| 2022年05月14日(土) |
雨の間思うようにベランダに出られず、薔薇たちは大丈夫だろうか、ミモザは折れていないだろうか、等々あれやこれや思い煩っていたのだけれども。今日の午後ようやっとゆっくり見て廻る時間を得た。雨が何とか止んでの曇天。重たげにじっとり湿った雲が空全体を覆っている。 薔薇たちは、自分の棘で自分の葉を傷つけてしまっている、それはいつものこと。それでも何とかあの激しい雨風に耐え、雨の前には硬い蕾だった子らがこぞって綻んでいる。でも何より驚いたのは名無しの権兵衛たちだ。いきなりぐいっと大きくなっている。この子とこの子は仲間なんだろうな、こっちとそっちも仲間だろう。みんなめいめいに葉を広げ芽を伸ばししている。誰のことも見分けてやれないからいまだ名無しの権兵衛なのだけれども、何だかもうそれでいいやという気もしている。とにもかくにも無事でよかった。 東側のベランダのビオラには、たんまりアブラムシが付いてしまっていて、絶句する。場所移動しようとするアブラムシたちがプランターの縁を歩いているのを見つけた時には唖然とした。よくもまぁこんな堂々と。そう思ったらもう我慢がならず、薬剤を散布する。ブルーデイジーは雨の間に一回り大きく茂ったようで。蕾もたくさんついている。朝顔は相変わらずぎゅうぎゅうづめに育っており、私は間引きしたくてしたくてしょうがなくなっている。一応息子の植木なので勝手に手を出しはしないけれども。
何だかとても体温が恋しくなって、唐突に恋しくてたまらなくなったので、ワンコのところへ行った。ワンコの横に丸くなってワンコの首のところに顔を埋めたら、とても幸せな気分になった。ワンコ、おまえの体温が今私にはぴったりなんだな。と、心の中彼に語り掛けたら、まるでそれを見透かしたかのような表情でこちらを見やるワンコがいた。ワンコは確かに言葉を喋りはしない。声にしたりはしない。でも。私の表情からすべてを読み取っていく。いつもそうだ。そして彼はそういう時、たいていこちらを受け止めてくれる。海のように深い愛情だな。いつも、そう思い、彼に感謝する。 彼の首のところに顔を埋めていたら、うとうとしてしまったらしい。さすがに私の頭が重かったんだろう、ワンコが体の向きを変えようと動いた。はっとして私も起き上がった。時間にしてたった3分4分のことだったのだけれど。一日分のエネルギーをもらったような。すっかり元気になった私は彼の頭をぐりぐり撫でた。ありがとう、ワンコ。私はもう、大丈夫。 時々、あるんだ。体温が恋しくて恋しくてたまらなくなる時というのが。でも悲しいかな、私はもう、それを男性に求める気持ちになれない。怖いのだ。私は体温が恋しいだけ。でも体温を求めると男性はたいてい、セックスに繋げる。でも私はセックスしたいのでは、ない。でも、男性がそう動くと、怖くて断れない。 そう、怖いのだ。凍り付いてしまうのだ。身体が勝手に、凍り付く。いや、身体だけじゃない、心も凍り付く。一瞬にしてその気配を察すると、凍り付くのだ。 ありがたいことに今、私には、ワンコがいるし、息子もいる。隣に寝ている息子にぴたっとくっつくだけで体温をもらえるから、全然困らない。でももしこれがなくて、男性に体温を求めるしかなかったら。 私は凍り付くんだろう。それが、もう、怖くて怖くて仕方がない。 自分が一瞬にして、凍り付く体験を、してみるといい。この恐怖、果てしないから。
ワンコにエネルギーをもらったので、一気に仕事をこなしてしまおうか。朝までまだしばらく時間がある。その間に何ができるかな。 その前に。珈琲を淹れよう。一杯分の珈琲を。私の、贅沢。 |
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