ヒルカニヤの虎



 僕のアーバン・ブルースへの貢献

なかなか明けない梅雨の日曜、2〜3年前からおもろいおもろいとわめき続けてきたクロスバー直撃を見に行ってきました。大阪なのに単独を見るのは初めて。
同時に推してた天竺鼠はけっこうな売れ方をして、GAG少年楽団だって東京で単独やったりしてるのに、クロスバー直撃は東京向きでないのかな〜とちょっと心配してました。
でも8月7日にシアターモリエールで初単独だそう。行く行く!バナナマンの次の日だから行く!誕生日だけど!
ここを読んでくださる方の8割は関東圏の人だと思うので、お時間のある方は騙されたと思ってぜひ行ってみてください。


■クロスバー直撃ソロライブ‘冷麺と情熱ホルもんのあいだ’2010/06/27/Sun_14:00-@baseよしもと

わたしbase入るの何年ぶりだろうか。
座席の年季の入り方は吉本の劇場イチだと思います。

初単独でしたが、そこはそれクロスバー直撃なので何の不安もなく、見終わってこんなにすなおに「おもしろい」ことがあるかと感動を覚えました。
なにかの影響下にあるとか、ひねってるとか、とんがってるとか、メッセージ性が強いとか、シュールとかベタとか、そんな枝葉末節はほんとうはお笑いには要らないのかもしれない。とりたてて演技力が高いわけでもない、スタイリッシュでもないクロスバー直撃は、本当にただひたすらおもしろい。
「おもしろい」の最上級の言葉を帰り道に考えていたのですが、いい言葉を思いつかないので、ただとにかくめっぽうおもしろかったということだけ残しておきたい。
小学校の5年ぐらいのときにクラスにいたアホ男子2人がそのまま大人になって芸人になった感じ。
クロスバー直撃の笑いは誰も傷つけないでみんなを幸せにする。

会場は男の人が多かったと思います。
後ろの扉前でGAGの福井がずっと立って見てた。
暗転中のどこかで前の席の女の子が「これなんなん!?めっちゃおもろいねんけど!」とキレてました。極まっちゃって感情がおかしくなったんだろうね。
おもしろすぎて怒る人はじめて見た。

コントと映像が交互で、うろ覚えですがこんな感じ。

コント:ジムの2人
ブリッジ:GREE
コント:スローウォッチ
ブリッジ:交通安全
コント:最後の一葉
ブリッジ:美人をみつけよう1
コント:潜入捜査
ブリッジ:美人をみつけよう2
ミニコント集:映画ものまね、iPhoneのクソアプリ、ケバブ屋ほか
ED:公造の茶番

iPhoneのクソアプリはシリーズ化していってほしい。
銀シャリ米米のクロスバースイッチでわかっていましたが、やっぱりクロスバー直撃の映像ネタはきわめて秀逸です。
方向性は違うけど、キュートンの映像ネタをみたときと同じくらいの衝撃を受けた。だって映像が終わるたびに客席がざわつくんですよ。ありえないぐらいおもしろいから。
今晩はコマンダンテの安田に追われる悪夢をみるにちがいない。

W杯、イングランドのゴール判定ミスは本当に気の毒だったけど、解説が何度も「クロスバーに直撃したんですけどねー」を繰り返すのでにやにやする。
比較的余裕がある時期なので、W杯は観られたら観ています。冬期オリンピックのときは忙しすぎて観られなかったので、単純にうれしい。


追記1
金曜夕方、研究室で往生際わるく「今すぐ東京か福岡行くうぅぅ」とゴネていたら(※家城さん神保町トーク「私と魔王」or オザケンひふみよ最終)、みんなに妙にびっくりされる。
「明日は大阪でクリフォードの講義があるのに、行かないんですか!?」
なにそれMLでまわってきてたっけ?ていうかどのクリフォード?
私「ギアーツ?ジェイムズ?」皆「ギアーツは5年前に死にました!」
5つも下の後輩たちに怒られた。5年前は地獄の社会人1年目でそれどこじゃなかったし、文化人類学は専門じゃないし...。
結局来日するのはジェイムズのほうらしいですが、学徒たちの「有名人が来る!」という純粋な高揚っぷりから置いてきぼりのわたし。そして誘われても激しく固辞するわたし。
音楽や舞台なんかで「あの人が!生で!」という高揚はわかるけど、学者や研究者の講義を生で聞きたいという欲求はあんまりないな〜。あとでどうせ本なり何なり出るだろうし。囲碁将棋かロシアンモンキーが大阪に来てくれたら、何をさておいても行くけど。
講義前にランチだけお供した同い年の院生に「なんで?」と聞いてみる。「死んだあとに‘私あの人の講義ナマで聞いたよ’って自慢するために決まっとる」そうです。
ああそう。アカデミーって変なの。

追記2
や、やしろさんがもう来年の単独のテーマを生みだしてしまわれた!うわーこっちはまだ魔王とがっぷりよつなのに!

2010年06月27日(日)



 この瞬間は続くと

あーひふみよツアーが終わる!未練がましくつらつらと。

結局神戸1回だけしか行かなかったな〜。
ツアー後半戦参戦したかったけど、立て続けの出張でどうしようもなく。
ツアーまわってる方のレポとか読むと脊髄反射で「行きてえぇぇ!」と悶えていました。
けどまっくらやみで流れ星ビバップが鳴ったときの、小沢君の声が響いたときの、客席から爆発した歓喜は今でも覚えてる。
最後の曲、順に楽器隊がハケてった舞台で小沢君が一人静かに歌って、音楽がやんで、スポットライトが消えたあとのまっくらやみも覚えてる。
大事なことは忘れないし、思い出すだけで幸福で泣けるから、たった1回だけをずっと抱えているのもいいかなと思う。
これは比べたり並べたりしないで置いておいてもいいこと。
唯一無二のまま、もらったチョコレートを大切にかじりながら毎日を暮らしていこう。
私が行かなかった席分、どこかのだれかが見れたんだと思うことにしよう。
でももしいつかまたライブツアーがあるなら、もうちょっと貪欲にフットワーク軽く追っかけようと思います。
何年先だってわたし待ってる。
たった一度でも叶ったら、待つことはこんなにも気楽。

1980年生まれの私はあの当時の小沢君のスピードにまったく追いつけず、活動停止したあとも悔やみ続けてきた。
これまでいくつか好きなバンドが休止したり解散したりしたけど、あんな理不尽な気持ちになったことはあんまりない。
どこかで「あー終わるなあ」と予想がついていたり、続けるより終わらせるほうが必然で、彼ら自身にとっていいんだと思えたり、最後のライブに行くことができたり、私がもうおとなだったりして、自分の中で落としどころがあった。
でも小沢君の場合は本当にそういう容赦がなかった。
あれは休止や解散ですらなくて、テレビやライブ、どころか日本から姿を消したんだった。
間に合わずに置いていかれて13年、たぶんずっと迷子だったんだろうと思う。
今回のツアーのお客さんはみんなそうだったんじゃないかな。
だからみんなどの歌も完璧に歌えるし、踊れる。
親に捨てられた子どもが、それでも親の形見をすりきれるまで手放さないみたいに。
13年以上も前の大衆音楽の1つを。

小沢君は今回そんな迷子たちを拾いに来てくれて、「いつか僕ら外に飛び出すよ」と歌った。
この部分はいろんな人のレポを読んでも出てこなかったので、おそらくわたしの曲解なのですが、ラブリーの「いつか僕ら外に飛び出すよ」のときに小沢君は客席を煽って、客席を指さすようなジェスチャーをした。
今度はあなたたちの番だよ、あなたたちが飛び出すんだよ、というように。
今思えば単に客席に歌うように振っただけだと思うけど、それまで泣いてた私は「あ、もう泣いてちゃダメだ」と都合よく解釈した。
むかしあの独特の言い回しで「ねえ仔猫ちゃん?もう僕の言ってること分かんなくちゃいけないよ」とさとされたみたいに、私はもう次の場所に連れてってほしかったんだと思う。
そういえばおとなになってから、誰にも諭されたり導かれたりしないね。

小沢君は前より優しくなったとなんとなく思う。
祈りが前より強くなったからかもしれない。
だとしたら、裏の絶望が強くなったのかも、とも思う。

ここのところ立て続けに濃くて心揺さぶられるものをみて、心がそれだけで占められて他ごとがお留守です。
そういえば小沢君が活動を休止したのは29歳のときで、私はいま同じ年。
そう思うと、あの歌たちは怖いくらいの勇気と祈りで、改めて鳥肌が立つ。
ひふみよとカリカの魔王コントが妙に親和して溶けあって、「13年」前の1997-1998年がどんな時代だったか、今さら考えたりする。
もういいかなと思った次の瞬間にまだ絶対死ねないと思ったりもする。

朗読のなかの「笑い」で言われていたことについても、ぼんやりのんびり考えています。
狭くてローカルなネタであればあるほど人は大笑いする。
人にわからない笑いで大笑いするのはなんだかその人を排除してしまうみたいだ、と小沢君は言った。
たしかに「わからない奴はわからないでいい」と言ってしまうことはとても恐い。
そう言って他人を排除することで排除されるのは結局自分自身だから、わからない人にしかわからないことを大声で笑うのは憚られる。
で、笑ってしまったあとに反省して、ひとりで寂しくなって言い訳したりする。
でも小沢君はその笑いを否定していなかった。
わかる人たちの共同体のなかの絆、連帯感を肯定してるみたいだった。
誰にでもわかるような笑いばかりじゃ世の中はつまらない。
共同体のなかでしか伝わらないものが伝わる感覚を「嬉しい」と言ってた。
フリッパーズ時代の「わかりあえやしないってことだけをわかりあうのさ」よりも、ずっと剥き出しの。
あのライブ会場は、「笑い」を「音楽」に置き換えれば、まさにそういう符牒の場だったような気がします。

そういえば、ある知り合いに大阪追加分チケとれたら一緒に行こうって言われてた。
オザケン好きだったの?ってメールで聞いたら「LIFEがすごい好きで高校の登下校で聞いてた」って返ってきた。
犬キャラと、8cmシングル時代の曲と、活動休止後の曲は知らないらしい。
そういうファンがいて、そういうファンが今でもツアーに行きたいって思うのはなんかいいよね。
結局大阪追加はダメだったけど、でももしあの人があの会場にいたら、やっぱり疎外感を感じてしまったかもしれない。
対-他の客では勿論そうだし、対-小沢君ですらそうだろう。
小沢君は、みんながどの歌でもそらで歌えると信じていた。
「今夜はブギーバック」のスチャダラのラップパートすらそうだった。
私たちはそれに応えられることが子どもみたいに嬉しかった。
でも本当のところはどうなんだろう。
熱狂的じゃないかつてのオザケンファンがあの場にいても楽しめたんだろうか。

お笑いであれば、二層にしちゃうという方法もある。
誰にでもわかる笑いを表層に出して、その裏にくすぐりで一部の人にしか受けない笑いをすべりこませる。
でもあのライブはそういう構造にはなっていなかったと思う。
というよりわかる人たちの狂喜がすごすぎて、わからないかもしれない人はかき消されていた。

でも結局、小沢君はこういうニュアンスのことを言った。
「自分にわからないことで大笑いしてる人がいる。
その笑いは自分にはわからないけど、笑ってる人をみてると楽しくなってくる。」
それはやっぱり理想論なんだけど、彼の話すことはいつも簡単で強い。

狭くてマイナーでローカルな共同体の力を信じることは、グローバリズムや資本の拡大の対立項なんだろうか。

うちの会社に私より年下の熱心なオザケン好きがいます。
その子もひふみよに行って、次の日にちょっとだけ話した。
「ぼくはなんかあの映像ダメでした」って言ってた。
あの90年代のハッピー全開なオザケンの歌に、貧しい国々の映像が入る違和感が許せなかったらしい。
じゃあ映画の「モーターサイクル・ダイアリーズ」を観るといいよ、とだけ言ったけど、どうかなあ。
伝わらないかもしれない。でもいつかわかるといいな。

2010年06月25日(金)



 やんでた雨に気付いて

あ、しまった今日カリカオールだ!さすがに今週は無理〜。
カリカオールまでに全部書きたかったのに。もう先に考察を書いてしまいます。ここから先は疑問を並べ立てただけで結論もなにもないですが、もしカリカオールや、あと来週の神保町トークで家城さんがなにかを言ったなら、ぜひ教えてほしいです親切な人。レポ期待!


で、ひっかかりどころを探るための作業として、思い出せるだけ書き出してる途中なんですけど。書きながら考えていること。
メモ読み直しても、やっぱりおかしいのは林ちゃんのキャラクター。
何回も「えっ!?」ってなるところがあって、ずっと、ほとんどずっと違和感があった。1回目に入りこめなかったのはきっとそのせい。私が飲み込めなかったのは、林ちゃんの変化についてけなかったからなのか?

家城さんの演じる七変化のキャラはみんなそれぞれ個性的で奇矯なんだけど、それぞれのキャラの中では矛盾がない。見ていて違和感を感じないし、動機と行動に納得がいく。
対して林ちゃんはすごいブレてるように感じる。そんな簡単に!?っていう理由で人を殺す(「うざい」とか「うるさい」とか)。それは後で人間性の欠如orノルマだったとわかるけど。たとえ林ちゃんが魔族になってから人間らしく成長し人間性を獲得していったのだとしても、ほとんどの場面において共感がむずかしかった、私には。対お下品夫人のときと、対初めての魔王のとき以外。オコチャも王様もみゆき姫も、邪鬼も愛せるのに。2部の子ども、轟さんたち、お下品夫人、魔王も愛せるのに、なんでだろ。
林ちゃんはそういうふうにつくられていない?

お下品夫人に向かい、林ちゃんは殺人についての快楽と罪悪感を吐露する。殺す数だけ林ちゃんの首周りのネクタイは増え、葛藤をエサにネクタイは伸びていく。そうすることで林ちゃんは成長する。
ノルマ達成のために無茶な流れでピストルをぶっ放していた林ちゃん。お下品夫人のときだけ陸奥(みちのく)ぐるぐるタイフーンが出たけど、あれ以外はピストルによって丸腰の弱者を撃つだけの虐殺。それって強いってことなんだろうか。少なくとも魔王の部下らしくはない。魔王ランディという名前=人類共通の仮想的である象徴的権威を振りかざさないで人を殺すことは、あとで明かされる魔王の使命(人間同士の争いをなくすこと)につながらない。魔王軍にとって殺戮は人を守るためのデモンストレーション。でも林ちゃんのは人間が人間を殺して、ただ人口を減らしてるだけのような。んー、コントだから?
2部のコント中、ピストルを撃つときの林ちゃんは一度も魔王の部下だとは言わない。
そう言わなかったのは終盤の気づき「第1部と繋がってたんだ!」のためだけなのかな?

あのニセ魔王とニセ林は、どういうことなの?次元が違うの?時間が違うの?まったくの別人なの?
あの一幕が挿入されることで、時間軸がわからなくなっている。
役名Tシャツを着たデッカチャンとコッセこういちが蘇りを演じ直すところ、あれは1部の単なる反復ではなかった。コッセ林は「お前を殺すために旅をしていたんだ!」「あなたを殺すかもしれませんよ」と魔王ランディに言っちゃう。人間だったころの林ちゃんはせっかくタイガーバームを集めても殺すと言えない、魔王を殺せなかった人。あのときは人間だったから?でも手下になり、No.5になってからも、お下品夫人の前で「私には魔王を殺す資格がない」と言っていた。ああでも魔族として生き返ってから人間らしい心を得た稀有な存在だから、魔王を殺せなくなったのか。でも罪深さにおののいていた演歌好きの林ちゃんは、両中指を突き上げて「ファックオコチャ!」と叫ぶコッセ林と同一人物なのかな?というのがずっとひっかかっている。コッセ林はこれまでの自分の所業(第1部)を魔王からあげつらわれ、「なるほど僕は最低だ」と大笑いする。そしてとても前向きに人を殺すことを誓う。あれは絶望の笑いなんかではない、悪を是とする愉快な笑いだった。この林と魔王の2人は絵に描いたような悪役コンビです。
ひるがえって林ちゃんは、お下品夫人に2部での悪行を列挙される。拾ってきた子を殺し、パンツかぶっておどる人を殺し、不動産屋で轟さんたちを殺した。...「僕は悪でしょうか」「僕はどこまで強くなるんでしょう」それはどういう意味なんだろう。単純に、強くなるにつれ人の心が戻って苦悩が深まり、さらに強くなる、という連鎖の結果?
お下品夫人を前にした林ちゃんと、初めての魔王の間の林ちゃんは同じ人という感じがするんです。服装は違うけど。それ以外の1部とコントは違うような気もする。
お下品夫人を倒して、そこから林ちゃんは着物姿に戻った。物語のはじまり、大量殺戮用の爆弾ロボット(ではなくて実はただの死体)から奪ったスーツは、どういう意味があったんだろう。うーん、なんか大事なこと忘れてるのかなあ…。黄色の垂れ幕が落ちて世界が戻ったのはどこだった?お下品夫人のところだ。そうだ、演歌が流れた。

魔王も同じ。林ちゃんが死んで生き返って13年、「(殺しにきたら)返り討ちにしてくれるわ」と言った魔王デッカがたった13年で「なんかもう疲れちゃった」っつって自殺するのかな。魔王ランディはもともとタイガーバームの神様で、そのあと上の神様にいわれて魔王になったけど、でももうずっと人間界で君臨してた...はず。1部の魔王と、初めての魔王の間の魔王と、デッカ魔王は同じなんだろうか。違う人にとっての重みとしての13年なんだろうか。先に「意義」があるのだから、あとに続く「存在」は誰でもあって、誰でもいいのか。棒みたいに拾われて育てられてふりまわされて捨てられたのは林ちゃんで、でも魔王でもある。彼らは、リンケイソウという人と魔王という人は、ひと続きの・途切れのない・不可逆的な時間の中で生きている同一人物なんだろうか。
初期衝動=剣の名はカリカ。うーん。。。


追加の疑問とか感想とか覚書
・「隅」「角」という概念が何度か出てきた。三角コーナーの汚物、立てかけられた棒きれ、部屋のすみで13年間忘れられた伝説の剣、これらは何を意味するの?
・初期衝動を手にしたままで林ちゃんは魔王になった。林ちゃんの初期衝動は魔王討伐だったのに。どこでカリカの効力は消えたのか?そもそも魔王討伐は初期衝動ではないのか?
・お笑いファンでない後輩(でもこの日記はみてる)から「穿ち過ぎです、てか博論からの逃避だろ」と容赦ないメールがきました。ごもっとも。たしかに、カリカっていう先入観があるからなかなか手放さないで突きまわしてるのかもしれない。でもあの熱量には引きずられるんだよ...
・引っかかりとは別に残る言葉:みゆき姫の「ありがとう」、お下品夫人の「この世の中のあらゆることにおいてね、資格なんてものはひとつもないのよ」「ほんとうは、おきれいと言われたかった」、林ちゃんの「必要悪など認めていたら、人間に進化はないのだ」


うん、だからつまり、いろいろわからないことだらけです!
マルホランドドライブみたいだな、と思ったのは、ある次元でA→B→C...っていう表の物語が進行してて、でも実は裏に違う1→2→3っていう別次元の物語も動いてる。で表に見えているものも一部は裏で、もしかすると順番も違って、間の無意識のところが引っかかってしゃあない、という状態に近いのかなと。

わからない、わからないわ!(@中川パラダイス)
これ後からみたら自分でもわからないだろうなあ。だから何?っていう。
家城さんの考えてることとは全然違う気がするけど、まあでも1週間いろいろ考えておもしろかったからいいや。


脈絡なく思い出されるのはいつかのカリカオールの林さんのことばと、「ムネリンピック」の家城さんの遺書です。
林さんがSなのは家城さんの洗脳によるものうんぬん、という論争が去年のカリカオールであって、そのとき林さんは「結局あなたが支配者で自分は洗脳され手のひらのうえで操られてる傀儡だ」(大意)とすごいテンションで喚いてた。あのとき林さんは天才の隣にいる人なんだなと思った。なんとはなしに。
あとムネリンピックの家城さんの遺書(※いや遺書ではないんですけど)では、「おもしろければいいのか?笑えればいいのか?笑えなくても脳が興奮してればいいのか?」(大意)という自問自答をしていて、なんとなく、カリカのコントは笑いのパートと家城さんの言いたいこととを分けて見るほうがいいのかなと考えたりしていた。笑い=言いたいこと、というときもきっとあると思うけど、なんとなく、分けないとわかんないことのほうが多いような気がして。
家城さんはきっとものすごく伝えたい欲求がつよい人なのに、その伝え方がものすごく込み入っている。あえてそうしてるというより、そうしないと伝わらないことを伝えたがっている、のかな。

2010年06月18日(金)



 清く正しい過去はない

2年連続でバナナマン単独@東京とかぶっていたライセンスEnjoy@大阪。
今年もどうせかぶるだろうと確認もせず、さっき野爆のテクテクツアーと中川家の特大寄席に先行申し込んでから気づいた。今年のライセンス大阪は8月7日の週じゃなかったのか!で特大寄席と同じ日時だったのか!
うーん、若干の未練はあるけどトークライブじゃないし、わたしはNGKにゆきます。ていうかライセンスが中川家より1000円高いってどういうこと。会場代と後輩代とツアー経費?

たまりにたまった録画を見た週末
・ゴッドタンのひがしのりに涙(あんな表情を地上波で見られるとは!)
・漫才ヴィンテージのやすともとフットボールアワーの至福


***


それはそうとカリカ単独「魔王コント」、ようやっと最後かな〜。
も長いです。




「お下品夫人」
舞台中央には美容院のような椅子。髪をヘアバンドでまとめた家城さん、白衣でピンポンラケットを構え、ピンポン球を客席につぎつぎ打ち込んでいく。上手側中央の10列目より後ろが狙い目だったようですが、1回目・2回目ともに席が前すぎてはるか頭上を飛んでった残念。こういう演出をみるとシティボーイズのリス投げを思い出すわ〜。
打ち終わって消耗している家城さんのもとにやってくる林さん「いつもの感じで」。
林さんの首周りにはぞろぞろとネクタイの束。ベルトに何十本とネクタイが結ばれてて、それを首輪みたいにつけてる(水どうのタコ星人のよう)。そのメンテナンスをしにきた林さん。「いつも通りカットでいいのかしら?」家城さんは女性です。瀬川瑛子みたいな鼻声。
夫人「おけいちゃん!今日こそ私を抱いて!」おけいちゃん「抱かないですよ」夫人「ギンギンのくせに」おけいちゃん「冷えちゃってキンキンです」夫人「私で溶かしちゃう?」ド直球じゃねえか。という、なんだか慣れたシモなやりとり。
「カットお願いします、Dr.デザイア」「お下品夫人と呼んでちょうだい」お下品夫人はお下品によって成長するらしい。お下品道を極めたくないおけいちゃん。夫人「匠たがらない人はじめてだよ...?」たくむって動詞なのか!
美容院ふうの椅子に座ってお下品夫人にネクタイをカットしてもらうおけいちゃん。伸びてるのはいやらしいことを考えたから?夫人「あたしが切ってるこれはどの夜のお下品かしら?ほんとお下品!」下品下品うるさいな、というおけいちゃんに「お」がついてるじゃない、と夫人。どんな言葉でも「お」をつけるだけでミラクルワードになる。おファッション。おきんぴらごぼう。おきんぴらおぼう。おぼうさーーーーーん!
おけいちゃん「逃げてる坊主追っかけてるだけでしょ」このあと3回ぐらい坊主が逃げていきます。
おけいちゃんは首周りのネクタイの毛根ががかゆくてしかたない。夫人「まあお下品!生クリームシャワー浴びてこようかしら」わからないおけいちゃん。私もわからん。
おけいちゃんはここへ来るとよく意識を失う。その間に催眠術で脳をいじられているらしいです。林ちゃんの成長速度が早いのはお下品夫人のせい。お下品夫人ことDr.デザイアは、どうやらマッドサイエンティスト。
お赤おワインをお飲みながらネクタイの根本のなにかをピンセットでつまみ、食べる夫人。ワインの肴なの...?夫人「おけいちゃんのネクタイにしか住んでないのよ、小さいサラリーマン」食うのか!サラリーマンを!食感は海ぶどう。お海ぶどう...海おぶどう...「うるせえな!」ここでもお坊さんが走ったんだっけ。
ワイン飲みながら小さいサラリーマンを食べるお下品夫人に、おけいちゃんがまじめに語り出す。ぼくはたくさんの人を殺してきた。殺すたびネクタイが増えていく。知ってるわよ、と夫人はこれまでの悪行(拾ってきた子どもを殺し、パンツかぶって踊るおっさんを殺し、不動産屋さんでたくさん殺し...)を列挙する。「ぼくは悪でしょうか?」夫人は研究者だから善悪に興味はないという。その成長速度に興味があるだけ。殺人の快楽と罪悪感の狭間で悩むおけいちゃんですが、おけいちゃんは殺人の快楽と罪悪感、そのあいだの葛藤をもとに成長する。もうNo.5までのぼりつめた。...No.5?
おけいちゃん「ぼくは誰なんだろう」
お下品夫人「あなたは魔王に魂を売った人間、林景荘よ!」
1部冒頭の演歌が流れる。2部のあいだずっとかかっていた黄色の幕が落ちたのはここ?もうちょっと先か?
僕はなんのために旅をしていたのか、と悩む林ちゃん。お下品夫人は魔王ランディは神、手下のわれわれは悪魔だと言っていた。つまりお下品夫人も魔王の部下だということ。
夫人「あなたは魔王を殺せるかもしれない」林「できるわけない!どうして殺さなきゃいけないんですか!」ん?林ちゃんは人間だったころのことを忘れているの?
夫人「あたしが手を加えた作品が神を殺すなんて、お下品だわ!」
でも自分には魔王を殺す資格がないという林ちゃん。
夫人「この世の中のあらゆることにおいてね、資格なんてものはひとつもないのよ!」
このくだりのお下品夫人はすごい迫力があった。魔王討伐の初期衝動を呼び起こしなさい、と叫ぶ夫人。でも今のままの林ちゃんではダメだ。お下品夫人を倒してさらなる力を手に入れ、神を超えなければ!
林「お下品夫人、俺はお前を愛している」
夫人「......知ってたわ」
お下品夫人が白衣を脱ぐと、中は全身網タイツ(股間に穴があいてる仕様)。パンツが黒。
夫人「私を倒して力を手に入れなさい!」
林ちゃんは魔王に魂を売ってから人間の心を手に入れた希有な存在なのだと夫人はいう。もう身近な人を殺すのは嫌だ、と叫ぶ林ちゃんに対し、最後の戦いを挑むお下品夫人。
夫人「あなたが来ないんだったら、あたしが殺してあげる」
お下品対決が始まります※このへんシリアスからの急展開で記憶がだいぶ曖昧。
林「そこまでいうなら殺してやるよ!」夫人「まあお下品ね!」
林ちゃんの攻撃:ぐるぐる冷血タイフーン。林「...何なのそのかっこ(蔑)」芯から冷えるお下品夫人、しかしお下品微振動によって破られた!
夫人の攻撃:お下品おこんぶアタック。デューク歩行でぬらぬら歩いてくる夫人。しかしおこんぶは直進しかできないので簡単に躱された!
林ちゃんの攻撃:アキラ神拳なにわ節だよ人生は。なにわ節だよ〜のイントロがかかると清水アキラのものまねばりに、唇を鼓にポンポンポンと打たずにはいられない。イントロだけがエンドレスにかかる恐ろしい技。口の周りが真っ赤に腫れてるのにやめられない!叩きすぎて棒立ちになり、うつろな顔で鼓をうつ夫人が鬼気迫っていました。しかし夫人、「飲めといわれて〜♪」とむりやり歌い出すことで技を返した!林ちゃん「返された!」そして今度は林ちゃんの手が勝手に動き出して唇を打つ...けどいまいち本気で打ってない。後半ほとんど添えるだけ。怒る夫人を尻目に「淡谷のり子先生の7点」!返した!(ものまね四天王世代=アラサーしかわからない流れ、でも爆笑)
夫人の攻撃:お下品ケチャップポッキー。No.2ぼうやがムリヤリ口に突っ込んでくるケチャップに漬かったポッキー、すごくお下品なハーモニー。
林ちゃんの攻撃:ご真言を唱え「陸奥ぐるぐるカッター」を繰り出す林ちゃん。ぐるぐる廻るとネクタイが浮き上がり、刃物となって夫人を刺す。そして流れる「みちのくひとり旅」。
♪たとえどんなに恨んでいても
 たとえどんなに灯りが欲しくても
 お前が俺には最後の女
 俺にはお前が最後のおんな
切られた夫人は恍惚の表情。そしてモノローグ「ほんとうは、おきれいと言われたかった...」

「Interlude」
デッカチャン=魔王、コッセこういち=林。2人は役名(魔王・林)が書かれたTシャツを着ている。そして1部の幕切れ、林ちゃんが魔王に魂を売ったくだり再現。でもそのままではなくて追加されて長い。そして2人のキャラが変わっている?違う点がたくさん。
すべて人のせいにするコッセ林「死んだのは邪鬼のせいだ!ファックざわざわ!」「死んだのはもとはといえばオコチャのせいだ!ファックオコチャ!」たしなめる魔王。
生き返ることがとにかく大事、でも生き返ったらあなたを殺すかもしれませんよと言うコッセ林。でもすでに魔王「様」づけ。魔王「懐入ってくるね〜」。いつでも殺しに来い、返り討ちにしてくれるわという魔王。
魔王はなぜ林ちゃんを生き返らせた?「お前には魔族としての素質がある」死人からスーツを盗り、ノセられて魔王討伐を誓い、友人を裏切り、旅人を殺し、女を刺し、邪鬼に騙されて死んだ。林「なるほど僕は最低だ、あなたにもらった命を燃やし、この力の限りおろかな人間を苦しめましょう!」
結託し哄笑するワル2人。
え、え、この一幕は一体どういう意味があるの...?

「846章 初めての魔王の間」
魔王によびだされて部屋に入ってくる林ちゃん、スーツから演歌の着物に戻っている。でも首にはネクタイの束。
そこにタオルで顔を拭きながら魔王ランディ登場、例の低音で「顔洗ってたぁ」三途の川から13年、林ちゃんはNo.2になったらしい。林ちゃんを待たせてデコラティブな魔王の衣装を脱いでいくランディ。頭のツノも背中の生首も、すごい高いブーツも全部。靴ずれ防止の絆創膏を貼っていた魔王。「それ、とれるんですか...!」すなおに驚く林ちゃん。魔王「とれなかったら逆にこわくない?」なんと地声は女の子みたいなソプラノ。「声変わりしなかったの♪」めんこい。
魔王「ねえ林ちゃん、ぼくを殺しにきたの?」そんなわけないでしょう、という林ちゃんのNo.2就任を祝ってお茶で乾杯。魔王「お酒なくてごめんね、明日の朝早いから」「あっネイルはがれてきちゃった〜」「今ワンコインランチにはまっててぇ」三連コンボ。林「OLか!」魔王「おーえるではない」
魔王の住んでいるお部屋の中央にはホワイトボードが置いてある。みんなの成績表、赤い花は林ちゃんがダントツ。ホストクラブみたいです。壁には初心を忘れないようにスローガン。「虐殺」は父親の友達の書家が書いてくれたもの。「目標殺戮数:50万人」、でも現状8万人。そのほか「浅田魔王 KILL ヨナ」、「急がば殺せ」など。
「もうぜんぶ疲れちゃった!」とだだをこねだす魔王。絶対的存在の弱音を受け入れられない林ちゃん。「からかっておられるんですね」というのに答えず、魔王は「魔王の存在意義ってなんだと思う?」と問う。魔王「これすごい大事なことなんだから!出るよ!これあるよ♪」
林「人を脅かすこと...ですか?」魔王「さすが林ちゃん♪ほぼ正解♪」
でも存在に意義があるのではなくて、ただ存在しているものに後から意味がついたのではないか?と林ちゃんは考えます。つまり魔王ありき。でも「逆だよ♪」と魔王。先に、初めに意義があった。人間を守るという意義が。
混乱する林ちゃん。だって両親は魔王の部下に殺された。魔王がいなければスラムもなかった、世界は平和だったはずだ。「でもぼくが魔王をやってなければもっとたくさんの人間が死んだし、スラムももっといっぱいあったはずだよ?」林「うそだ......!」だって魔王が生まれる前、人間は人間同士殺し合い、戦争ばかりしていた。生み出された魔王の意義は、人間同士の殺戮を防ぐための共通の敵として存在し恐怖を与え続けること。
タイガーバームの神様だったランディは、人間を滅亡から救うために魔王をやれと言われた。それは上の神様から。上の神様は殺し方にバリエーションを求めたりするらしい。一気に大量に殺戮するんじゃなくて、いろんな手段でちょっとずつ、恐怖に飽きられないように。
魔王「そういうの考えたりすんのもう疲れた!」魔王=神様にとって、人間は守るべきおろかな生き物。
林「だからって何の罪もない人を殺していいんですか!?」
魔王「林ちゃんも殺してきたじゃない、守るために」
林「......もしタイガーバームを集めたときに私が願いを言っていたら...?」
魔王「魔王は死んでたよ!でも言わないでよかったね、人類滅亡のお手伝いだよ♪」
混乱し、部屋に戻る林ちゃん。ひとりになった魔王。
「黒人地域があんまり殺せてないから、今週は黒人ウィークにします♪」「あ、コンタクトとらなきゃ、パリパリになって目ヤニでちゃう」どこまでもOL的に就寝準備。

「884章 あなたは魔王を殺せますか?」
林ちゃんのモノローグ。
林ちゃんは考えて悩んで葛藤を繰り返し、ますます強くなった。あるひ部屋の隅に立てかけてあった伝説の剣にふと気づく。死んでから伝説の剣・カリカを手にしたことがなかった林ちゃん。
手に取ると力があふれてくる!初期衝動を呼び起こされた林ちゃん。
「もし魔王を殺すことでふたたび戦争が起きるのなら、戦争を食い止めればいい。必要悪など認めていたら、人間に進化はないのだ!エイエイオー!エイエイオー!」
魔王ランディを倒すべく、魔王の間に乗りこむ林ちゃん。
そこで見たものは、天井高くロープでつり下がり、首をくくった魔王。
魔王は自殺して、また林ちゃんは魔王を殺せなかった。
弦楽器とファゴットとフルートがレクイエムを奏で(※生演奏)、天井のくす玉から巨大な「カリカ単独‘魔王コント’」の垂れ幕が落ちる。
スクリーンに魔王の遺書が映し出される。ほぼパロディですけど。
 体力の限界、気力もなくなり、自殺することになりました(※おおおお千代の富士!)
 私の仕事はすべて林景荘に託します
 人を殺してもひとり(※放哉)
 殺しても殺してもわが人生楽にならざりじっと手を見る(※たくぼく)
 殺したっていいじゃない、神様だもの(※みつを)
 わが生涯に一片の笑みなし(※ラオウ)
 そういうものに私はなりたい(※賢治)
 わが魔王軍は永遠に不滅です(※ミスター)
  魔王 ランディ・タイガー・バース(阪神の守護神...!)
 (あれ、山頭火はなかったっけ?)
筆頭を失った魔王軍、No.2の林ちゃんを魔王に仰ごうとする。
林「引き受けよう!魔王も、タイガーバームも、すべて引き受けよう!」
手には伝説の剣。全員が後ろを向いて、林ちゃんが戴冠する。振り返ると全員メガネ(笑)
「エイエイオー!」暗転、響きわたる7頭の虎の吠え声。

明転すると着物姿の林ちゃん(魔王)と、最初の映像で出てきたアーティスト風のかっこした家城さん。
林「さあ願い事を言うがいい!」
家城「魔王死んでほしい、マジで」
林「...ばびょーん」


くるりのワンダーフォーゲルが流れて、構成作家さん、美術さんなどの製作風景が映像で流れる。
出演者のカーテンコール。最後にカリカが客席に礼をして、暗転。
(1回目は毛むくじゃらのぬいぐるみを着たデッカチャンが居残っていました)

アンコール?
林さん=演歌、家城さん=ラップで交互にうたう。めまぐるしく変わる曲調。
林♪人は誰もみな魔王 僕の愛した浅田真央 手酌酒 ひゅるりらら サラリーマン...みたいな演歌。ふつうにうまい。
家城♪上から読んでもカリカ 下から読んでもカリカ 林克治という変態 家城啓之という妖怪 ワールドリーダーは悪いリーダー...みたいなラップ。むずかしそう。
歌い終わって、家城さん「本日はカリカ単独ライブ‘魔王コント〜あなたは魔王を殺せますか?’にご来場いただきまして、まことに (※深く礼をしながら2人とも口パクで)ありがとうございました」

終幕。






お詫びライブ(と3回目)は見てないので、これで終わり!
どっとはらい。もうほとんど意地です。
1回目と2回目の間に喫茶店でしこしこメモ書いて、2回目終わったあともバスで寝ずにしこしこしこしこ書いて、仕事の取材メモ帳の裏表紙まで使い切ってしまったぜ...。字がみみずで判別不可能なところは妄想と勢いで補完したけど、いろいろ抜けたり入れ替わったりしてるなあきっと。
もともとは、いつも吉本系のライブで大変お世話になってるIさんが急用でカリカ単独行けなくなって、ああじゃあできるだけ客観的に覚えて帰らないと......と思ったのが始まりでしたが、すみません途中から完全に自分のためにやってました(土下座)

考えてることはいっこ上の記事に書き足していく。
本気で神保町花月「魔王と私」行きたい。本気と書いてマジと読む。立ち見ってあるのかな…。

2010年06月14日(月)



 夜空の果てまで向かおう

明日から四国出張なのに、いつ書き終わるんだろうコレ。
書き終わるまでカンニングしない(=他の人のレポを読まない)と決めました。見ちゃったらもう絶対に続き書かないから。なんかだんだん書き起こしじゃなくて創作補完になりつつある。セリフとかノリで書いてるからね、雰囲気、雰囲気です。

ちなみにここまでの流れはこちらの途中から。


「まだ死ぬわけにはいかない」
伝説の剣を手に入れて旅を続けている林ちゃん。ザアザアと雨がふるなか、黄色い合羽を着た人影林ちゃんの背後に駆け寄り、後ろからナイフで刺す。それは生き返っていたオコチャ。オコチャ「おあいこ!」林「おあいこだったら生き返らせてくれよ!」でも走り去るオコチャ。
(あれ?お返し、だったかな?)
林「だから俺は梅雨が嫌いだ」倒れ込む。
とても冷たいところにいる林ちゃん。「俺は死んだのか...?」起き上がると、そこは川のようなところ。なんだかとても上手側に行きたい気がする。「でも行っちゃいけないような気がする...でも行きたい...ああでもあっち(下手側)に行かなきゃ!」そこにぱちぱちぱち、と拍手が。
手を叩いたのは舞台中央の階段に座っていた人影「さすがですね!」。
白いシャツに黒の蝶ネクタイ、下半身はおむつのみ。赤の水泳帽に髪を全部入れている。帽子にひっぱられて目が吊り上がり、顔は歪んでいる異形。もちろん家城さんです。
「ここまできて理性が残ってるってやっぱすごい!さすが魔王討伐を誓った男!」絶賛されても「きもちわるい!」としか返せない林ちゃん。「慣れましょう、話が進まないから」嗜める気持ち悪い人。林「慣れません!」たしかに慣れない気持ち悪さ。水泳帽をかぶりなおしてぐりっと顔を剥き出しにし、キモさをアップデート&バージョンアップする気持ち悪い人。
「俺についてくればキモさの向こう側、見せてやるぜ」(キメ)
ジョジョ立ちで上体を揺らして爆笑をとる気持ち悪い人。「求められてる気がするんです」
(これは2回目だけだったかな?)
「ここは世界一有名な川でございますよ」林ちゃん「三途の川ですよね」そう、ここは「三途リバーでございます!」どちらに行けば死ぬのか、生き返るのか。「最高の二択でございますよ!人生最後のギャンブルの始まりでございます!ざわざわです、ざわわざわわです!」あ、カイジだ。
(あっぱれのひっぱりからのアドリブは1回目だけだった?どこに入るんだ?)
気持ち悪い彼の名は邪鬼、無邪気の邪に鬼。三途の川で迷う人を導く役割。林ちゃんのように自分で立ち止まる人もいるし、誰かに呼び止められる人もいる。下手に立って「まだそっちに行っちゃだめよ」上手に立って「ここはまだオマエが来るところではない(超美声)」林「でもぼく誰にも呼び止められませんでしたよ?」邪鬼「そりゃ誰にも愛されてないですから」地味に凹む林ちゃん。
林「でも邪鬼さん、あなたはバカですね」だってさっき上手が彼岸、下手が此岸だって言ったから。「い、言ってねえよ!何年この仕事やってると思ってんだよ!言ってないってえ!」挙動不審で逆ギレする邪鬼。結局ぐずぐず泣き出す邪鬼。実は録画されてて、現場がちゃんと仕事してるかを上の人に見張られてる。「派遣だし!」普段は派遣も社員も仲良いけど、ボーナスのときだけ壁ができるらしい。知りませんよ!さっさと下手に行こうとする林ちゃん。
邪鬼「ちょちょちょ、待って待って班長!怒られるんです、そっちの岸行ってもいいですから一端こっちの岸にぴょんと飛び乗っていただいて...」とうぜん振り切って下手に行こうとする林ちゃん、邪鬼は止めようとするけど止め方が甘い。しかも最後にちらっと笑った。のに林ちゃんは気づいた。本当は下手があの世なのではないか?と疑心暗鬼になる林ちゃん。シュール5の田所プロデュースのような展開、どっちだ?ざわ...ざわ...。なかなか立ち止まる人がいないので遊びたかっただけという邪鬼。基本は生き返らせる方針で、しかも林ちゃんは生き返らせるように上から指示があった。
林「けど死んでたらどうするんだよ!」
邪鬼「ぜっったいにそのようなことのないよう言葉を選んでおりましたあ!」
林「じゃどっちに行けばいい?」邪鬼「.........。」座ったまま動かない邪鬼。え、死んだ?
林「邪鬼ちゃーーん!」どんなタイミング!
上手か?下手か?ますます混乱する林ちゃんの背後から「ざわざわ...ざわざわ...」死んだはずの邪鬼の声。生きてた。そりゃそうだ。遊びたいだけの邪鬼ちゃん。
邪鬼「私は人を信じられない人には本当のことを言います。人を信じる人には嘘を申します」
お前が先に死ね!と上手(あの世)に邪鬼を突き落とすと、またも動かなくなる邪鬼。
じゃあやっぱりあっちだ、と対岸の下手へと向かう林ちゃんの背後から「ざわざわ...ざわざわ...」死んだはずの邪鬼の声。三途の川の住人は死なないのだった。しかし林ちゃんもまだ岸に上がってはいなかった、ドロー。邪鬼「これは卑怯だあぁ!」この騙し合いはどこまで展開していくのか。あれ、結局どうやって林ちゃんは上手に行ったんだっけ?(このくだり長かったんだよ...)
とにかく上手の岸にあがった林ちゃん「生き返ったぞ!」
「あぁあ、遊びたかっただけなのに、結局マニュアルどおり」がっかりして立ち去る邪鬼。
そう、けっきょく上手があの世だった。林「俺死んだ!?」
そこにひびく魔王の声「お前は死んだ。私の手下になるなら生き返らせてやろう」
林「よろしくお願いします!」しかも食い気味。魔王「カンタン!」
あっさり魔王側についた林ちゃんは客席に一礼、スラムの皆様に謝る。
スクリーンには「コントオーバー」の文字。サブちゃんの「祭り」がかかり、エンドロールが流れる...けどキャストがふざけている(笑)たしか、
林景荘・・・藤原竜也
王様・・・・サモハンキンポー(黒ウーロン茶)
従者・・・・大泉洋
みゆき姫・・余貴美子
邪鬼・・・・香川照之
魔王・・・・1日目/伊武雅刀、2日目/香川照之
みたいな感じ。香川照之率が異常に高かった。ていうかいいのか余貴美子!(三角コーナーの汚物って言われる役です)
舞台両脇に立っている大きなパネルに黄色の垂れ幕が落ち、舞台の色が変わってアナウンス。「本日はカリカ単独‘魔王コント’にお越しいただき、ありがとうございました。林景荘が早めにリタイアいたしましたので、第一部は完とさせていただきます」えっ!続きまして25秒後からは普通のコントライブになります、とのこと。家城さんのおぼつかないカウントダウン「25,24,23...15,イチゴ,越後,セルジオ越後,越前クラゲ...」メタモルフォーゼ!けっきょく「3,2,1」もセルジオ1の越後とか言ってた気がします。

***

舞台中央にサンパチマイクが置かれ、出囃子にのって出てくるカリカ。なんと漫才!2007年M-1三回戦敗退以来の漫才!上から読んでも下から読んでも右から読んでも左から読んでもカリカ。さみしく言うと過疎化。今年はKOCの3回戦に行きたいと家城さん。林「準決勝狙いましょうよ」家城「そこは決勝って言おうよ!」でも決勝は行かないと思う行かないでくれ(真顔)
タイガーバームをしらない世代がいるという話。知ってる世代はアラサー。家にあったよね。タイガーバームガーデンというのが香港とシンガポールにあって、香港のはつぶれてシンガポールも風前のともしび。家城「いつか行きたいね」林「気持ち悪いよお前」家城「子どもたちが成人したらさ、ゆっくり行きたいよねっ」熟年夫婦のような(一方的な)会話。行きたいとか以前に林さんは家城さんに興味がない。もう結成10年以上にもなるのに。家城「じゃああなたが死んだら遺影もってタイガーバームガーデンに行ってやりますよ」生前すごく行きたかったんだろうなと周りの人に思わせたい。林「そっとしといてください」たしかに。中国人とフィリピン人のホモにしか見えない。
オトナの話。家城さんによると、オトナの3大ワードは株・近所付き合い・虚無感。ここらへんのつなぎを忘れましたが、おっさんが路上で子どもにパンツを見せたら変態かどうか?林「捕まるでしょ」じゃあ単にパンツを手に持っていて、その前に子どもがいる場合は?林「場合による」パンティだったら?林「変態です」それならパンティをかぶったおっさんが路上で激しいダンスを踊っていたら?林「現行犯逮捕です」でもそのおじさんは純粋に心から踊りを見せたいだけなんだよ!林「じゃあパンツとりなさいよ」そんな話。
引き続きオトナについて。子どもがいてもおかしくない年だ、という話。家城「子どもなんて勉強させなきゃいけないし」林「犬拾ってくるし」家城「山や海に連れてかなきゃいけないし」林「犬拾ってくるし」家城「わが家、犬だらけ!犬好きだから犬屋敷でもいいけど」でも拾ってきた子どもを叱れるのか?家城さんは「そんなもん食えるか!」と叱るそうです。トラウマだ。家電製品を拾ってこさせたい家城さん。コジキの発想ですが、コジキの子はコジキ。ちゃんと世話できるのかって言わなきゃ、という林さんに対し、家城「僕が拾われた子だから無理です」...ドナドナを歌いながらはける家城さん。あわててマイクをはける林さん。

コント/棒
林さん(父)のもとに帽子をかぶった家城さん(子ども)がやってくる。背中に何かを隠し持っている。それは棒きれ。でも子どもにとっては友達スティッくん。父「またそんなもの拾ってきて!返してきなさい!」子「道ばたで冷たくなってたんだ!うちに置いていいでしょ!?」父「だめだ」どうせお前はそこらへんに放ったらかすよ、という父に「ちゃんと毎日ふりまわす!部屋の隅にたてかける!」と反抗する子ども。でもやっぱりダメ。子「どうして!?」父「うざいんだよ!」ピストルを取り出した父に、子「ぼくは棒さ!お前に拾われてふりまわされっぱなしの...!」恨むなら本当の親を恨め、と義父に射殺されてしまう子ども。
客席を向いて「どうもありがとうございましたー」2人明るく。
1回目では林さんの汗がすごすぎて火薬が発砲しないアクシデントがありました。あれはあれでおもしろかったけど、2回目のほうがゾッとしたな。
そしてさっきの漫才はどうやらフリで、1部とも繋がっているらしい。

林の部屋
徹子の部屋的に、林さんとコッセさんのQ&A。スポットライトを浴びて立っているのはコッセさんのみ、林さんは声だけ。これまで出演した映画とかドラマとか、そのセリフを言わされたりする。セリフなかったり、「うわぁ」だけだったり、忘れたり、噛んだり。ここは2回とも気を抜いててあんまり覚えてない...。最後は得意の踊りを、ということでパンティをかぶって踊り出すコッセさん。あ、さっきの、漫才の。そしてやっぱりつかまった。林さんに羽交い締めにされ、引きずられていくコッセさん。

コント/バース不動産
不動産会社の社員が林さん、死んだコッセさん(パンツかぶったまま)を袖にはける。そこにヨボヨボと入ってくる家城さん。「この街を愛してしまってのう」だから部屋を借りたい。林「見た目お若いですがおいくつで?」家城「28歳じゃ」若い!という林さんに「内臓だけが老いる病気で...」とても気まずい林さん。座りたい家城さん、でも腰はイタクナーイ。林「ふざけてるんですか!?」家城「目が見えないので」林「気まずさがパンパンだあ!」家城「地獄へ堕ちてくださいね〜」優しい言い方でめっちゃ怒られた林さん。
では口頭で、と間取り図を見せるのに「ベランダ狭いのやだ!」じじい見えとるやないか。
世の中にはついていい嘘と悪い嘘がある。林「今のは悪いほうの嘘でしょう!」家城「神様ごめんんなさい!......チャラ!」
じじい、ではなかった若者は轟さんという。きれいで広くて安い部屋が借りたい轟さん。そこにひびく「モー♪」...牛?林「あんた今日電車で?」家城「牛で来ました」林「だと思った!」電柱につなぐ、のではなく口から串刺しにしてある。えええ!?嘘ですけど。
そこにモーモーと複数の牛の鳴き声。何とかして!と林さんに言われてはける轟さん。戻ってくると轟さんが9人に増えている!家城さんを先頭に三角形のフォーメーション、すごい圧迫感。家城「ぼくは」残り8人「ひとりです!」卒業式のようだ。「轟だもの」「部屋を」「借りたいのです!」林「殺すぞ!」暴力的〜。またもピストルを出す林さん、唐突すぎる。今度なにかやったら殺す、って言ったからか?
そして撃たれる1/9。動揺が走る8/9。騒ぎ出す牛。轟さんズの統制が崩れてしまう!
1人撃たれたのになんとか持ち直した轟さんズ、8人で部屋の条件を美しく唱和。でも最後の家賃だけバラバラ。円陣を組み「部屋を」「借りたいのです!」気合いを入れ直す轟さんズ。ハイタッチでもう一度フォーメーションを組むと、先頭が轟-家城じゃない!だれだ(笑)
そして林さんから乱射される凶弾、次々たおれていく轟さん。
最後に轟-家城だけ残り、「きのう親が死んだんです」林「それはついちゃいけないほうの嘘だな」でパン!「部屋より、お墓をさがしてください」でこときれる轟-家城さん。
そこにひときわ大きな「モォ〜♪」の鳴き声。林「一頭だけすごいデケェ牛いる!」暗転。

家城ぶらり旅inタイガーバームガーデン
テレレレ♪というえらくご陽気な音楽にのって、成田空港前の家城さんの映像。なんと作家さんと2人シンガポールへ!タイガーバームガーデンほんとに行ったのか!機内で林さんの遺影をかかえて眠る家城さん。
去年の9月から家城さんが行きたくて夢にまで見たタイガーバームガーデン、気のふれた造形美の数々をご紹介。ザツなポーズの龍、はまぐりウーマン(卑猥)、ばよえ〜んっていうぷよぷよのキャラ、上島竜平、吉田戦車タッチ、布袋さんか大黒さんにしかみえない笑うブッダ、まったくかわいくないメインキャラクターの虎、などの容赦ない猛攻。制作者はヤク的なものをやってると思う。あ、でも黒い猿の腕に抱かれて林さんの遺影を抱えてるショットはよかったな。半裸でオブジェになりきる家城さんはやはりすごいです。造形的な意味で。
さてここでファイナルミステリーです。悟空は天竺への旅の最後、お釈迦様のてのひらの上にいましたが、私が今いるのは何ひらの上でしょうか?答え:カニひらの上。※カニの目と目のあいだに女の生首がはえている。なんかもうすごすぎ。「林に見せたかったのはこんなんじゃないんだ!」



出張から帰ったので再開です。この1週間でマイルがたまってうれしい私。
お下品夫人は大好きなので、日を改めて3にしよう。3で終わるかな...

2010年06月13日(日)
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