雲間の朝日に想うこと


< 母子で表札を架け替えましたか >


敵地。

過去の雰囲気を打破する為に、
過去の男と闘う為に、
今回乗り込んで来たんだ。



小さな彼が残す想いを、
全て消す事は不可能でも。

其の残り香を上回る想いで、
覆い包む事は可能なんだ。


目の前の扉を開ければ、
目の前に小さな彼が姿を現す。






ふと見上げると、
一枚の表札。


未だ貴女があの男の所有物だと、
そう宣言するかの様な苗字。

未だ小さな彼が、
あの男への想いを強く強く握っていると、
そう警告して来るかの様な苗字。




敵地。














貴女から届く文。


 「小坊主なら気付いてるよね・・・。」
 「嫌な思いさせてしまったんじゃないかって・・・」




貴女の言う通り。

俺は目敏く探知した。
俺が気付かない筈は無いのだ。


けれども貴女は間違っている。



此処は敵地だ。
昔はあの男も居た場所だ。

あの男の名は無くとも、
あの男の威光は、
十二分に凍み込んでいる地だ。


そんな事は百も承知で、
今更嫌悪感を覚える理由にすら成らない、
取るに足らない出来事なのだ。


















事実に気付いた直後から、
貴女は行動に移ったけれども。

少しも安心感は増えていない。


 「すぐ外したからね。」
 「報告終わり!」



俺の想いで無く、
小さな彼の想いは如何なのだろうか。

小さな彼も賛同した事であれば、
きっと安心出来るのだろう。










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References
 Jan.12 2003, 「文字が歳月を見せるのですか」


2003年06月05日(木)


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History
2002年06月05日(水) 自棄になる必要がありますか





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