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フリフリおれ的わたし的ベスト2007はこちらより


2008年01月30日(水) なにも殺せない指をあそばせて / 甘食

琉球新報のクロマニヨンズライブの記事。これも記者が書いてるんですかね。すごい日本語だなー(笑)。若い人っぽい。

月末ですね。だるいのでぼちぼちサボりに入ります。今日もまたDVD数枚とスピッツのアルバムを借りて鑑賞。スピッツって本当すごいなー、今年はこれ流しっぱなしで空中生活を送るのであろうか。考えるとちょっと恐ろしい。でもいきなり出会ってはまっていくこの感じは悪くない(笑)ドライブしても楽しいしね。すぎなみメロディを聴いてると西荻窪のガード下(本屋とか西友とかある)を歩いている感じを思い出す。はじっこだけどな。懐かしい。

映画も特に何も無し。というか今は映画に毒にも薬にもなってほしくないので、駄菓子のようなのばっかり借りてくる。海でのはなし。とかハチミツとクローバーとか。

海でのはなし。はドロドロになるべき筋立てをこんなスカスカにつくれちゃうのかという感じでしたが、西島秀俊が珍しく?ナイーブな役をやっててよかった。車の中であおいちゃんを拒む場面がよかったです。最後が予定調和なのが???だったけどね。専業主婦っぽい母親のパチンコの原資はどこから出てるのかとか、非常勤講師の給料で親の株の借金が返せるものなのかとか、突っ込みどころは満載なんだけど、すらすらと流して見れてよかったです。あおいちゃんが持ってた革の斜めがけバッグはいいなあ。重そうだけど。革のかばん探してみようかな。スピッツは、おまけかな…ファンが見ると怒っちゃうかもなあ。使い方が適当で。映像はきれいでよかったのですが。

ハチミツとクローバーは原作含めてむしろ苦手な部類(笑)なんだけど、蒼井優が見たくて借りました。なんか、かわいい女の子が見たいだけなのだろうか…そうかもしれない…主人公の男の子がジャニーズの方で、誰かに話しかけられると必ずにこっと笑ってしゃべるんだけど、やっぱりアイドルだからなのか役づくりなのかわからなかった。でもかわいらしいのでよし(笑)。チャリもすごい懐かしい色と形なのでわくわくした。あれに乗ったことがある。ケツにだけど、懐かしい。

主人公の女の子の造形とか話の流れとかはもう見なくてもわかるような感じで、先輩の伊勢谷友介も熱演してたけど、ああいうタイプって見飽きてるんで、どっちかというと「美大生っぽくない」脇役に関心が行った。加瀬亮の役がよかったな〜すごい生々しくて、原作ファンからはたたかれそうだけど、なんか見てて救われる所があった。グループからちょっと離れた所に居てマイペースなのがよかった。まあこういうタイプもぜんぜん普通なんだけど、好みというか…後で知ったんだけど、加瀬亮さん三十路なのですか。ぜんぜん見えなかった。役者だなあ。この役のこの後どうなるのか知りたいんだけど、漫画を読めばいいんですかね?

あとは転がれ!たま子。これこそかわいい女の子を見るだけの映画かなあ〜広田レオナも出てるし。平岩紙も見れてよかったです。三つ編みかわいい。まあ、でもとにかく山田麻衣子…ひきこもりで鉄カブト(!)、フリフリのニットに水玉の長靴。それでもかわいい(笑)アップが多くていちいちかわいい〜と声援を送りながら見てました。

これは脇役はすごい豪華で見ててそんなにうっとおしくなくてよかったです。日進月歩堂のおじいさん(ミッキー・カーチス)をもっと見たい所だったけど、役の設定もナレーションで流されてしまった。平岩紙も何かやらかしてくれそうだったのに、いなくてもいい感じで残念だったし。おっ、そういうふうに思うのも珍しいな。見た目漫画ちっくなんだけど、そんなにバタバタしてなくて見やすかった。竹中直人も苦手だけど見れたし。監督が新藤兼人のお孫さん(女性)ということですが、目指す作風はもっと違う感じのかもしれないですね。

また主人公の生きる目的が甘食にあって、後半は甘食を自力で調達すべく動き始めるという話なんだけど、そのパン屋で働く場面がよかった。というか、パン屋がいい…(はあと)パンの映画なのか!と思った。日進月歩堂はやっぱり明月堂がモデルなのだろうか。おじいさんが倒れて、他の店を探すんだけどおいしいものが無い!!っていうので、へーと思ったんだけど、やっぱり違うかなあ。私も甘食好きなので、食べてみたい。

でおじいさんの弟子のお店を探して働きはじめるのですが、それがおいしそうなお店なんだよなあ。Patisserie Maduという実在(もう閉店したららしいですが…)のパン屋で撮影したみたいなのですが、中のパンがおいしそうでなあ…確かに甘食は置いてないなって感じだけど。その店主が松重豊でさ…(はあと)帽子の形はちょっと違ってて、ふくらんでるのがまた麻衣子ちゃんに似合っててかわいかった。あと店員(兄弟子?)がふたごでなんか藤子不二雄の漫画で見たような感じなんだけど(笑)、これが前の職場の上司に似てて和んだ。この辺でアメリを思い出したりするんだけど、アメリなのかな?これは。ふたごキャラっていうのがジュネっぽいんだよなあ。

それで主人公はアメリよりもずいぶん子どもっぽいキャラで、色恋ざたは特になし(前半、主人公にベタボレと言うお寺の息子はなぜか母親と結婚してしまう)、とにかく甘食からちりちりと半径を広げていくというのがよかった。兄弟子にもっと仕事できるようになれよと叱咤されて、パンの名前を覚えようと勉強(というか食べてるだけなんだけど・笑)してる所がよかったなあ。おいしそうで。まあいきなり甘食焼けちゃったり(簡単なのかなあ…)あんまり苦労してる感じがないのは残念だけど、映画だからいいか。前はこういうかわいいだけの映画ってイライラして見れなかったんだけど、最近はそうでもないなあ。むしろ積極的に見てるような(笑)なんだろう…これも大人力?ていうか目線がおばちゃんになってるのかもしれないけど…


2008年01月28日(月) 月曜日 / YouTubeしおり

自分用に作成。ジャズというかドラム関係。別窓で開くようにしました。すみません…

●Han Bennink Solo Video II

このビデオ売ってるやつなのだろうか…ほしい…ジャケの原画披露に萌え(はあと)演奏の合間に映るシュヴァンクマイエル風のオブジェもハンさんの作品なのでしょうか。羽根を挿したメトロノームのノイズがすてき。萌えだなあ〜(馬鹿)Iの方が演奏多めです。5分半あたりの、ハイハットに鳥笛を挟んで鳴らす所で悶えました。好き…普通の演奏もまたかっこいいんだよなースネアのマーチングっぽいソロとか本当にうまい。法政学館に来た時のことを思い出しました。

Irene Schweizer/Han Bennink - Moods Zürich 2003
イレーネ・シュヴァイツァーとのデュオ。女の人とやる時楽しそうだよなあ(笑)。



Andrew Cyrille/Kidd Jordan/William Parker - Vision Festival
アンドリュー・シリルとウィリアム・パーカー。キッド・ジョーダンさんは初めて見ました。やはりニューヨーカーなのだろうか。あんまりうるさくならないフリー。ずっとカウベルちゃかぽこしてる(笑)どういう気分だったんでしょうね。


Paal Nilssen-Love and Joe Mcphee
フリーのドラムと言えばやはりポール・ニルセン-ラブさんでしょうか。この人エルヴィン・ジョーンズに似てるよなあ…特にドラムたたいてる時。手数が多いタイプで実はそんなに好みではない。

Scorch Trio Live
レギュラーバンドはこんな感じ。ヘビィなギターのトリオ。暗くてドラムがちゃんと見れない…

Michiyo Yagi @ Kongsberg 2006
ノルウェーのジャズフェスにて八木美知依さんが入ったセッション。革のホットパンツと右腕の刺青にしびれた。しかしこの演奏PA無しだったらすげえ(笑)サックスがピーター・ブロッツマンだし、あり得るけど。弦が切れないかハラハラしながら見る。

Talon Koto Trio
八木美知依さんのトリオ。ベースがナスミツルでドラムは本田珠也。照明があやしい…




dravideo supershot
一楽儀光さんの映像を探したんだけど、ないみたいだなあ。専らどらびでおの映像ですね。これはテレビで紹介された時の映像。ご本人が解説されているのが嬉しい。自分が見た時は映像と音がすごいずれてたんだけど自分だけ?

doravideo のど自慢 YMO
いくつかあがっている映像でこの曲が最も完成度が高いと思われたのでこれをリンク。2分弱で涅槃行き。音だけでもいけます(笑)アレンジがうまいんだよね〜その他に坂本龍一のやつもあったのですがすごかったです。

doravideo ノイバウンテンvsドラびでおvs大阪市長
演奏は割と普通なんだけど、タイトルとカメラワークがいい(笑)短編映画を見ているようだ。演奏は後半の忠臣蔵?を使っているのがかっこいいですね。


d.v.d - CET - Japan - 20071202
ツインドラムと映像が同期するユニット。前から見てみたかった。ドラムはイトケンさんと植村昌弘さんときいていたけど、これは植村さんではないようだ。思ったより素朴な感じですね。



●Ikue Mori and Zeena Parkins / sound. at REDCAT pt. 1/4

ラップトップのイクエモリとハープのジーナ・パーキンスのデュオ。最近のライブみたいなので、後でゆっくり見ることにします。



Tim Berne/Chris Speed/Marc Ducret/Michael Formanek/Jim Black
NYと言えばジム・ブラックだなあ。94年のライブとのこと。ゆるやかに艶かしく、消耗することなく燃え続ける。普通のアングルで演奏風景を見たい所なのですが、これはこれで雰囲気あっていいですね。

Carlos bica, Jim Black, Frank Mörbus
これが最近のライブ…いや〜ジム・ブラックさん最近はこうなのね。先日ドラムマガジンで見た時にはあまりにもショックで日記に書けませんでした(大失礼)。メンバーはスペインの方らしいのですが、音楽は普段とあんまり変わらない感じですね。


Cyro Baptista and Billy Martin's Black Lamp
Medeski Martin and Woodのドラムのビリー・マーティンとシロ・バプティスタのデュオ。楽しそう。こういうオーガにっく系は苦手になってきたんですが(笑)いろいろな楽器が出てきて、見てておもしろいです。



●Tatsuya Nakatani percussion solo at Swanson Gallery in Louis

おお、探したらありました。中谷達也さんの映像。やっぱり好きだなあ…一番好きかも。最初の弓奏から釘付けでよだれがだらーと(馬鹿)。別に音が聴こえるので編集してるのかな?と思ったんだけど、弓弾きしながらバスドラでドコドコ鳴らしてるんだな。その後の金物でフロアタムの打面を擦るのとかリンの扱いとかもういちいちうなずきながら見る。うーん、こういう演奏がしたいんだよねーそう思って今までもやっていた。なんでなのかな?普通のドラムの演奏法とかけ離れてるでしょう。でもこうしたいんだよなー。

Tatsuya Nakatani and Dave Farris
デュオのセッション。セットの前にしっかり座って上よりも普通っぽいドラムの演奏が見れる。スティックが小さくてお箸みたいなんだけどなんでだろう。重力を利用するようなフォームを生かしてるんかなあ。やっぱりシンバル吹いてるけど(笑)。いやーすごいなー。吹きたいのかなあ。吹かなくていいと思うんだけどなあ、シンバルは(笑)。でも胴鳴りでけっこう大きな音が出るんじゃないかと思います。



the new global village
それではル・カンニンの映像は!と思って検索したら1件だけあった。バール・フィリップスとヴァイオリン、琴とボイスの方と一緒のセッション。おおっ、やはり大太鼓なのか。声が大きいし、弦楽器もみんな擦ってるから大太鼓の音は聴こえないかなあ…ソロ見てえ…しかしあんなでっかいシンバルで擦っちゃうのね(笑)どんな音になるんだろう。



●Electric Kulintang

エレクトリック・クリンタンの映像。本当はスージー・イバラの映像が見たかったんだけどこれしか見つからないなあ…ドラムたたいてる所ないのかなあ。うーんクリンタンも歌もかわいいんだけどさー、自分が今求めている音楽ではないんだよなあ。聴いてみたい気はするんだけど。

"Chipmunk Stomp" by Roberto Rodriguez and Susie Ibarra

Susie Ibarra Electric Kulintang at the UN



Kulintang ensemble, Mindanao, Philippines, 1966
フィリピンの本式の?クリンタンの演奏。時代が古いのと演奏者が全て女性というのが目を引きました。いろいろ見てると女性が演奏してるのをよく見る。

Kulintang: Tagonggo solo, Mindanao, Philippines
女性のソロ演奏。リズムは割と単純でやりやすいかもしれない。単純だけどドライブ感があって楽しいですね。

Kulintang and talking gongs
これは男性。名人によるゴング演奏の解説つき。横に居るゴングの2人組の奏法がおもしろいですね。一人が2個たたいて一人が1個の際をずっと刻んでる感じなのが。



Argao Kulintang / Manuel Marley
フィリピンセブ島のアルガオで撮られた映像があったのでいくつか見る。タイトル付きが微笑ましい。これはお手製の木琴でしょうか。二またのマレットはいいですね。

argao farmers unplugged
クリンタンは無し。これ南米の楽器だよね…

katribu argao
これはプラグドのライブ(笑)。katribuさんは他にもいくつか映像があったので地元では有名な歌手なのだろうか。なんかジョニー宜野湾さんを思い出しました(笑)。和む。


2008年01月25日(金) 金曜日 / ハッスル&フロウ

iBookで書くとボリュームアップするなあ…なんでかしら。まだ本屋にいます。最近スピッツの本が出てたので拾い読みしようとしたらほぼ全て立ったまま読了。買おうかなあと思ってたんだけど、読んじゃった。

wikiのスピッツの項目とだいたい同じでしたね。メンバーが多摩地区に住んでた(分倍河原とか国分寺とか懐かし〜)というのと、やっぱり歳が近いので音楽的環境が似ていて共感。影響を受けたアーティストでゼルダの名前を見つけた時は胸がきゅんとした(笑)あとブルーハーツ見てショックを受けたとかな。スピッツの前のチーターズって、当時雑誌とかで名前見たことあるんだよなあ…ひょっとしてライブも見たことあるかも。同名で違うバンドかもしれないけど、地域的・時代的に合ってるかもと思うと感慨深い。365歩のマーチのサバスバージョンって何だろ(笑)なんかもう学生っぽくてすてき。

最初はとにかくインディーズ志向でとんがった(死語)音づくりで頑張ってるんだけど、よくしてくれる事務所のために売れる曲づくりを試みる、で実際にヒットしてしまうっていうのがおもしろくて、私がスピッツに対する興味ってその部分にあるんだけど、そういうヒット曲ってあんまり苦労しないでつくってるんですね。またこんな地味なのつくっちゃったよ〜とか思いながら二日くらいでちゃっちゃっとつくったものがオリコンチャート入りとか、すっごい不思議なんだけどなあ…才能ってこと?バンドとしてもかなり効率的に成功してるし。私が勤めていたライブハウスで見てきたのとは違う世界なんだなあと痛感します。

それもやっぱり成功したいという欲望のパワーなのだろうか。そして才能か…とにかく他のメンバーが曲をつくる草野さんのことを尊敬してて、それに奉仕するような感じになっている。例えばロビンソンのイントロのあのギターがすばらしいんだけど(私も弾いてみたい)、それもまず本メロあってのものだと思うし。デモ聴きながらつくったのかなあ〜どうやってできたんだろうと思う。そういう源泉みたいのがあって成り立っているんだなあと思いました。草野は次どんな曲つくるんだろう、それが楽しみなんだっていう記述で終わってる所なんか、やっぱり未来への期待なのかなあと思う。ご本人は淡々としてるんだけど。そんなものかなあ。

それでまた思い出したのが、去年DVDで見たハッスル&フロウ。年初めに見たブラックスネークモーンの監督です。メンフィス三部作の一作目でやっぱり音楽がすごいよかった。実は去年ベスト1の作品(笑)。ヒップホップだしポン引きだし自分の生活とリンクする所は全くないんだけど、セッション・録音シーンがすばらしいのと、主人公が同世代で、南部の田舎で腐りかけてもんもんとしている様がやっぱりぐっとくるんですよね。

ホテル代さえケチって車1台で客引きしてる(ていっても自分は運転席に座ってるだけ)主人公がある日元クラスメイトに会ってまた音楽活動を始めるんだけど、そのクラスメイトが録音エンジニアで、たまたま教会でゴスペルの演奏を録ってるんだけど、それがピアノ伴奏のコーラスでシックですばらしいんですよ。それを見させてもらっているうちにはからずも涙して、もういちど音楽をやりたい気持ちが湧いてくるという場面があって、私もつられて涙(笑)。自分何やってんだと。馬鹿ですね〜。

それで自分の家の空き部屋に紙の卵パックを貼ってスタジオにし、セッションを始める。主人公がMCで、ゴスペルバンドに参加している白人の若者を入れて3人で曲づくり。あとで身重の妻がコーラスで入り、すごいかっこいい曲ができてしまう。録音エンジニアの友人は音楽に限らずいろいろ仕事してるんだけど、奥さんも堅い仕事で、夫がそういう活動をしているのを見ていて不安でならない。主人公が友人宅を訪ねて、キッチンでセッションになるんだけど、奥さんがいつの間にか現れて腰に手を当ててしらーーっという感じで見てるのがおかしかった(笑)やっぱヒップホップってそういう存在なのかなあ。いい歳して!って感じなのかしら。後でその奥さんが心配で主人公の家に押しかけて録音を聴かせてもらう所がよかった。主人公のラップもセッションを重ねて言葉遣いも磨かれてるし、人に聴かせるっていう気合いが伝わるいい演奏だった。これだけで充分だよなと思う。

音楽をやっていると、そういう幸福な瞬間って訪れてしまうものだったりします。私のようなへぼへぼな演奏家の元にさえも。たぶん客観的に見ると密室に囲い込まれて脳内快楽物質が出てるだけなんだけど(笑)、すばらしい高級なものをつくりあげるというより、なんか「やっちまった」みたいな、そういうものなんだけど。それで自分以外の誰かに認められたりするともうだめ(笑)それだけで生きていけてしまって、やってられないよね。

主人公も、街を出て成功した知り合いのラッパーにカセットテープを託すため、クラブに出向くんだけど(その前の妻とのキスシーンがいいんだよなー)、結局思いが遂げられないばかりかその腐れのラッパーを半殺しにしてつかまってしまう。でも仕事仲間の女の子がラジオ曲を回って営業したおかげでオンエアされることになり、入った刑務所でその曲を知っている職員からほめられてまた自作のテープを渡されたりして、アーティストとしての将来は正直言ってキビしいと思うんだけど、そういう経験があるとやっていけてしまうんだよなあ…まああくまで自尊心の問題なんだけど。

主人公が刑務所に入って面会に来たメンバーが、俺ら堅気の仕事だけどそれでもやってらんねーよ何か欲しいんだよみたいな話をしている所でまたぐっときた。会議の録音仕事とか自販機の詰め替えとかなんだけど。んーブルースだなあ、綿畑から逃げるためのブルース。車工場の労働から生まれたシカゴのエレキブルース。ヒップホップもそういうものなのかもしれないなあと思ってちょっと共感できた。すごいベタベタで何感動してるんだろうと思ったんだけど(笑)グラミーにもノミネートされてたんですね。主人公は黒人なんだけどなんか堂本剛似で親近感湧くし(笑)、下品な所も多いけどおすすめです。音楽好きな方はセッションシーンだけでも見てほしいですね。


2008年01月24日(木) DM2月号

今日も本屋へ。今月のドラムマガジンはカレン・カーペンター特集でした。しかも来月と続くみたいです。先月はジョン・ボーナムだっけ。さすがにジョン・ボーナムは何年かおきに出てくるけど、カレン・カーペンターがドラムマガジンで表紙・巻頭特集って初めてじゃないかなあ。連載記事で一回だけっていうのは見たことあるし、今回もその原稿を元に関係者の取材を加えてつくられたものということですが。う〜ん、自分の記憶だと女性の表紙ってラテンパーカッションのシーラEとか?元SHOW-YAの角田美喜が表紙になったかな。でもかなーりおぼろげな記憶。女性が巻頭の特集とかインタビューに出るというのもあんまりないような気がする。

カレン・カーペンターがドラムをたたくっていうのは私も最近知ったくらいなのでちょっとびっくりしたのですが、他の記事も女性のドラマーがけっこうフィーチャーされてたので、女性ドラマーに注目するっていう意図があったのかもしれません。カーペンターズの楽曲の中でどの曲でたたいているのかさえはっきりしてなかったということで、関係者に確認してどれか特定、来月は採譜&分析特集が組まれるようです。今回はバイオグラフィとインタビュー。解説を読んでいると、もともとブラスバンドから入ってジャズドラムに親しんだということで、パワーには欠けるものの、タイム感・テンポキープが完璧という話でしたね。次第にボーカルに集中するようにすすめられてドラムの部分はどんどん縮小されていくんだけど、ドラムをたたかなくても、録音時にリズムの取り方のアイデアを積極的に出したりして、そういう才能は周囲にも認められていたようです。

好きなドラマーがデイブ・ブルーベック(p)と一緒にやっていたジョー・モレロで、自分用のセットを買ってもらった時には5拍子とか7拍子の曲(!!)とか喜んでやってたらしい…女性には珍しく、他の楽器をやらないドラム小僧(笑)っぽい。今ならドラムっ娘ていうの?可能性はかなり低いけど、ジャズ・ドラマーになってたらどうなってたんだろうと考えるとおもしろいですね。15歳の時にもう兄弟とインストのバンドを組んでオリジナルを録音とかしてたみたいです。このチューバトリオっていうのが、アレンジがよくてコンテストで賞をとったというのですが、チューバでイパネマの娘ってどんなんだろう…聴いてみたい、むしろこれを(笑)。唄伴ではなくてジャズだったらいろいろ工夫してやれてたかもしれないよなあ。そうでもないかしら。来月も読んでみたいと思います。カーペンターズも聴いてみようかなあ。ちゃんと聴いたことないもんな。

女性つながりですが、先日紹介したタッチ・ザ・サウンドエヴェリン・グレイニーの自叙伝が図書館にあったので借りて読んでました。思い出した。これが出たのは90年(執筆時24歳)ということでかなり前なんですね。今と考え方は多少変わっているのかもしれないですが、読んでおもしろかったです。耳が聞こえない人がどうやって演奏するのかということで、打楽器なのでたたいてその振動を利用するというのは予想されるんだけど、後はやっぱり視覚で、作曲されたもののその譜面を完璧に把握する・共演(ピアノの伴奏等)の部分まで頭に叩き込む、また周囲の音(特にオーケストラ)と合わせることが難しいので殆どソロの演奏になってしまうというのはおもしろかったです。

またレコードを聴くのができないため、他の人の解釈と比べられない、故にそれにとらわれずに自分の演奏ができる利点があるというのも初めて知りました。ものは考えようということか…あと英国では聴覚障害者の音楽家・学生のための基金があって、サポートもある程度受けられるそうでたびたび話に出てくるのが興味深い。日本にもあるのだろうか。また耳が聞こえる/聞こえないに限らず、アーティストにとって自分の演奏を聴いてほしい、認められたい、楽器が欲しい(笑)とかそういう欲望のパワーというのは大事だよなーと改めて思いました。

ドラムマガジンに戻って、今月はなぜか唐突のニューオリンズ特集なんですよねー。以前もギターマガジンベースマガジンを巻きこんで特集やってたけど、今回はギャラクティック来日にかこつけているのだな。12月に来日してました。いいなあ〜スタントン・ムーアのライブ…生演奏見てみたいと思うんだけどなあ。せめてDVD…インタビューでもドラムの話をかなり突っ込んで話してました。すごいマニアック(笑)。でもアメリカ音楽ってジャズもロックもルーツはニューオリンズにあると言っても過言ではないので、音楽好きな方は触れておくべきだと思うんですね。

しかしセカンドライン講座って、うわぁい♪と読みながらもファンク・パターンならまだしもバズロールとかどこに使うんよとか突っ込みたくなりました。でもスタントン・ムーアが普通に曲間で使うバズロールはね〜〜パワフルですごいのよ、煽られて。いやー練習しよっかなあ、ツービートから(笑)。ニューオリンズのドラマーらしく踏んだら叩き返し、叩いたら踏み返すべしというフレーズにぐっときた。バスドラなんだよねー。先日紹介したDVDMake It Funkeyでもニューオリンズ・ドラム小講座が特典で入っていて、ツービートから始めてたな!講師はハーマン・アーネストだと思うんだけど、なんか雰囲気が人なつこくて沖縄にもいそう(笑)ていうか知り合いに似てると思った。このしっかり地に足の着いた感じが好き。空中人間だけに、そういう力が人一倍ほしいと思っているのです。だからこの音楽が好きなのかもしれない。


2008年01月22日(火) 円満 / 角度

下地勇さんの新譜についての情報をちらほらと見かけるようになってきました。あっもう発売日なのか。今回は共演・プロデュースも含めて宮古の方が何人も入っているというのが画期的ではないだろうか。宮古島の方って本島とか石垣とはまた違ったキャラなので、今まで聴かれなかったような新しい音楽になってるといいなと期待しています。ふ〜ん、お店でもロス・ロボスのコロッサル・ヘッドがよくかかってたもんなあ〜ミッチェル・フルームっぽいのかなあ。もはや新しい音ではなくなってしまったけど、そういう砂漠っぽい音は好きです。また下地さんの声も好み。男っぽくて、砂漠サウンド?によく合っているのではないかと想像します。

というようなことを思いながら、久しぶりに地元のアーティストのCDを買いました。グンデルサンシントリオ円満。円満なんて今のやさぐれた自分からはほど遠い言葉だよなあ〜(呆)今聴いておもしろいのかなあと思いつつも、買ってみました。2007年6月15日の那覇私立銘刈(めかる)小学校の体育館での昼ライブと那覇市安里のライブバー1Mileでの夜ライブを収録したもの。1mileは最近閉店してしまったので、貴重な録音になりました。こちらの方は、三線の方がいたり、沖縄民謡をやっていたりするものの、演奏者は全員(と思う)県外の方というのがおもしろいですね。

曲は沖縄・ジャワの民謡や民謡っぽいオリジナル。子供たちのざわめきから始業のベルのメロディが聴こえ(たぶんガムラン)、それからガムランとは微妙にピッチの違う三線が入って、沖縄人なら誰でも知ってるかぎやで風(結婚式などおめでたい行事で必ずやる曲)が始まります。中の写真を見ると、体育館には椅子も無く、演者をぐるっと囲んで、みんな思い思いの場所から眺めている感じ。そんなにまじめに聴いてないみたいでずっとうるさいんだけど(笑)、そういう雰囲気になぜか和んでしまった。子供の声っていいねえ。2曲目はおおっとどよめきも聴かれるのですが、踊りの方が入った所なのだろうか。こればかりはCDではわからないのが悔しい。

沖縄の民謡かと思ったらだんだん速くなり(この辺は中近東の音楽風で、沖縄の音楽には無い展開)、なぜかサンバになったり(ブラジルの音楽には聴こえないけど・笑)とか、三線が和三味線とかギターの響きを呼び寄せたり、さまざまな要素をはらみながら、沖縄のライブの空気感がよく出たアルバムだと思いました。宵っ張りに子供泣いてるし(笑)最後のメンバー紹介からアンコールの手拍子に乗ってカチャーシーナンバーが始まる所とか沖縄ぽいな。沖縄人の自分がそう思うのも変な感じだけど。その終わりの終わりまで収録している所がいいと思いました。

打楽器はダブラッカの立岩潤三さんとカホンの坂田学さん。カホンとダラブッカが絡んでテクノっぽくなるセッションのトラックがかっこよかったです。リボンコントローラーっていうのはギターとかシンセっぽい音がしたやつなのだろうか。これは見てみたかったな。サックスやエレキベースといった西洋の楽器(笑)も違和感なく溶け込んでいるし、やっぱりガムランがアンビエントでかっこいいし、なんかもうエレキだか生だか民族楽器だか構わない感じになっているのがすごいですね。

こういうのは確かに地元出身の人間にはできない演奏かなあ。別の所にも書いたんだけど、沖縄の音楽もいやらしく底上げされたみやげものというよりも、ジャズとかニューオリンズの音楽みたいに、いろんなよその場所の人たちをつなぐ媒介物になってしまえばいいのにって思ってるんだけど、そうなれるかなあとちょっと嬉しくなりました。そして地元人はまた違った角度でコアに迫ればいいんだよ。下地勇さんとかサッチーさんとかみたいにさ!自分が沖縄の伝統文化からはぐれた人間だからっていうのもあるけど、それにこだわらなくても表現できることはあると思うんだよね。そういう角度についてこれからまた考えていきたいと思います。


2008年01月18日(金) ロボットでも大丈夫 / こわれてみよう僕らは希望の屑だから

久しぶりに劇場で映画を見ました。桜坂劇場にてサイボーグでも大丈夫。ちょっと前に青山真治のサッド・ヴァケイションもやっててこれも見たかったけど見送ってしまった。これもそのうちDVD出るだろうな〜ってわかってたんだけど、大画面で見たかった。コメディみたいだし軽い気分で見れそうでいいかなと。

で始まるまでちょっとうろうろしてたら、2階のゲットハッピーレコードから降りて来たK場様にお会いし、ご挨拶。袋の中身を聞いてみたらマルフクレコードの新作民謡のシングルが入ってました。渋い…マイブームがスピッツとか恥ずかしくて言えませんでした(笑)。スターズ見てえ、朝生愛呼べないものかとかそういう話をして別れる。

映画は、本当に漫画ちっくで見てて疲れました。小ネタ系って実はそんなに得意ではないんですよ。TVドラマもクドカンとか人気だけど私は堤幸彦のトリックで早々と挫折した(笑)。2も見てないしね〜あんまり漫画読まないしTVも見れなかったのでネタ振られてもわからないんだよね…この作品もいろいろ最終兵器彼女とかサイボーグ007とか入ってるみたいなんだけど何一つわからなくて普通に見てた。映像がきれいで妄想の中のラブストーリーなので恋愛睡眠のすすめか?などと的外れなことを考えたり。あ、これ見てないなあ。見ないと。

仕事で工場でラジオを組み立てている主人公の女の子が、自分だけに語りかける電波(この女の人の声がすばらしく癒される…)をキャッチしてしまうという象徴的なエピソードから始まり、けっこう本格的というか見てるこちらが怖くなるほどのハイテンションで、例えば17才のカルテみたいな、思春期の女の子特有の感傷的な季節とかいうんではなくて、完全にアウトサイドの世界のお話なんですね。

描き方はかなり漫画ちっくなので笑って見れるんだけど、主人公の2人もかわいいし。でも症状はかなり重篤な感じで見ていて心配になってしまう。女の子の愛する祖母の死によって、病院関係者を皆殺しにしておばあちゃんを取り戻そうという強迫観念からは解放されるのですが、それでも自分がサイボーグであるという感覚はなくならない。原因はいろいろ考えられるんだろうけど、とにかく彼女はサイボーグなのだった。これからもずっとそうなんでしょう。病気を治す、社会適応に向かうとかそういう方針ははなから無い作品です。

食事を取らずに電池で充電(笑・この様子がまぬけなんだけどかわいらしい)しなければならないと思っている女の子にどうやってご飯を食べさせるか。認知の歪みをただす代わりに、その妄想にとことんつき合う形でうまくご飯を食べさせる場面がハイライトでした。自分としてはあれで終わっても構わないくらいの感じ。実際はもっといろいろあるんだけど。ちゅーしたりとか(笑)ちゅーは長かったなあ。映像はきれいでよかったけど、まあ無くても構わないんだよね。

ご飯を食べさせるために、ご飯を機械のエネルギーに変える部品を開発(!)して女の子の体に組み込んであげるというのがよかったなあ。僕は優秀な技師で、君が壊れたらちゃんと直してあげる、保証期間は一生だよと手作りの名刺をあげるの。で背中を開けて部品を組み入れる真似をする場面がよかった。その部品が男の子が大事に持ってる宝石箱みたいな小さなケースに母親の写真がはめ込まれているものなんだけど(上の写真で男の子が手に持っているもの)、それが女の子の内側に組み込まれるっていうのがおもしろかったです。

もちろん実際に中に入っているわけではないんだけど、その後で食堂でご飯を食べる練習をする時に、やっと一口ご飯を飲み込んだ時にちゃんと部品が動く様がCGで描かれてて(笑)、女の子のお腹の中で透明な歯車とかお母さんの写真が入った部品がちゃんとピカピカ光って動いてて感動した。そういうことあるよねえと思って泣けましたよ。私はサイボーグではないんだけど。あの場面は好きだなあ。食堂にいる人たちが一緒に匙でご飯を口に運んで食べるのも笑えてよかった。君はそれで大丈夫(ケンチャナヨ)っていう受容の物語。サイボーグはねえだろうと笑うことはできるんだけど、多かれ少なかれ誰かとつき合うってそういうことだよなと思う。まあテーマもそうなんだろうけど。

男の子を演じたのは韓国では有名なアイドルの方ということでしたが、好みではなかったのであんまり一生懸命見なかった。かっこいいのかなあ…うーんキンキキッズの堂本光一のスシ王子みたいなものか?もしくは僕の生きる道の草ナギ君?とかやっぱり的外れなことを考えたりしてました。でも女の子にスイス萌えソングみたいなのを歌ってる所はかっこよかった。ヨーデルがすごいうまい(笑)。でもその他は…髪型も変だしなあ。ファンはがっかりしなかったのだろうか。

ということで、実際は脇役の描写とか院内大虐殺(妄想)の鳥瞰シーン(庭園の緑がきれいで思わずかえる目のジャケを思い出してしまいました)とか他にも見どころはあるんだけど、そんなに印象には残っていない。やっぱりこの監督のパク・チャヌクはポン・ジュノのようにど真ん中にはこないのだなと思いました。

オールド・ボーイとか復讐3部作は大好きなんだけど、これは復讐というテーマと出ている俳優が好きなだけなのかも…チェ・ミンシク好きなんだよなあ〜前にも書いたけど。別の監督で泣拳(クライング・フィスト)っていうのがもうベタベタな作品だったけど大好き(笑)ああいう殴られっぷり負けっぷりの良さってなかなか無いよなあ。ぞくぞくするよねー(S)韓国ならではのキャラなのかなあなどと思いながら見てる。

それに比べるとかなり軽いタッチで描かれた作品ですね。でも妄想であれ、医者とか看護士とかガンガン撃ち殺していく場面はどうなんだろう…最初の電波の声の通りに手首にコードを差し込む場面とか痛そうだし、監督は娘に見せるようにつくったって言うけどそれはちょっとやめた方がいいのではないか(汗)と思ったよ。レイティングは付いてないみたいだけどね。痛いの苦手な方はご注意。


2008年01月15日(火) 光の子 / Luccia

先日「pink LUCCIA 歌詞」のキーワードで引っかかっておりました。今日はその方のための頁。実は年明けあまりにも暖かかったので、冬なのにトロピカルな気分で(笑)PINKのCDを掘り出してかけまくっておりました。(ベスト盤の試聴ページ。5・6・7・9が収録曲です)

やっぱり2枚目の光の子が一番好きかなあ。一枚目よりエスニックな要素が多いけどソリッドですっきりしてるので好き。速いテンポの曲が多くて疾走感があるのがいいと思う。射手座金星のツボ(笑)といいますか。また蠍座火星のツボももれなく押さえてある。完璧です。

次のアルバムのサイコデリシャスはもっとグラマラスで(はあと)完成度は高いけど、自分はこっちの方が好きですね。ジャケが好きなのかなあ。最初地元のレンタル屋さんでLPを借りて聴いたんですよね。(その後上京して西荻のレンタル落ちのCDを入手したわけですが)なんかこう人形だかお地蔵さんだか、生きてるのか生きてないのかわからない人の横顔がアップで映っているジャケと黄色い文字がすごい印象的だった。こういうデザイン、今ではよく見るけど、86年(実際に聴いたのはもっと後だけど)でこれはなかなかなかったと思います。

一枚目はかなりサイバー(古語)な印象が強くて都会的な感じでしたが、2枚目からずいぶんエスニックなサウンドが入ってて本当に魅惑的でした。よく聴くとシンセとか普通の楽器でエスニックな音を出しているとかなんだけどね。ホッピー神山さんすごい…あとやっぱりボーカルの福岡ユタカさんですね。しかもインドとかバリとか東南アジアっぽいのがいい。このちょっと前に出た坂本龍一の音楽図鑑もアジアというか東洋的な雰囲気で大好きだったのですが、こっちの方がオーセンティックというかファンキーというかブルータルで(笑)はまってしまいました。

当時は今みたいにサンプラーが出回っているわけでもなし、民族音楽の音源も限られていたと思うんだけど、私もエスニックな音楽に興味を持ちつつもなかなか聴く機会が無い(まあ沖縄の音楽は聴けたかもしれないけどさ)所にいきなりこういうハイレベルな作品に出会ってどうしようって感じでした。音楽は好きだけど、構造や理論的なことについてはそんなに詳しいわけではないので、これが何なのか、どう考えればいいのかわからない。

ただ聴いて陶然と(笑)しているだけというか。あー、当時は友人に手紙書きまくってましたよ。ここに書いているのと内容は殆ど変わらないんだけど、うわ〜すげ〜〜よこれ、どうする?って書いて。でテープと一緒にあげたりしてた(笑)。20数年前か、数えてみると。成長してねえな…今もCDRにでも焼いてそこらにばらまきたい気持ちだし。

またこのアルバムはまだほとんどの曲を福岡ユタカさんが作っていて、ボーカルも福岡さんと吉田美奈子さんがコーラスに入ってるんだけど、それがほとんどツインボーカル・陰と陽みたいにぴったりはまっている様にしびれました。吉田美奈子さんは歌詞も提供していて、その曲がすばらしいです。特に人気のある日食譚Lucciaも吉田さんの詞です。一人称が僕なんだけど、吉田さんはご自分でも僕って使うでしょう。だからそれが男か女かどっちでもあり得る感じがどきどきするんですよね…

他の作品と比べると妖艶で退廃的な雰囲気があって、こういうどろどろしたリビドーというか(笑)衝動を音楽として表現することもできるのねというのがおもしろかったです。日食譚のサビがすてきで、腐ってく魔術師でも焦がれてる乙女がいる / 腐ってく詩人たちの機嫌をとる踊り子がいるという叙事詩的なフレーズが未だに突き刺さるように響いてくる。メロディまでここに移すことは出来ないんだけど、音の流れもこの詞の嗤うような泣くような呪うような(笑)感情の高まりを絶妙にとらえていて、それも割りとありがちなフレーズではあるんだけど、そこにわざわざ落とし込むのがかえって気持ちいいというか。またベースがすごくいやらしい感じなのもポイントかもしれません。

Lucciaは自分の日記11/17の所で、別の曲を聴いて思い出したことを書いてました。改めて聴くとやっぱりパクってないか?(笑)偶然かなあ〜まあでもこっちの方がアレンジにしろ歌詞にしろ細部まで細やかに整えられているなと思いました。(この曲に限らないのですが)ため息しか出ません。きっと婆さんになってもすてき〜とか言いながら聴いてるんだろうな…(怖)上でリンクしたREMIXヴァージョンではこだま和文のトランペットが入っているのですが、ここには入っていない、くらいの違いでしょうか。別に入ってなくてもいいです。

ギターのリフとかサビのヴァイオリンのオブリガードみたいなフレーズとか本当に美しい。ドラムレスで打楽器はジェンベなのかなあ。踊り子の歌だけに?フィンガーシンバルみたいなのが鳴っている所もある。最初に指輪とか小さな硬貨が落ちるような音が入るのが好き(はあと)。歌詞を読んでると、今となっては紺屋高尾のようなストーリーを添えてみたりもするのですが、この曲を最初に聴いた時は、歌詞にそのまま引き込まれて出られない(笑)。僕と一緒に夜の丘で風に吹かれて歌う気分で居たものです。

この曲の空気感と自分の居る自然の感触(匂いとか温度とか)が完全にシンクロしていて、一昔前にあったという毛遊びの記憶さえ呼び覚まされるような、されないような。都会で聴くとまた違った感覚があるのかもしれませんね。まあすごい田舎なんだけど、その時その場所でこれを聴けたというのは本当に幸運だと思っています。これを聴いていた当時って、あまりにも音楽にはまっていて生身の恋の記憶が無いですし…恐ろしや。まあそれは過去なのでいいとして以下歌詞を。んーやっぱり言葉だけでは伝わりづらいかもね。やっぱり聴いてほしい。聴く?


Lucccia もう一度 Luccia 会いたい / 密やかな湖 翡翠の瞳 / 駆けて行く僕 息を切らせて / 緑(あお)く萌える草原 なだらかなその丘へ / 踊るあなたの胸 触れたいと / 崩れ落ちる僕に 時間(とき)はない / 陽光(ひざし)には黒髪 Luccia 緩く 揺れながら絡んで…… / Luccia 愛してくれたら

Luccia もう一度 Luccia 会いたい / 過ぎ去った物語(こと)だと 言うには悲しい / 夢と砂 手のひら Luccia のせて 魅せながら遠のく / Luccia 僕から / 宇宙(そら)に微風(かぜ) 吹くまで Luccia 僕を / 月からの粉雪(ゆき)ほど Luccia 愛してくれたら…… 



2008年01月12日(土) 土曜日 / Let it shine

連休中も仕事なのでたくさん更新しました。久しぶりに書いたけど言葉出てこないなあ…悲しい。もの忘れもひどいし。先日もいいかっこしようとして韓国の俳優のこの人に似てるでしょうっていう話をメールに書いて、名前がぜんぜん違うということにいまさき気づきました。えーと…、このジャケの人なんだけど。訂正すべき?しかし日を置いて気付くっていうのが重症というか末期というか…うーん、恥ずかしいなあ。

今日の話題はこれではなくて、あんまり小唄つながりで(笑)新作出たてほやほやのブラック・スネーク・モーン。誕生日特典で半額で借りてきた。やっぱり今年1本目はこれしかないでしょう!と思って見ましたよ。去年はミス・リトル・サンシャインというホームドラマ、その前は500発の弾丸というマカロニウェスタン+ホームドラマでしたね。どれもよかったです。

ちょっと前に旧作のハッスル&フロウを見て期待感を高めて待っていたのですが、予告編でサミュエル・ジャクソンがトラクターに乗っている所だけでどんぶり飯がいける状態(馬鹿)。好きなのサミュエル・ジャクソン…それだけでいいんだけど、クリスティーナ・リッチも出るというので楽しみでした。ポスターの図案がかなりえぐいけど、作品の映像はそんなにどぎつくはないですね。テーマも家族愛とか信心とかそういう素朴な所につながっていくような感じ。損得考えずゆるやかにつながっている人間関係というのもここにあって、南部の環境についても考えさせられる。監督のコメンタリを聞きたいんだけど、レンタル用には入ってなかった。買うしかないのか。

RLバーンサイドに捧げられた作品。アルバムのジャケが元ネタなのではという指摘があってなるほど!と思いました。ブルースとは男と女の間のことだよというサンハウスのモノローグから映画は始まる。まじめに生活を送っていたのを飽きられて弟に妻を寝取られた男、幼少時の虐待の記憶から逃れるために男を求める女の子。彼女と一緒になって自動車工場をつくるという夢のために海兵隊に志願するも、すぐに不安神経症で銃が実戦で撃てず除隊されてしまう男の子。幼児期のトラウマに苦しむ女の子の様子がもろ悪魔憑きなのはどうかと思ったけど、その辺がおどろどろしくて南部の暑苦しい空気とブルースの音に溶け合っている感じがしておもしろかった。ブルースの風土。

サミュエル・ジャクソンがもともとギター弾きで、更生して?まじめに農業を営むものの、妻にこんなんじゃ錆び付いちゃうわみたいに言われて出て行かれる。そういうことがあった後すぐに女の子を拾って悪魔憑きなのを目の当たりにして(笑)除霊いや病気を治すという言い方で家にしばらく引き取って面倒を見る。でも男もモヤモヤがだんだんたまっていく感じで、最後に毒を食らわば皿までとギター弾きに出かける所がおもしろかった。サミュエル・ジャクソンはもうちょっとうまいかなと思ってて期待はずれではあったけどかなりかっこいいです。

クラブの場面もいいんだけど、家で弾いてる所もとてもよかったです。マイギターがBBキングのルシールじゃないけど、おそらく元妻のローズにちなんだローズピンクなのが泣かせる。嘆き節に添えるギターの音がぶっとすぎでしびれました。なまずとか黒蛇とか名曲の弾き語りもあり。後は歌を口ずさむ場面がよくて、やっぱり賛美歌とか黒人霊歌みたいな歌なんだけど、暴れる女の子をなだめて眠らせるために優しい声で歌う歌が子守唄ではなく嘆きに満ちた歌詞であったり、こういう時にふと口をついて出てくるものなのかなと思った。南部人の習慣みたいな。

またブルースの一夜を過ごした朝に、何かできるような気になって(笑)女の子がギターを持ち出して歌を歌っている場面があって、それもフォークソングというよりもっと素朴な賛美歌みたいな歌(白人霊歌というのもあるようなのでそれかもしれない。また黒人霊歌なのかもしれない。)でよかった。輝いている小さな光がある、この輝きを謙そんして隠す必要があろうか、蓋をして消してしまう必要があろうか。輝かせよう、輝かせなさいといった単純なフレーズの繰り返しなんだけど、クリスティーナ・リッチの子供みたいなか細い声で歌われるとたまらなくよかった。


2008年01月08日(火) ミリキタニの猫 / 描く

毎日暖かいですね。もう寒くならないのだろうか。仕事行きやすいからいいんだけど。

ミリキタニの猫は去年見た映画なのですが、感想を書きそびれていました。桜坂劇場にて鑑賞。実はそんなに関心をそそられなかったのですが、本屋でこの映画の本を売っていて、ミリキタニさんの絵がとてもきれいだったので、大画面で見たいなと思いました。

ストーリーはヒビコレエイガ様のページがわかりやすのでご参照下さい。毎日通りかかる路上で暮らし、毎日絵を描いて売っているおじいさん。風景の一部だったのが、911のテロをきっかけにして監督のフラットに招き入れられ、撮られる対象となる。おじいさんの話を聞き、履歴を調べ、社会保障を取り戻す。芸術家としての強い意志を持って市民権を突き返しながらも、日系人強制収容所を出た後にニューヨークでまじめに働いた履歴があるために社会保障を得ることができ、最終的に彼の自立が可能になります。

自分はこの辺がおもしろかった。彼はずっと保障を拒否してるんだけど、周りの人がちりちり調査して掛け合って取ってくる。それはもらってしかるべきのものなんだけど、やはりラッキーとしか言いようのないことだと思った。若い頃の絵を見て、ずっと前から生活の保障があって画材もちゃんと持てて何不自由なく創作ができていたら…と考えないこともないけど、それがなくても、こういう映画にならなくても、彼は死ぬまで絵を描いてるんだろう。それでもやっぱり雨風をしのいだ方がいいし、ご飯は食べれた方がいいよね。

狭いけど暖かい部屋で暮らすことになって、猫が人になれるように雰囲気が変わってくる。絵もそれまでは戦争の記憶と米国に対する怒りを直接ぶつけるような感じだったんだけど、だんだんそうではなくなってきた。花や猫の静物画のような感じになったり。

ミリキタニさんの態度も、この辺は夜は危ないのだから夜遊びしないで早く帰って来なさいと父親か兄のような顔を見せたり(監督は女性なので…またこの言い争う所で、監督のリンダさんが猫に向かってお前は一人でちゃんと居れるのだから大丈夫よね、構わなくてもいいわよねとこじつけるように言う所がおかしかった)、絵を描きながら歌うのは全部日本の歌。後で収容所で生き別れになったお姉さんと電話で話す所が出てくるんだけど、そこも全部日本語で、それも広島のお年寄りの話し方を聞いているとぐっときてしまうのだった。

やはりこの辺はそういった人柄とか人間関係に焦点をあてて、よくもわるくも女性的な視点で撮ったというのがよかったのでしょう。時代状況的にもこういう癒される作風は受けると思うし。男性が監督だったら違うのかなあ…生活保障をどうこう、という所までは撮らなかったかもしれないななどと思う。確かに最後の流れは微妙に違和感を感じる所ではあるのですが、日系収容所ツアーなるものが地元の主催で行われているのはすごいと思いました。

後は、アートとそれを目撃し、記録する立場について考えさせられた。そもそもミリキタニさんがずっと強い意志を持って絵を描き続け、作品も魅力的だったことがきっかけでしょう。ホームレスは同じ場所にたくさんいたはずで、それから「選ばれた」理由がアートであるならば。(…)また当たり前のことだけど、見る(買う)者がいるというのは創作者にとって本当に大事なことなんですよね。

ここからは映画とは離れてくるんだけど、ほめる/けなすという評価の前にきちんと記録されることの重要さについて思う。特に時間の経過で消えてしまう音楽といったものにとっては文字にして演奏者にフィードバックされるというのは重要なことです。すごい大変なことなんだよね…といろいろ考えている感じ。年の初めに改めて思い出してみました。


2008年01月02日(水) 喉耳

お正月でした。すごい寒くなりました。と言っても10℃台なんだけど、強風が吹き荒れて体感温度はかなり低くなってると思います。ダウンジャケット着れるなあ…家にはちっこい電気ストーブ、自分の部屋にこれもちっこいファンヒーターしかなく、基本的に室内でもマフラー(タオル)巻いたりしてる。

いつも毛布を2枚重ねてかぶってるんだけど、とうとう昨夜は布団をおろして湯たんぽも入れてみた。いや〜やっぱり違うわ。暖かくするとちゃんと体が休まるなと思った。お風呂に浸かれるともっと違うんだけどなあ。湯たんぽに入れたお湯はちゃんと起きて顔洗う時に使ってですね(笑)。冬らしいな〜と思いました。

今年の抱負は自炊率を上げて、もっと食べる楽しみを増やすことかなあ。自分の体とももっとよく付き合えるようになりたいと思う。音楽の楽しみ方もまた変わってゆくだろうと思います。などと思いながらネット巡回中にみつけた耳の話(やぶいぬ日記12/29)と声の話(座間裕子さんのブログview from elsewhere1/1)を興味深く読む。とてもおもしろかったです。私の母親も合唱をやっている。楽譜を読めないので純粋に耳を使って、団体競技をやるように歌ってるんだと思うけど、かなり長く続けててとても楽しそう。私も合唱は好きだ。

私も耳はよくないですね。家系としてそういう体質で、自分は特に聞き取りづらい固体だと思う。特に言葉がききとりづらいので思考と結びついていかないんですよね。(同じ情報でも目から入れた方が理解できていると思う)運動神経もよくないですし、実は楽器演奏には向いていない。

また聴くだけにしても、静かな場所にじっとしているのが実はかなり苦手(笑)です。だから弱音系のライブに参加するのはかなり勇気が要るし(ていうか行かない)、実は苦痛でもあるんですよね。その場に居てもいろんな身体現象によって鑑賞を中断せざるを得ない。音楽以外でも、映画とか劇場に行く場合にはそういった可能性を考えながら準備していく。ちょっと気合だけだと難しいですね。これももっとよくしたい所だなあ。

閉所恐怖、あるいは沈黙の広がりが怖い空間恐怖の一種であると思ってるんですが、だから誰でもいいたくさんの観客に混ざりこめる爆音のロックライブみたいのの方が好き。だめなのは音楽よりも音が小さい、講演会とか何かの講習・会議ですかね。想像するだけで胃が痛くなる。社会人として講習・会議の類を避けて生きるというのはかなり厳しいことでして、これを何とかクリアできないものかというのが目標ではあるね…もっと考えないとなと思います。あ、話がずれてチラシの裏になってしまった。にゃー。まあ目標にしなくても、好きなこと、音楽について今年も書いていきたいと思っていますよ。


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