言ってられる余裕がなかった。こうして話してる間もあの慢性的な痛みは続いているのだから。

「・・・おなか、痛いの・・・・・・。」

 頬からのアスランの体温が心地良くてほっとして、次々に涙が溢れた。

「ほらもう泣かないで。大丈夫だから。」

 アスランはよしよしといいながらキラの背中をさすってやる。キラは気持ち良くてゆっくりと目を閉じた。

「痛くて寝ることも出来ないのか?」
「・・・うん・・・。」

 キラがそういうとほんの少しアスランは考え込んで、そしてキラを抱きしめたままもそもそと動き、二人はキラの布団の中に身を沈めた。

「こうしてれば少しは楽か?」
「うん・・・。」

 すぐそばにとても安心できるぬくもりを感じる。それだけで、キラの痛みっはだんだんとおさまっていった。

「じゃあ、お前が寝付くまでこうしててやるから。」

 目を閉じたままアスランの腕に抱かれ、そのぬくもりだけを感じている。それがとてもうれしくて、そしてとても悪い気がした。
「ごめんね、お兄ちゃん・・・。」
「なんでキラが謝るのさ。」

 目を閉じているために顔は見えない。けれどその声はびっくりしたようなあきれたような声だった。
「だって・・・こんなに狭い布団で・・・それにお兄ちゃんだってしたいことあるのに、僕のために時間割いてくれて・・・。」

 アスランは学校から帰ってきたばかりである。まだご飯も食べていないだろう。それなのに、アスランはキラを優先してくれているのだ。
「俺が好きでやってるんだから、キラは気にしなくていいの。そんなこと考えなくていいの。ほら、早く寝ろ。」
「うん、おやすみなさい・・・。」
「おやすみ。」

 この気持ちはなんだろうか。アスランがすぐそばにいてくれるというだけで、こんな安心するというものは。
 そんなことを頭の隅で考えつつ、キラは眠りについた。



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 さて、なんだかさっぱりですけど、兄アス×妹キラでございます。
それでもキラの一人称は「僕」で。
誰だか分からなくなるから。

このネタはちゃんと設定も考えてます。
いつかちゃんと書きます。絶対書きます。
実はもう一つこれ系のネタがあったり・・・。

ちなみに、これを考えた時、腹が痛かったのはあたしです。
痛いのにこんなネタを必死に考えてました。
 

2004年02月21日(土)
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