起きた。5時。まだ気持ち悪い。
判断力とわずかな体力を取り戻した俺はスーツを修復する作業から今日という日を始める事にした。とりあえず街中を歩けるように、一心不乱にこする。こすり続ける。何分か十何分かはわからないがとりあえず良く見なければわからないぐらいにはなった。
さて次。タバコ。ああ、飲み屋で吸い切っちゃったんだっけ。仕方ない、買いに行こう・・。この辺タバコ売ってる所なんてあったかな・・とか考えながら立ち上がる。
あれ?財布ねえな・・
バッグをくまなく探す→スーツをくまなく探す→ハタと考える
上記の作業を5回くらい繰り返す。
うおおおおおおおおおおおお盗まれたああああ!!!
俺様の財布を!!どこのどいつだこの野郎!
しかも定期入れまでねえじゃねーか殺す!殺す殺すコロスうううううううううおおおおおおお!?!??!??!!!
周りのモノを手当たり次第蹴飛ばしてやりたい気分だったがそんな年でもないのでやめておき、無駄だと知りつつも駅に向かう。
駅員の姉ちゃんに聞いてみる。案の定届いてない。「出てくるといいですね」という精一杯の慰めに「はは・・そうですね」と力なく答え、新宿駅に。
交番で事情を説明し、すぐに被害届を作る。
「カードの暗証番号は?分かりやすいのにしてない?」と聞かれ、「はあ・・銀行の方はバッチリ誕生日です」と答えると、警官は「もうやられてるかもしれないね。聞いてみなよ」と銀行・クレジット会社の紛失・盗難受付ダイヤルの一覧を差し出す。
メインバンクである東京三菱に電話。すると「1時55分に30万6000円の引き落としがありました」と。あまりに予想通りの展開に思わず「ははっ」と笑ってしまった。係員は死者に鞭打つように「それでは残高150円の状態でお止め致しましたので」とのたまう。
三井住友にもいくらか入れてあったな・・と確認してみるとやっぱり2万円程やられていた。クレジットカードの方は比較的最近に作って暗証番号を別の数字にしていたので無事に済んだ。使おうとした形跡はあったらしいが。
帰ろうにも金がない。こういう馬鹿の為に交通費を貸してくれる制度があるのは知っていたので、遠慮なく金を借りる。
そこでふと思い出す。今日俺一本もタバコ吸ってねーや。よし、タバコ代も借りよう。と思って「あの・・交通費しか貸してもらえないんですか?」と聞いてみると、「そうですよ」と冷たい答え。そうか、やっぱ交通費という名目じゃなきゃダメなんだな、ということでちょっと間を置いて「あ、バスに乗って帰りたいんでもう250円貸してもらえませんか」と言ってようやくタバコ代Get。バス代として借りたが事情が変わる事もある。返せば文句なかろう。
外に出るなりタバコを買い、本当に久々の一服を味わう。「ハハッ、ずいぶんマズいタバコだぜ」という感じか。もうヘコむとかそういうレベルではない。帰りの電車の中で次の手を考え、今後やらなければならない事をひたすらPalmに打ち込む。
最近、物事にあまり動じなくなったような気がする。生物としてのパワーが増したと考えて良いだろうか。いや、もちろん最悪な出来事には変わりないのだが。