2005年02月17日(木)
王家に捧ぐマシンガン3


 その前に。

[続スカステメモ:魅惑の涼紫央トークショー(どこ修飾しているんですか)]

 今回も「タカラヅカ大好きっコ」ぶりがネタとなっていた涼さん。曰く「皆さん(ファン)がやっている事はたいていやってました。入り出も立ち見もお茶会もDSもチケット並びも……」と。でもひとつだけやっていないことがあるわ(アイーダ口調)。……「サイト運営」(笑)。やったら面白いのに(超無責任発言)。


 場も和んだところで(和んでない)。
 王家に捧ぐマシンガン、今日はエジプトークです。
 できるだけ短く!できるだけ簡潔に!(全く効果のない呪文のようだ)。



===== この辺、後にアムネリス様に塞がれる地下牢の入り口
                 (予防線と言いたいらしい)===== 


 ……だんだんボケきれなくなってます(がくぜん)(そういうところに無駄に一生懸命だよね、このひと)


[ラダメスの二つの過ち、三つの平和]

 ラダメスの過ちは、自分とアイーダの間にある障害をエジプトとエチオピアの戦いだと思い、平和になれば(戦いがなくなれば)、その障害が無くなるのだと思っていた事だと思うんです。でも実際はこの二つの国の間の障害というか埋めがたい溝は「戦い」だけではない。「神の国エジプト」「大地の国エチオピア」、二つの国は戦いがあるから対立するのではなく、対立するから、対立せざるを得ないから戦う訳で。それこそ「戦いは新たな戦いを生むだけ」な訳で。
 勝利の褒美は「エチオピアの開放」ではなく「アイーダ」にすりゃいいじゃん!(ひかちゃん口調)と誰もが思うと思うんですが、それを言わなかったラダメス。エチオピア開放の意味は戦いに勝ってから言う、と言っていたラダメスは、どうしてもエジプト(勝者)・エチオピア(敗者)の立場でアイーダに接したく無かったんじゃないかと思いました。その気になれば勝者であるエジプトのラダメスには、アイーダをどうとでも(言葉の通り)できたはずですが、それをしなかった。二人の間の障害、というか二人の立場を対等にしてアイーダに接したかった、それをした上で愛を告白したかったんじゃないかと。そう思うとピュアな人だなぁと思ったり。

 本公演の頃は「平和、平和って、じゃあラダメス先輩の言う平和って何よー?」と結構カチンときていたんですが(特に一幕最後とか)(単に女を手に入れる為の大義名分で「平和」と言っているしか思えなかった)、今回感じた「『平和』という概念がない世界」と思うと、割と納得出来たりします。一幕最後でラダメスの主張する「平和」は、具体的なビジョンというよりも、ものすごいドリーム、いっそ妄想だったんじゃないかとすら思えます。戦いが無くなる=平和、戦いが終わる=皆がひとしく認め合ってお互いを許せる……訳がない、というかそんな事誰もが「ありえない」と思っていた。それでもファラオの一言でそれが現実になってしまう(歴史のちょっとした歯車の狂いとすら思えます)。
 『平和』という概念がない世界にラダメスの主張は言わば「時期尚早」だった。それがほんの少しの歴史のずれで、突如『平和』という概念が、いや言葉と事実だけがこの二つの世界に覆い被さってしまった。
 それだけだったら、多分その「時期尚早」な『平和』(=一つ目の「平和」)は歴史的に流されて終わってしまったと思うんですが、ラダメスがそれを頑なに『平和』だと信じ続けた事が二つ目の過ちだったんじゃないかと。けれど時期尚早な『平和』、「これがあなたの望んだ平和ですか」と問われた一つ目の「平和」を信じつづけた事がまた、ラダメスの強さであったと思うんです。アイーダを強く愛するようにその『平和』を強く信じつづけた。
 結局、そのひとつめの「平和」は崩れてしまって、ラダメスは生きたまま地下牢に放り込まれる。でもそこでラダメスはアイーダが生きてアフリカの大地に輝き続けている「平和」を知る、それが自分の望む「平和」だったのだと(=二つ目の「平和」)。でもその二つ目の「平和」はアイーダが地下牢に忍び込んでいる事で再び崩れる。何故、愛する人の命が輝く事が「平和」であったはずなのに。それに対してアイーダは『愛しているから』と、そして今度こそ本当に『人が皆等しく認め合ってお互いを許せるように』、愛する人だけの「平和」ではなく、この『世界』に『平和』をと、二人は祈り世界に求める……(=三つ目の『平和』)。
 これは私が単純な見方をしていたからかもしれないんですが、ラダメスの言う「平和」は一貫して同じものだったのだと思い込んでいたんですね。けれどもそうじゃなくて、一幕最後の「平和」と、地下牢に閉じ込められてからの「平和」、そしてアイーダと共に祈る『平和』、全部別々のモノだったんだなぁと思った次第です。 もう一つ。最後に本当の『平和』、『世界』に祈る『平和』に気付いたラダメス。アイーダにとってラダメスとの出会いが「祖国を捨てる」という新しい概念との出会いでもあったように、ラダメスにとってアイーダとの出会いが本当の『平和』の概念との出会い、あるいは気付きとなったんだなぁと。

 本公演の時はアイーダもラダメスもひたすら自分勝手で、自分都合で駆け抜けているようにしか見えなかったんです。共感しにくかったのは某吉野さんが言っていた「物語で成長したのはアムネリス様だけ」につきるなぁと思っていたんですが(勝手拝借ごめんなさい)、中日のラダメスとアイーダは成長というか、ちゃんと物語の中で成熟していっているんだと思いました。それが結果として周りを振り回している事になっていたとしても、結果として自分勝手で自分都合なのは変わらないのだけれど、それでも二人は二人なりに、出会い、愛して、お互いがお互いに少しづつ重なり合って、新しい世界を開き、それが最終的にこの『世界』に新しい概念を作り上げてしまった(あえてしまったと言います)。それを歴史の偉業として褒め称える事はしません、彼らが最初からそれを作り上げようとした訳ではないから。それでも最後にたどり着いた『世界』……それってすごいことだなぁと思えたんです。なんというか「スゲー」って思ったんだよね(そんな一言でまとめますか)。
 何にせよラダメスは、というかワタさんは大きい男だなぁと思いました。人間的に大きい。ラダメスがアイーダに「祖国を捨てなければならない」「そんな事できっこない」と言われ「ええ?じゃあ俺捨てるよ?」の結論にたどり着くのはひとえにラダメスの大きさだな、と。アイーダが帰るべき場所、帰るべき大地をラダメスの中に見出した、と言ったんですが、そうやってラダメスの中に「大地」を見出せたのもやっぱりワタさんの大きささ故というか。「アイーダはあのアフリカの大地で生きている」と地下牢で希望を見出したラダメスに「違うの!アイーダの生きる大地はラダメス先輩の中にあるの!」と本気で思ったらしいです、むっさん(苦笑)。
 ただ、ひとつどうしても繋がらなかったのは「ラダメスが戦場で感じていた孤独感」です。本公演に比べて、ラダメスに納得感を見出した私なんですが、この「孤独感」だけはどうしても解釈しきれなかったってしなくていいよそうですかそうですね(本当にうっとおしいな君)。


 と、ラダメスとアイーダを受け入れつつも、やっぱり一番可愛そうな人はアムネリス様だという事になんら変わりはありません。だってアムネリス様何にも悪いことしていないんだよ?(号泣)。
 アイーダとラダメスの愛が新しい歴史を、新しい『世界の平和を祈る』という概念を生み出したと言いました。新しいものが生まれる事は理解されがたいのだとも言いました。そして新しいものが生まれるときは、それまでの世界に大きな摩擦と混乱と傷を残していくものだと。それを一身に受けたのがアムネリス様、そしてその新たな概念、新たな歴史を引き継いだのもまたアムネリス様なのだと。そう思うとどうにもこうにも切なくて哀しくて、でもそれ故にアムネリス様が美しくて綺麗で神々しくて、なんというか言葉にできないぐらいぐあーんと胸に穴をぶち開けられるのです。アムネリス様、万歳。


 (コレを書きながらふと思い出して探してみたら、東宝の頃に書いていた王家メモが出てきました。面白いぐらいに全然違う感想、というか視点が変わっているので、読み比べるのも一興かと。こっそり過去日記としてあげておきます。ええ、もちろん当時のむっさんだってウザい事このうえないです)


 という訳で、なんだかすごいイキオイで中日王家が私の中で完結していった訳です。
 なんというか、私的にはすごい達成感というか満足感が(素)。
 本当にひとり遊びこの上ないですが、こんな風にしかモノを観られない自分がある意味「スゴくてウザい」なぁと思います。


[お口直しに王家ネタメモ]

・兵士のももかさんは最高にツヨそうだった。初見で見つけたときは「ひぃぃ!」と隣のかおりちゃんと肘つっつき合い(よくやってます)(笑)。
・伝令のますちゃん(最近のデフォルト呼び)がいとおしくて仕方ないです。だってあのひと走ってくる時タラちゃんみたいに剣をかちゃかちゃ鳴らしてくるんだぜ!(隙だらけ)「兵士達は皆晴れやかな笑顔で」ってあなたの顔が一番晴れやかですからー!(ギュイーン)。わたしはそんなますちゃんの笑顔に笑顔で答えたい(真顔)。
・女官話。全然パワーダウンしていないってどういう事ー!(笑)
・板付きで大道具と共にすぃーっと出てくるのもおかしい。
・ヒヅキのやりすぎっぷりもおかしい。
・何度もオペラを奪われるぐらいまりんがおかしい。
・あんなに薄幸オーラな美人・かつきが悪い人になっていた。なんというかかっちゃんの女官は「酷薄」という言葉が良く似合う(素)。
・美女選びでオペラを明石に奪われる。なんか鼻血だしかねんイキオイだったよ、すごいぐにゃぐにゃしていたよ。どうしようあんな弟ほしい。
・気がつくとセンターでますちゃんと祐穂君を手なずけているまりん(最強)。
・美女に選ばれなくて「ねぇねぇ、私はー?あのー?」な風情のエレナ様が最高にマンガちっくだ。アレ目立つ。皆がやりすぎな方向とは逆方向ですごい面白い(誉め言葉)。
・エチオピア兵な毬乃ゆいちゃん(新愛称募集中)はジェロニモだった。
・ひより(45Rのネットアイドル)(ええ?)の兵士を見逃した。悔しい(愕然)。
・フィナーレのワタ檀デュエット……檀ちゃんの退団発表を受けてしまったせいかもしれませんが、どうしようもなく泣けてきた。アレを見ながら「トップコンビは(それぞれが)完全じゃなくたっていい、不完全だっていい、ただ二人が愛し合っていればそれで、それだけでいいんだ」……ナパームスクエア(かけざんだいすき)さんの信念です(真顔)。
・エレナ様の「エレ」は「エレガント」の「エレ」!



 次回、王家に捧ぐマシンガンは、世界の中心で愛を叫びます(えーまだやるのー)(お客さん皆ウンザリ)。


BACK  INDEX   NEXT