ヒルカニヤの虎



 ただ前に前に向かう旅

ANAもJALも大変だなあ。遠方への取材というものにすっかり倦んで、取材を断りたおしている今でこそ他人事だけど、同業種にとっては単発事故よりシステム障害のほうがよほど緊急事態だと思う。めまぐるしく飛び回ることがなくなって、何かの拍子に地方で通りすがった景色や匂いが泡のように浮かんでくることがある。日本か世界のどこかで見た、とるにたらない、たぶんもう二度と見ることのない景色。忘れてしまって思い出さない景色もきっとたくさんある。新しい景色が強烈にインプットされつづける状況だと、過去の情景を取り出して眺めたりする余裕はないんだね。仕事とはいえ津々浦々行かせてもらった経験はものすごく貴重だったのかもしれない。しかし「ある場所・ある時間に自分の身体を移動させておかなければ何もかもポシャる」というのはすごい恐怖だし、心身にかかるストレスは相当えぐいものがあった。ゆえにまた行きたい、とはまだ思えていない。

ということで遠くには行っていませんが、日帰りできる近畿圏内はけっこうぷらぷらしています。この1ヵ月でなぜか京都に4回行った。春画展とか原画展とか、書店めぐりとか。そして案の定というか思う壺というか、Kさんの強烈なプッシュにより着物にはまる。一昨年くらいから結婚式には訪問着で参列するようになったけど、礼装以外の着物の世界も奥深いですね。端的に泥沼です。そもそも1点ものに弱いヨーロッパ古着フリークが、アンティーク着物に流れるのはある意味ベタすぎるべタだったのかもしれない。そうなると目下の大問題が身長ですよ。165cmで着れる裄丈のアンティーク着物なんかまずない。でも今の柄行よりむかしの着物が好きなんや…。縮め俺の身長!

2016年04月01日(金)



 よろしくおあがりおそまつさん

おそ松さん終わっちゃったなー。トト子ちゃんの死にざま(脳天カジキマグロ貫通→自害)で息ができないほど笑った最終回。先週の「COMPLEX?」の返しからトト子ちゃんに対する好感度うなぎのぼりです。
おそ松さんは自己責任アニメとして最高にくだらなく面白かった、それは間違いない。ただずっと「この違和感、どこかで…?」とモヤモヤしていてな。世間がみているおそ松さんと私がみているおそ松さんは実はまったくの別物なのではないか?と疑うほどの解釈の乖離。それが最終回にしてようやっとわかったんですよ。M-1直後のオードリーだ!ブームに乗りまくって本来の芸風と真逆の消費のされ方をして、どれだけ毒づいても若様カワイイ女子に頭から飲み込まれてしまっていた頃の、虎のかぶりもの+かわいいポーズが嫌で嫌でたまらんという気持ちが子役の始球式くらいリスナーに届いてなかった頃の。って検索したらもう6年も前かよ!しかも自分が書いた記事くらいしかヒットしない悲しみ。まあブームなんてそんなもんだよね。
おそ松2期は正直あってもいいしなくてもいいなって思ってます。
さらにはハイキューの青城戦も終わってしまったし、空虚な春である。あ、でも明日はどうでしょうDVDのユーコン討ち入り日だ!

2016年03月29日(火)



 染まっちまったらおしまいだぜ

ザ・スライドショー開催!東京代々木体育館!
日程的に名古屋のイエモンと被るけど、これは迷わずスライドショーです。だれかと都合を合わせたりここ数年の情勢を読んだり、あるいは昔をなつかしんだり、そういうしがらみもなく。ただ単純に今のいとうせいこうとみうらじゅんのスライドショーを、私が見たい。私だけが!見たい!!(シャウト)なのでARKさんからメールが届いた瞬間に脊髄反射で先行抽選申し込みました。こんなに躊躇しなかったライブ参戦はほんとうに久しぶりだ。ラーメンズやシュール5、バナナマンですらたぶんもう躊躇がある。冬に届いたバナナマン2015夏ライブのDVD再生がオープニングあたりで止まったままなんて、昔の私なら想像もできなかったよね。
Huluで配信開始されたおそ松さんをえんえん再生しつづけている2016年春です。Huluがいまだかつてなく重い。

主治医からお酒を控えるよういわれた際、乾杯の1杯くらいはいいですよと言われたのだけど、1杯飲んでブレーキかけるほうがしんどい酒飲みだったのでアルコール自体やめてしまった。以来たばこに回帰するでなく薬に走るでなく、茶飲みになっています。がぶがぶ。日本茶中国茶紅茶、ぜんぶ同じ椿科の葉っぱとは思えない奥深さ。いいお茶請けも模索しているところです。

2016年03月18日(金)



 こんなときは踊るが勝ちよ

日曜、シェーWAVEおそ松ステーションの公開録音(昼の部)のライブビューイングに行ってきました。本イベントが「いずれ放送される・Webラジオの公開録音を・全国の映画館で・ライブ中継映像で見るもの」ということがなかなか理解できなかった三十路。世の中は知らん間に進んでおるのう。

「これは言わないで」なオフ松ゾーンがあったんですが、心配せずとも今後の情報などほとんど覚えていない。覚えているのは全国八百万の○○松ガールズにとって塵芥同然の情報だけです。私が書いておかないといけない気がするので、おっさん臭いメモだけ置いておきますね。
・麻雀松で麻雀の解説を一手に引き受けてたカラ松役/中村悠一さん、実は麻雀ぜんぜん知らなかった。えええええ?「普通こんなん言わんで」満載の無理くり詰め込んだ言いにくい麻雀用語をあんなに流暢に!声優さんすごい。声の説得力。
・好きな麻雀用語は一松役/福山潤さん=チョンボ、イヤミ役/鈴村健一さん=カンチャンずっぽし。カンチャンずっぽしは確かに気持ちいいが、しかし「ずっぽし」まで麻雀用語に含めてしまっていいのだろうか。
・シェーWAVEを続けるうちにFMラジオのDJもいける気がしてきた鈴村さんの迷言「うんこちんこAMっ子」。おい。AMどころかFMとクリス・ペプラーも敵にまわした手ごたえ。
・バレンタインにチョコ貰ってないのにホワイトデーに職場でお返しを配る若い男性の話で、福山さん「おのこが?」「とんだ益荒男だね」と渋い合いの手。この人の言語感覚はすばらしいな。
・アシュラマンの家庭教師・サムソンティーチャーの話をしていたのはTシャツに顔うんぬんの流れでしたっけ?寄生したサタンクロスが腹に浮かび上がるやつな。劇場でうっかり大爆笑してしまったよ。突然の筋肉マンは卑怯きわまりない。
・福山さんは若いのに物事をよく知ってるなあと関心、同行の友達に聞いたら同世代どころか年上でただの童顔だった。失礼しました。しかしいくつもの無茶ブリにも逃げるでなく引くでなく往なすでなく、やや前のめりで正攻法にボケ返すという真摯な対応をしていて、しかもオチまできっちりもっていくので正直感動した。あれはお笑い畑の人では、お笑い畑の人こそ、なかなかやれないことだと思う。

あとちょっといい話。
3話の時点でおそ松さんがアニメ層を超えたムーブメントになると考えていた福山さん、その理由が「普段から深夜アニメを見ている層ではなくて、月曜に終電で帰ってきたサラリーマンがコンビニ弁当チンして、テレビつけたら子どものとき見た懐かしいアニメがやってて、見てたら超ナンセンスで深夜テンションでゲラゲラ笑って、そこから口コミで広がっていくと思った。そういうたくさんの人を大きく巻き込んでいく力がこのアニメにはあるから(大意)」だと。私もおそ松さんはそういうものだと思っているので、あんまり若いおたくの女の子たちに蕩尽されてしまわないといいなあと、少しだけ祈っています。彼女たちはとても強くてとても残酷だから。
たとえばそう、1989年の日本シリーズ。先に3勝した近鉄バファローズのある選手が巨人を口ほどにもないと挑発し、奮起した巨人がその後4連勝、奇跡の大逆転でリーグ優勝を飾ったのが近鉄のホームグラウンドである藤井寺球場だった――と記憶しているおっさん・おばはんのためにこそおそ松さんはある。ちなみに藤井寺球場は巨人ファンにとって「夢のような場所」でも、私のような近鉄ファンにとっては苦い思い出でしかない。それでも懐かしくて深夜に大爆笑しました。
※ここでは例として「十四松祭り」における「十四松パン」を挙げています。

2016年03月13日(日)



 どんな夜もまた日は昇る

ルドルフとイッパイアッテナが映画化するの全然知らなかった!これは見に行かねば。原作のよいところが存分に活かされてるとよいのですが。ルドルフとイッパイアッテナは脚本的に何のアレンジもいらないと思うの。
あと映画といえば重い腰をどっこらしょと持ち上げて「サウルの息子」見てきましたが、予想と違った。回教徒の話だと思って見に行ったらレジスタンスの話だったんですよ。アガンベンはどっかで読み直さないといけないんだけど、これからの人生の一体どこで?とじっと手をみる。SHERLOCKの忌まわしき花嫁はたぶん映画館では観ない。DVDで仔細に繰り返し観るのがきっと正解。

おそ松さん、相変わらず何回かに1回「おっさんが深夜に爆笑しながら自己満で作ってる」回がありとても楽しい。ここ最近だと麻雀松な。アカギはともかく哭きの竜で夜中に「NOHJOH!!」ってなった。あんた、背中が煤けてるぜ…(懐)。麻雀牌が光る演出は元ネタがちょっとわかんないですけど、咲か?私は兎が好きだよ。おそ松兄さんの安直な打ち方が地味にリアルで好感度高い。あの麻雀牌でグッズ出ないかなー。近代麻雀はこのビッグウェーブに乗るといいよ!おそ松を表紙にするだけで安易にバカ売れするよ!
一方、「イヤミの学校」は心に刺さりすぎるお笑い志望者への逆エール。全編通して一番有意義だったかもしれない。

2016年03月07日(月)
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