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漫画関連ファイル


2000年04月27日(木)
「不死の花」 by 花郁悠紀子

今年も藤の花の季節がきました。
藤木さんの日記に花郁悠紀子さんの「不死の花」について
書いてあったので私もひとこと。

昔、「不死の花」にでてきた、氷見市の藤波神社に行ったことがあります。
そこは、車でなくては行けないようなところにあるのですが、
小さな神社に上がる階段におおいかぶさるように、見事な藤が咲いていました。
樹齢250年、毎年毎年花を咲かせて、散っているのでしょう。
あまり人目に触れない美しいものが、世の中にはたくさんあるのでしょうが、
誰かがそれを見つけて、作品にしてくれると、たくさんの人の心の中に
存在するようになるんですね。

作品の中の藤の花は現実より美しいかな?
藤の精を知って、現実の藤の美しさがもっと増したように
藤波神社の藤の花は、「不死の花」の中の藤に
また新しいイメージを与えてくれました。

ところで、藤波神社の資料がないかしら、と検索していたら
いろいろあったんですが一番きれいに写っているページは多分これじゃないかしら。

田子の藤
http://www.asahi-net.or.jp/~SG2H-YMST/tako.html

このページは大伴家持についてのHPにありました。
まだ全部は拝見していないんですが、すごい情報量です。万葉関係のリンクも
たどってみたら楽しそう。トップページはこちら。

大伴家持の世界
http://www.asahi-net.or.jp/~SG2H-YMST/index.html
(制作者の方のプロフィールを読んでびっくり、ある漫画家さんのご主人でした。)

藤波神社の地図はこちら
雨晴付近地図
http://www.mapion.co.jp/cgi/m?no=3091745000209000000
(下田子と上田子の間、氷見バイパスの西側にあります)



2000年04月24日(月)
「ミラノこれくしょん」 by 文月今日子

文月さんの作品としては一番長編じゃないかしら?
6巻まで出ています。原作は国本果子さん(Kodansha Comics BL)

世界的なデザイナー”キドザキ”の娘でありながら、父の再婚相手にうとまれ
イタリアで暮らす”ミラノ”は、とっても元気な女の子。
母親の違う妹”桜華”と再会できる日を楽しみにしている。
しかし、ミラノは死んだことになっていて、桜華にあわせてもらえない。
桜華が父のファッションショーにモデルとしてデビューすることを知り、
ミラノは桜華のためにドレスをデザインする。
ミラノの才能に目をつけた永瀬グループの御曹司、”朔実”はミラノを利用して
キドザキのブランドをのっとろうとする…

これが物語りの発端で、そのあと話は二転三転し、姉妹対決や、のっとりや
ばらばらだった家族の心が通じたり、形だけの結婚のはずが本気になったり
細腕繁盛記になったり、いろんなパターンのてんこもりです。
それがとっても楽しいぞ。

昔から、文月さんの描く女の子は威勢がよくて、かわいくて、
男の子は肩幅が広そうで背広姿がかっこいい。
デビュー当初のすみずみまで才気を感じさせるようなところから
ちょっと肩の力が抜けて、長距離もOKになった感じかな?
原作つきでも、文月さんらしい、とても楽しい作品でした。



2000年04月23日(日)
『百鬼夜行抄』7巻 by 今 市子

「百鬼夜行抄」の新刊が出ました。
だんだん魑魅魍魎が身近に迫っているというか
人間の念にからんだ事件にまきこまれる話が多くなって来ましたね。
今市子さんは、富山県の方だそうですが、
大きな町でさえ家の中の暗がりが残っている土地柄、
そんなこんなが、こういう形で作品になったのかな?
と思うと興味深いです。

富山の人は話がうまい。話というか語りというか。
近所の家の事や、その親戚のこと、誰が誰とどうなって、
どんな子供がいて、どんな仕事をして、どんな病気になって、
どんなふうに死んだのか。
語り継がれるいろいろなこと。
お盆の時期に、そういう話を聞かされると、
(そういうときは仏壇の扉が開かれていてお線香の香りが残っていたりするんだが)
思わずうしろを振り返ってしまう感じ。
どこでもそうかしら?富山だけじゃないかしら?
でも同じ地方都市でも金沢はまた違う感じがする。

そしてまた、富山の女の子達は、しっかり者なんである。
語りの血と、合理性は矛盾しない。
ばりばり働いて、家をたて、子供達をしっかり教育して、いい学校にやり
お茶を飲みながら、よもやまバナシを楽しむ。

転勤族のうちの両親は退職後に故郷の富山に家をたてたけど、
いまだに「旅の人」と言われているらしい。「タビノモン」ともいう。
しかし、母は語る才能を失っていない。(しかもほんの少し勘がいいタイプ)
親戚の誰かが亡くなった時のこと、変な夢を見た、という。
亡くなったその人がうちの居間に黙って入ってくる。ほかの人には
その人が見えないのに、母にだけは見える。そして、しきりに話しかけるが
ほかの人は知らん顔してる。そのうちその人は家から出て行った、、、、

そんな話を淡々とするんだけれど、、、、、、
あまりに臨場感があって、実の母ながら、こわいです、、、、

妙な話になってしまいました。
今 市子さんの作品にいくらかそういう富山テイストが入ってるかな?
とちょっと思いました。



2000年04月21日(金)
「夜叉」by吉田秋生

あ、記事をたてるほどのことじゃないんですけど、
今月号の別コミを立ち読みしてきたら、「夜叉」にシン・スウ・リンが
でてきたんだよ!
これってあの「シン」かなあ。同じ名前だよなあ。
そしたら静を見て「おまえによく似たやつを知っていた」とかなんとか言って
アッシュの回想シーンなんか入ったりするのかしら。
楽しみ〜。



2000年04月09日(日)
「はみだしっ子」についてNoviceさんと語る(再録)



「はみだしっ子」についてNoviceさんと語る(再録)


[393]夏休みモード全開です:SOKE:1999/08/10(Tue) 22:21:51

昔、オスカーが好きだったなあ―。でも、おとなになって、オスカーの不幸を
理解できるようになってからは「素直でぜいたくな、てらいのない」感情表現ができる
エーリクが好きになりました。トーマは「11月のギムナジウム」のトーマの方が好き。
作品としては「トーマの心臓」の方が完成度は高いけど、どっちもいいですよね。
さらに、発展して「残酷な神が支配する」がいったいどこへ行くのか、、
いまだに読めない私です。
「訪問者」のオスカーのような子供は、実際にたくさん存在しています。
それはもうこわいくらいです。子供が当然受けるべき愛情を受けていないのに、
他人はどうすることもできません。それを乗り越え、さらに人に手を差し伸べることが
できるなんて、奇跡に近い、、
三原順さんが大好きでした。雪山に閉じ込められるところから全て始まったんですよね。
グレアムとアンジーは、ユーリとオスカー?
んじゃ、サーニンはエーリクで、マックスはトーマか?
(このへん無理やりでめちゃくちゃ)
愛情不足は少女漫画のメインテーマ、手を差し伸べてくれるのはいったいだれでしょう。

[395へのレス]Re: 三原順と雪のシーン....:Novice:1999/08/17(Tue) 19:36:48

超カメレスですみません(~^;)。三原先生のファンの一人ですm(__)m。
雪のシーンには、確かに印象的な場面が多いですね。
SOKEさんのおっしゃる「山の上に吹く風は」(4巻)もそうですし、
「雪だるまに雪は降る」(1巻)もそうです。特に雪だるまに向かって 「行け!行ってママを連れて来い!」のところは、
今回ひさしぶりに読み返してみて、かなりジーンときました。
でも、エーリクは、サーニンというよりは、マックスのような気が(笑)。
[395へのレス]Re: 三原順と雪のシーン....:SOKE:1999/08/19(Thu) 07:48:20

いやいや、グレアムの心のオアシスという意味でサーニンだと思うなあ。
病んだ心がもとめる、健康な心。それに!ほら髪の色が同じでしょう?(わはは)
あ、でも「トーマ」では、トーマがいないから、エーリクが二人分の役をしているのかも。

[395へのレス]Re: 三原順と雪のシーン....:Novice:1999/08/20(Fri) 10:43:23

SOKEさん、なるほど、あとエーリクのきかん気で頑固なところは
サーニン似かもしれませんね(^^)。それで甘えっ子なところはマックス似(笑)。
グレアムは、左手をサーニンに預けて眠るほどサーニンに頼る一方、
マックスにも救いを求めているような気がするのです。
Sonsとムーンライティングは文庫化されている(されつつある)のですが、
Sonsは6,7巻を探している人は結構いらっしゃるようです。
個人的には6巻が「転」で7巻が「結」だと思うので、まだ読んでいない人は
ぜひ9月に出る文庫版で読んでみてください!
三原氏の作品に関しては、「あのセリフの量を文庫版で読むのはキツい」という声も
根強くあるようです(苦笑)。

[395へのレス]はみだしっ子:SOKE:1999/08/21(Sat) 01:52:40

第1話の短編の最後のページが、雑誌掲載時と単行本収録時では違っていましたね。
こんなに長くなるなんて作者も思っていなかったんでしょうね。
グレアムがマーキーに話しかけるページなんて、文庫版で読めるだろうか、
最後の作品の絵の入っていない白いページを見るとなんともいえない気分になります。
でも、不思議と静かで明るいトーンで終わっているのが救いです。

[395へのレス]Re: 三原順と雪のシーン....:Novice:1999/08/21(Sat) 10:57:16

はみだしっ子第1話の雑誌版では、大人をシャットアウトしたままの
4人の成長した姿が描かれているようですね
(最近、ネットで知り合った三原先生ファンの方から見せていただきました。
1巻あたりはまだ雑誌ではリアルタイムで読んでいなかったので。ネットの力に感謝!)。
マーキーに向けた独白と、あとグレアムのノート(1ページ全部字)もけっこうきついと思います。
最後の作品は、主婦と生活社発行の「ビリーの森ジョディの樹」ですね。
作成途中の画と、あのあとに続くはずの、軽く3ー4巻分は行きそうな構想(あらすじ)を
読むとやはり....。しかし、未完のままでも発行してくださった出版社の英断には感謝したいです。

[395へのレス]Re: 三原順.:SOKE:1999/08/22(Sun) 06:47:19>

そう、そのページ持ってるんですよ、って自慢したかったの。(笑)
ネット始めてから昔のマニア根性がよみがえって困ります。
初出と単行本のわずかな違いを発見して大喜びしていました。
(今は、読むだけで満足できる程度に落ち着いています。大人になったかな?)
はみだしっ子では、あと、「マックス、おまえずるいぞ」と、ジャックが言う大きなコマが、
雑誌の時は三原さんの絵だったのに、コミックスでは他の人の絵になっていたのが気になってます。
(手元に本がないので、何巻かわかりませんが)グレアムは、幸せになれたでしょうか?

[395へのレス]Re: 三原順と雪のシーン....:Novice:1999/08/23(Mon) 19:24:29

おお!雑誌をお持ちなんですか!すごい。現在私が目にすることができるのは、
コピーか、あるいは現物は国会図書館ぐらいなので...。
当時の雑誌を見ると、単行本に収録されていない対談や特集とか、
並行して連載されていた作品とか単行本の発売予定とかを見ることができて懐かしいです。
描き直しといえば、(SOKEさんはご存知の作品と思いますが)単行本「夕暮れの旅」の中に
「Die Energie5.2☆11.8」という短編があり、その中で、後のムーンライティングシリーズの
主人公となるDDがでてきます。そのDDの描かれ方が、より後期のDDみたいな画だなぁと
思って雑誌と照らし合わせてみたら、約5ページほど全く新たに描き下ろされていたことを
発見したことがありました。ルドルフが揚水式発電所についての夢を語るモノローグのところです。
いえ、描き直すことがいいとか悪いとかではなく、あんなに計算されつくされてはいるが
セリフの多い作品だったのに、なお語らせたりなかった(と作者が思った)ところが
あったのだなぁ、と。
ああっ!マニアな話を更により細かく発展させてしまった(^^;)。すみません。
P.S.グレアムが果たして幸せになれたのかは、未だに私にとって解決のついていない問題 なのです.....。

[395へのレス]過去ログの彼方へ行っちゃう前に:SOKE:1999/08/24(Tue) 3:22 >

しつこくレスを書いていますが、少女漫画にあるまじき原発問題を扱った作品でしたね。
掲載誌も単行本も実家にあるはずだけど、それは気がつかなかった。
矛盾を感じつつも、きちんとお仕事をするルドルフは大人だと思いました。
DDはあの作品では、まともな人のようでしたね。
(ひさびさに読み返したい気分になってきました。しかし、実家の本を持ってくると
居住空間がなくなってしまう、、)
グレアムの告白で全てが収まらないのは、彼が当事者ではないからですね。
マックスの正当防衛と過失致死だものね。でも、作者もそのことはわかっていたと思う。
最初の積み木がわずかに、ずれていることが、その上に積み上げられた物語に、
不安定な感じを与えていると思うのですが、私はそれが嫌いではないです。
後半部分のグレアムの葛藤は当時、何度も熟読して、けっこう私の血肉になっている気がします。
「カンパリソーダにジンをたらして」って時々ぽろっといっちゃうのですが、
これは、どこにでてきたっけ、、

[395へのレス]私も駆け込み.....:Novice:1999/08/24(Tue) 20:28:31

はい、SOKEさん。しかも、いわゆる原発に問題提起とか主義主張という作品ではなく、
原発を必要悪とみなして、それを題材にした、立派な社会派ミステリーでしたね。
DDは、あのころは、思いつめがちなルドルフのガス抜き役といったところでしょうか。
そうそう、私も、あの告白の場面で、「キミが告白してどないするんねん」と
ツッコミを入れたくなりました(苦笑)。しかも、場所は自宅ではなくトリスタン....。
マックスに責任能力はなく結局法律的にはおとがめなしとしても、
マックスには知れてしまうことになるであろうし、あのあとどうなったのか、気がかりでした。
「カンパリソーダにジンたらして」、発見しました。11巻の102ページですね。
そう、実は、私、フランクファーターとの法廷での攻防、かなり好きでした。
あと、「いつものときには皿に適量の食事をとるが、飢えているときは、足りない、 まだ足りないと皿にかきあつめ積み上げたくなるんだ」(すみません、出典探し当てられず不正確) というセリフが思い浮かぶことがあるのです。
[395へのレス]これで最後?:SOKE:1999/08/25(Wed) 01:26:10

昔の私なら、全作品をひっくり返しても、そのセリフの出典を探し出して、
「ああ、○○ですね」と涼しい顔して言いたいところですが、ううう、現在はできません。(笑)
デビュー作からアクの強い作風で、いわゆる社会的関心が強い三原さんでしたが、
その個性を良い方向に向けて、常にテーマは最前線だったと思います。
そして、はみだしっ子達に、ジャックとロナルドという形で、大人になって生きていくことも
そう悪くない、と見せてくれたことが、すごいと思う。出口はあるって気になるものね。

[395へのレス]Re: これで最後:Novice:1999/08/25(Wed) 20:37:41

ああ、なんか細かい話をしはじめてしまってすみませんでした。
罪滅ぼしのために書かせていただきますと、「飢えてるときは」の話は、
「はみだしっ子」の10巻で、マックスがジャックに嫌われていると思い込んで、
「寄宿舎に行く」とか言い出して、その言動をかばうアンジーの発言でした。
その10ページ前ぐらいに、たぶんSOKEさんのおっしゃっていた、
ジャックがマックスに「(先に寝ちゃって)ずるいぞ」という場面があります。
テーマは最前線であり、かつ現代にも通じるところのある普遍性のあるものだったように思います。
アンジーはロナルドのような、そして(推測ですが)サーニンはジャックのような大人に
成長したのかもしれません。グレアムは...さすがにフランクファーターには
ならなかったでしょうが、もしかしてルドルフのようになったでしょうか?

森川久美さん公式HP『ドルチェでいこう』掲示板「ぶどうの木の下で」
過去ログ(5)393〜395より再録させていただきました。
マスターとNoviceさんに感謝いたします。



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2000年04月08日(土)
『はみだしっ子』by 三原順

チャットで「はみだしっ子」の話が少し出て、「グレアムが好き」といったら、
「ええ〜?」と言われてしまいました。暗いですか?
でも、だからといって、「トーマの心臓」でユリスモールが好きなわけでは
ないのです。ユーリは自分のことで暗いけど、グレアムは人のために悩んでる。
グレアムは自分の中の道徳律に反したから悩んでいる。
そして、その責任をとろうとする。

ああ、そういえば、ジェルミも「人を殺した」ことについて悩んでいるんじゃないわ。
「母を殺したこと」について思い悩んでいるだけかも。

私がグレアムを好きなのは、ちょうどそういう規律を自分の中に作る時期に、
連載を読んで、ひとことひとことを反芻して、いろいろなものをもらったから
かもしれません。全部を鵜呑みにしたわけではないけれど、
「はみだしっ子」は私の中に残っている。

昨年、「ドルチェでいこう」の掲示板「ぶどうの木の下で」で、
Noviceさんと「はみだしっ子」について話をしました。
相手がいると、言いたいことが簡潔にいえるようです。
ご本人の許可を得て、ここに再録させていただきます。

SOKEの漫画関連ファイル
「はみだしっ子」についてNoviceさんと語る(再録)

(編集の際の、改変の文責はSOKEにあります。)

『80's Comic Maniac 』NoviceさんのHPです