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フリフリおれ的わたし的ベスト2007はこちらより


2005年12月31日(土) 意味を覆え 俺(きみ)を問え / ロック短評

もう年が明けてしまいました。あけましておめでとうございます。ついぼーっとしてしまう。今年もよろしくお願いします。今日はロックのレコ評を点々と。今年は中頃に数カ月にわたってカーステが壊れてCDが聴けなかったのがつらかったなー。去年みたいに大ブームが無かったのもそのせいかしら。ちょこちょこいろんなのを聴いているという感じ。Borisとかゆらゆら帝国とかシガロスとか新譜がいっぱい出たのは嬉しかったです。


BorisPINKはやっぱり今年一番のヘビロテになった。車に乗るととりあえず一回はかけてる。マブタノウラもよかったけどやっぱりこっちかなあ。思えば2005年はBorisで明け、Borisで暮れていくようだ。ワンマンが見れなかったのは本当に残念でしたが、CDはほとんど揃えてしまいました。あとはアナログ?メルツバウの共演盤はとても聴きたい。

わかったような台詞で感動したがる世界を轟音で塗りつぶし、あえて妄想の方を支援するかのようなこの一枚。前にも書いたけど、オルタナ、ポストロックのスタイルを用いながらBorisのサウンドでやり倒すことによって批評性すら感じられる。パンク的な感覚もあるかもしれない。今回はメンバー自身で録音をしたということで、より彼らのやりたいことが伝わってくる。演奏してる中に居て聴いてる感じがして気持ちいいです。結局いろいろ若い人のポストロックのを聴いてもこの音に塗りつぶされてしまったな。たとえばWEG+MONO聴いてて、うーん甘い…と思いつつBorisのFloodとかat last -feedbacker-を聞き直してしまう感じ。年寄りはやですね。

アルバムの話を。構成はいつものアップテンポたたみかけ→クールダウン→また暴れてって感じで、短い曲を重ねて際限なく盛り上げていく所が毎回楽しみなのですが、今回もすばらしいです。それが高じて真ん中のバラードとかインストをとばしてかけたりする(笑)。最初これエモってやつ?やっぱりみんなやってるのかな…の決別から馬鹿っぽいやりすぎなリフでちゃぶ台返しのPINK→さらにもっとかっこいいオープニングのスクリーンの女→音がつぶれまくりの別になんでもないと行ってドゥームの沈んだブラックアウトを挟んで後半はインスト最高傑作のElectricに2分足らずでノックアウトされ→もっとかっこいい(笑)偽ブレッド→無意味にエロい酩酊ナンバーぬるい炎に携帯の着信音を呪ってみた6を3つ、SEのような曲をつなげてラストの俺を捨てた所と、全11曲47分とコンパクトな所がまたいいです。

いちばん好きなのは偽ブレッド。バターとかリーズンとかブレッドとか朝食アイテムを使っての言葉遊びしながら、ドロドロの地獄の釜のような熱さをもってひきずるようにうねるファンク、というかヘドバンナンバーですね。こういう、頭にカンカンスネアが入るような曲が大好きです(笑)。もちろんバスドラは16分のウラに。朝が苦手な自分にはこういう地獄絵図みたいな歌になってる所に強く共感。

Borisの演奏は特にギターのwataさんのノリが独特でもたったような感じなんだけど、それが最大限に生かされた曲です。サビの所でバラバラと壊れる寸前までもたって、うおりゃという感じで上がって頭でガツンと合わせる間合いが絶妙。変なコーラスが入ってくるのがまた狂ってて笑ってしまう。後日ピンクフロイドの原子心母を聴いた時に、Alan's Psychedelic Breakfastというテープコラージュみたいな曲があって、ひょっとしてこれのオマージュか?と思ったりした。とても静かな曲なんだけど微妙に狂ってる感じ。DVDのHeavy Metal Meの映像作品にも通じる感覚。

Borisは長尺のインストものや音づくりはすごい凝ってるんだけど、特に大文字BORIS名義で出す曲の曲そのものは、シンプルでキャッチーでかっこいいハードロックです。最後の俺を捨てたところなんてアニメの主題歌になってもおかしくない感じだしな。リフもどれもお約束!くらいにありふれたフレーズで、それがかっこいいんですよね。なんでだろう…またドラムのフレーズとか楽器使いがおもしろいのも収穫だった。ドラムはこれがいちばんかっこいいですね。

歌詞がその熱いロックサウンドとは対照的にシュールで意味不明なのが好き。今回はもうちょっとラフでなぐり書き的で軽い感じになってるのがよかった。言葉遊びは、音と表記で意味を分けて混乱させてみる、みたいな感じ。あとは英語の語感で言葉選びをしてたりとか。今日の題も俺を〜の歌詞のフレーズで、「きみ」と歌ってる所が全て「俺」と書かれていて、歌詞カード見て初めてそれに気付くという仕掛けになっている。こういう所でも妄想をかきたててくれて(笑)おもしろいです、


Shaolong to the Skyの1st月の陰から。これもピンク色のアルバム。知り合いの出したものということで、他のと一緒くたに語るのは難しい所ですね…ライブもずっと行ってないのでどうなんだろうと思って買ったのですが、やっぱりかっこよかったですね。ほぼ全曲聞き覚えのある曲でした。最初からラブラブの待ち人、Re:songときて、3曲目ー5曲目とマイナーの曲が続いて泣かせにかかる流れの所がお気に入りです。白いノイズがいいんだよなー。悲しい曲だけど。

あとけっこうヘヴィなロックサウンドなんだけどたんたんとしてて、歌詞が日記みたいな(笑)雨曝しが彼らの日常風景を歌った曲で、ぜひ聴いてほしいと思った。この曲は大好きです。そういえばRe:songは沖縄の海のことを歌っていて、私はずっとリーフ・ソングだと思っていて、歌詞だけじゃなくて潮風を感じるメロディだと思うんだけどどうだろう。またつむじ風とかテーマ曲のShaolong to the Skyの台風パワー(笑)みたいなサウンドが沖縄的かもしれない。スタジオ録音で聴いてもかっこいいなー。



春頃かな?DVDマガジンでライブ映像が入ってて、その一曲にどうしようもなくひかれてしまったフラワーカンパニーズ。それはこの深夜高速という曲で、これが今年のヘビロテ曲ベスト1になるのではないかと思います。何度聴いてもいい曲。インストのギターから何から飽きない。シンプルな歌詞なのでもう覚えて歌ってしまえるんだけど。

でマキシシングルと東京タワーを買って、しばらくして飽きたと思ったので売ってしまった。深夜高速と口笛放浪記を編集CDRに入れて聴くくらいで忘れてたんですが、この前TSUTAYAで吐きたくなるほど愛されたいを借りて聴いてまたブーム再燃、これ名盤ですね。東京タワーもいいけどこっちの方がヘヴィでぜんぜんいいと思いました。タイトルがストレート過ぎて(笑)よけてたんだけど、聴いてよかった。レビューを見ると、事務所の契約問題とかいろいろ辛い時期でそれが出ているアルバム、ということなので善し悪しかなあ…辛いのは嫌だもんね。

まあ、歌詞は暗くてヘヴィで重いのが多いんだけど、とにかくハードでかっこいいロック!最初の白目充血絶叫楽団(このタイトルすげえ・笑)でガッチリとつかまれます(笑)。そして2曲目の人間爆発で夜の底に突き落とされて。さよならなんてこんにちはと愛してるを足して5で割ったようなもんだろう?思い出なんて招待客しかいないコンサートみたいなもんだろう?この闇の向こうに何があるかなんて全く興味ない、でもここにいたって何も起こらないことくらい十分にわかってる…腹が減って腹が減って腹が減ってグー!

このボーカルの声が大好きだなあ。甲高くて若々しいんだけど、それがまた痛くて楽しくて。この声だからストレートな言葉も押し付けがましくならないんじゃないかなと思った。それにしても同じ言葉を何度も、今初めて口に出すみたいに渾身の力で叫ぶって、とてつもないエネルギー。それにうたれてやっぱりまた泣いてしまって、今年の泣き納め(笑)をしておりました。

今年はブルーハーツを聴き直したり、遠藤賢司さんに出会ったりと、ロックの原型みたいなものについて考えさせられたりしたなと思う。そういやスマパンブームでもあった…スタイルとしてはそれぞれ違うんだけど、共通点は歌詞がシンプルなこと!語彙が中学生程度と言うか(笑)。うーん心が中学生?フラワーカンパニーズに文字どおり中年中学生という曲もあるけどね。んー、こういうのに共感しまくってる自分って、本当に中身は中学生だなと思う。それも男の…思春期なんだと言ってやれ。

でもそれで何か語るというのは実はとても難しいかもしれない。それで何曲もつくっていくというのは。フラワーカンパニーズは特にロックバンドの中でもストレートというか、純情度?が高いと思う。三十路越えてそのねじれの無さ、純粋さを保つというのはなかなか難しいことだと思う…いや、深夜高速の歌詞の、歳を取れば取るだけ透き通る場所っていうのがどうしてもあって、それは透き通っているからといって価値のあるものでもなく、つらいから手放せばいいのに捨てることができないものがあって、あーあと思いながら抱えてるしかない。それに傷つけられて、痛いことがあっても。その必死さの、滑稽なさま。

なんだかんだ言ってまだ生きてる、明日も生きようよ、というようなことをずっと歌っていて、生きていてよかった、とか今日も頑張れよというそのまま見ると陳腐なフレーズをロックの歌詞として、全力で歌うというスタイル。これ以上わかりやすくしようがない言葉をどうやって伝えるのか、ということを考えさせられる。この言葉をどういう歌い方で歌って、どんな音で支えるのかとか。特にこのアルバムはバンドサウンドもこれしかないんだっていう感じ、ブレの無さっていうのが伝わってきた。

他には疲れたからゆっくりやってみようか、っていう春の手前(これも歌詞がとてもすてきで、手紙を書いてみよう、あて名のことなんて考えないで、とかいう所が大好き。この日記ってそういう気持ちで書いてるかも。はは)、また生まれてくる生命に向けて歌った少年とか、最後の君に会いたい、もういちど一緒に暮らしたい、と短いフレーズをくり返しくり返しつぶやくように歌う遠い空などなど。(これは歌ってるのが本当の中学生でも泣いちゃうかもしれないなあ…)これからまた何度も何度も聴くんだろうなと思う。



2005年12月30日(金) I have The Room On Her / ジャズ短評

今年はジャズというよりもポストジャズというか、ジャズの要素が入った今の音楽という感じのものを聴いていて、ジャズそのものはほとんど聴いていませんでした。最近本格的に寒くなって(笑)季節の気分で聴きだしたという感じですね。最近聴いたもの数枚の感想メモで今年の〆にさせて頂きます。今日はジャズ。


いちばんよく聴いていたのがモニカ・ゼッテルンド+ビル・エヴァンストリオのアルバム。前にTV番組の『世界の車窓から』でワルツ・フォー・デビーがヴォーカル入りで流れていて、ああ歌が入ってるのもあるんだと思ったのがきっかけで、たまたまTSUTAYAにあるのを発見しました。

モニカ・ゼッテルンドはスウェーデンの女優兼歌手。英語も違和感無いですが、地元の民謡や言葉で歌ったものがいいですね。ワルツ・フォー・デビーもそうで、モニカのワルツという題になっている。歌詞の訳が載っていないので内容がわからないのが残念ですが、いいなあ自分の名前がついて、とか思いました。あと降っても晴れてもとかIt Could Happened to Youが好きなので聴けてよかった。

またボーナストラックにサンタが街にやってくるが入ってるんだけど、聴いてたら男の人の歌声…どう考えてもピアノを弾きながら歌ってます。おおーこれはビル・エヴァンスが弾き語ってるんだ!とわかってびっくりでした。ファンの間ではおなじみなのかもしれませんが、ものすごいサプライズ。なんかスタジオのリハでテイク2まで録ってる(笑)。なぜかギターとベースが軽く入ってて、歌詞も大人向けな感じで楽しそうです。でもライナー見ると録音したのは真夏なんだよね!なんで?なんか笑ってしまいました。

聴いていてスタイルとしては普通のジャズの歌伴だと思うんだけど、やっぱりトリオとしての結束力みたいなものが伝わる。上でも書いたけど民謡のアレンジがすてきだと思いました。北欧の民謡ってこんな感じなのだろうか。3曲とも素朴で哀愁ただようメロディで、短いけど美しく印象的な演奏になっています。ああ。やっぱりワルツ・フォー・デビーのはいいです。歌はかなり大人しい感じだけど。この曲いいですね。大好きだ。デビーちゃんがうらやましい。


これが今年最後に買ったアルバムかな?ポール・モチアン(ds)トリオのI Have the Room Above Her。モチアンさんが好きではあるけどそんなに熱心に追いかけてるわけではなく…菊地雅章(p)トリオののテザードムーンとか電気ビバップバンドを持ってるかな?というくらいでしょうか。今回もクォン・ヴー(tp)の新譜のビル・フリゼール(g)があまりにもよかったために、これはどうだろうと聴きたくなって買い求めました。沖縄市の普久原楽器にて。先に那覇のタワレコに行って、これかデレク・ベイリーの何かあったらどちらかを買おうかと思ってたんだけど、どちらも無い。初めて気付く私も不覚!でしたが、なんかがっくりしました。ECM盤の豊富な普久原楽器にも見当たらず。(デヴィッド・シルヴィアンのはあったかも…)

で買ってそんなに聴いてないのでそんなに感想らしいことも書けないんですが。自分が言うのも何だけどなんかものすごい上級者向けって感じ…オリジナルは楽譜はどうなってるんだろうって思ったりしましたが、癒されるからどうでもいいかなあ。テザードムーンよりはくつろいだ感じで、モチアン御大が暴れる曲とかもあっておもしろかったです。私にはなんか本当に奏法的にもつかみどころが無いというか直感的で無造作な演奏に聴こえて、いいなあこんなに好き勝手にやって、と聴いてていつも思う。なんかずるい、って感じで。

哲学的なテーマとかそういうのとは無縁な、生き物が動いてるんだな、っていうそれだけの音が聴こえるような気がして、そこがすてきだと思っています。なんだろう、シンバルの音がクリアで癖が無くて(テザードムーンのライブではパイステのライドを使っているのを確認したけど、今もそれをお使いなのだろうか?)、スネアはヘッドをそんなに張らずに低めにチューニングしているのがそういう効果をもたらしているのだろうか。

バスドラも音が低くて口径が大きめなのかもしれない。あとタッチがかなり優しいというのも。生で聴いたことが無いので何とも言えないけど、そんなに強くたたいてないのではないかなと思う。ダイナミクスの幅もそんなに広いわけではなく、ばんばん場面転換していくというよりも、長回しでゆっくりひとつの対象に自然にズームアップしていくみたいな流れ方をしているように感じる。

ここでのフリゼールさんは聴き慣れているスタイルで、そんなにアグレッシブではなかった。音もノイジーになることは無い。でもやはり曲によってアブストラクトな、フリーっぽい演奏になったりする。輪郭がにじんだような、アタックをずらして合わせたりとか、逆回しっぽい音でサックスと絡むとかがおもしろかったです。またタイトルはスタンダードなんですが、私が思い出したのは、地元のジャズボーカルの与世山澄子さんの、インターリュードというお店の上が貸間になっているということでした。張り紙がしてあって、ああ、ここに住んだらどんな感じだろう!と考えたりした。あそこはもう誰か住んでるのかなあ…最近、よく知っている方がそこに住んでいたことがあるというのを聞いてちょっとうらやましかったです。わー、どういう感じなんだろう、ジャズバーの上に住むっていうのは。


supersilent。これもまだ一回しか見ていませんが、思わぬ伏兵というか、やばいです。これが今年のベスト1になってしまうのか!!という破壊力を持つ一枚。ロックのベスト1はBORISなのでジャズはこれなのかやっぱり。6曲入りで、とあるライブの模様を最初から最後・アンコールまで撮って収めてあるといった感じで、曲の順番もそのままみたいですね。メニューのページが無く、曲のスキップ/戻りはできるものの、この曲だけという聴き方ができない。これもBorisのDVDHeavy Metal Meと対照的で、Borisの方はAll Playが無くて、本棚から一冊ずつ手に取るように、一曲ずつしか見れないつくりになっています。コンセプトの違いでこうやってつくるんだなあというのがわかっておもしろかったです。

映像はフィルム16mm撮りで白黒。柔らかい質感ですが、照明がチカチカして、特にドラムが見えづらかったなあ。とりあえず、ツーバスでタムが5つ+α(フロア)というでかいセットというのは確認しました。シンバルが少なかった!クラッシュとハットとライド(シズル)くらいしかなかったんじゃないかなあ。その他にはtp、key、サンプラーという感じの編成です。妙に殺伐とした速いテンポのものやきれいなメロディのゆったりした曲や、構成がきちっとしてるなと感じるんだけど、全部即興だそうです。まじ。確かに演奏終わった感じはそうだなあ。すさまじい完成度。最高以下の出来が無いというライナーの解説が大げさに感じないです。本当に。

もっとテクノとかエレクトロニカっぽいのかなと思ったけど、なんかトライバルなアプローチでとっつきやすかった。生楽器が入ってるからかな。Herge Stenの電子楽器のノイズも変な味があって悪くなかった。というか私はこの方に最も興味があって、ソロアルバムが国内盤で出るのを待っている所なんだけど。なんというか、流行する音楽にリンクしながらも、この方たちの内部で醸成・完結してる自分民族音楽なのかなあと思った。自給自足みたいな。技術とかサウンド的にひとつひとつ取り出してみるとそんなに奇異なことをしているわけではないと思うんだけど、つながり方が変な気がする…んーうまく説明できないのでもっと聴いて考えます。

Runegrammofonのコンピの一曲で悩殺されたデスファンクというか、この殺伐としたグルーヴ(ていうか踊れないんだけど)のドラムがすごいおもしろくて好きです。ハットをあんまり使わない方で、タムをドコドコというか、フリーっぽい短いフレーズをえんえんサンプラー的に繰り返してズタズタなグルーヴをつくっていくのが見事。生で聴いてみたいなあ。死にそうだけど…それにしても、同じレーベルでSPUNKScorch Trioというこれまたアクの強いフリーキーなバンドのアルバムを買ったのに、ぜんぜんふつうに聴き流してしまいました。感想はこの時点でまだ何も書けず。おそるべしsupersilent。


2005年12月21日(水) 音 / ジャズセッション

遠藤賢司さんの長い長いインタビュー(Smashing Mag内のページ)を読む。最初の音楽が雨漏りとか、日常の音を大事にしている方なのだな。リズムとか叩く音を基本にしているのがおもしろいと思った。最初の音楽って何だろう。私は風の音かなあ。台風の音とか、軍用機の騒音が大好きな子どもでした。プロパンガスのボンベをたたいたり、声をかけてリバーブがかかるような音が聴こえるのがおもしろかった。あとは虫とか動物の声。海より山の音だな。

風が強く、とても寒い日。仕事も終わりで夜から遠出。grooveのジャズセッションに日付けが変わる頃から参加。若い方は帰ってしまって大人の日という感じでした。来るのが遅くて川崎先生と演奏できなかったのが残念。あとはしば先生の踊りで一緒にやっているケイ(tp)さんとかでかわ(g)さんとドラムの島袋すぐるさんとでセッション。

今回は季節柄バラード特集?My One and Only LoveとかMy RomanceとかIn a Sentimental Moodとか、すぐる先生の指導でブラシ中心でやりました。なんか虎の穴状態でおもしろかったです。フロントがケイさんひとりだったので大変そうだったけど…ブラシを入れる角度とか、動きとか無意識にやってることを見直せてよかったです。

たとえば自分はブラシを交差するように入れて、内から外へ流す感じで擦っているのですが、逆の動きをやったことはなかった。レギュラーグリップの左手のブラシがひっかからないようにと思ってるのかな?でも自分としては内と外回りの動きは別もので、フィル入れたら逆回りになったりするというのは不思議だった。音は同じなんだろうけどね。また3連を4つまとめでとらえるとか、ハットをきちんと踏むとか。8コくらいいろんなニュアンスで踏みわけるすぐる先生に脱帽。うまー!どうやってるんだろう。

明日から休みなのでだらだら居てしまった。忘年会の気分。すぐる先生はかなりできあがってて(前の日もセッションだったため、そこから飲みはじめてるとか…)朝まで居たなあ。見た感じよれよれで心配だったんだけど、ちゃんと自分で帰られたのは偉い!いいなあ酒に強い人。私は飲む機会が多かったため、今回は飲まず。しかし飲む人になんで飲めないの?自分と一緒じゃ飲めないわけ?とか毎回のようにからまれるのはツラいですね…体質なんですよ!好きで飲まないんじゃないんです。去年みたいにつぶれて救急に連れてってもらって翌朝家族に引き取られ、ていうのは避けたい。気分悪くてつらかったし。

飲み続けて強くなれればいいんだけど、まじで体がうけつけません。でも飲まないので酒の気分がわからないというのも難点ですね。酔った人に絡まれるのは本当に嫌だ。飲んで本音が語れるって絶対嘘だと思う。酒の場での本音っていう建前じゃないの?とかひねくれてしまう。ノリ悪くてあなたの求める私じゃなくてごめんなさいね、とか申し訳なくなってしまったり。わかってくれる友人とか、好きな人とだけ飲むようにしています。それにしても、酒だけではなく、最近はコーヒーも煙草もだめなのが悲しい。楽しみが限られてしまう。いや、広げればいいんだよね…

まあでもいろいろ話ができてよかったです。ゆうじさんが多摩出身というので立川の話とかできて楽しかった。うなぎ飼ってるってすごいなー。(飼いやすいらしいですよ…)またしば先生のホームページをつくろうと思っていて、いろいろがちゃぴんさんに話をきけたのはよかった。けっこう前から計画はしててさぼってたのでもう実行しないといけないですね。英語のページもつくろうと思っていますが…どうだろうか。

話してるうちに、しば先生の踊りをどう定義するかとかポイントが見えてきた。思えば先生ご自身はあんまり言葉で自分のやっていることを説明するような方ではないし、ライブも即興ということで、あんまり話し合ったり詰めたりといういうことが無いまま数年一緒にやっていることになるんだよねえ。私は私なりに考えてるつもりだけど、的外れでないという保証は無いよなあ。もうちょっと話したりした方がいいかもしれないと思った。


2005年12月10日(土) 不滅の男(映画 ) / エンケン対桜坂劇場

今日はトーク付き映画を見に桜坂劇場へ。外は雨だよ。遠藤賢司さん監督・主演の不滅の男という映画の公開初日にトークもあるということなので、前売りを買って見に行きました。実は私はエンケンさんは全く聴いたことがなかったです。モグリだよねー。なんて今だから言えるのですが。

偶然その前日にTSUTAYAにて2ndの満足できるかなを見つけ、行きの車中で聴くことができました。ものすごい金欠&元気が無くて、あー前売り払い戻してもらおうかなあ、そしたらあれが買えるのに、なんて正直言ってモチベーションも低かったのですが、これを聴いてまず驚きました。なんてピースフルな音楽なのだろう。なんでもない言葉が音に満たされている。1曲目の表題曲はグルーヴィなロックなんだけど、そこから先はぼくとあの子と猫とカレーライス、の世界。ミニマルな美に浸りました。うわ〜私もモフモフしたいー(笑)。4畳半のたたみでごろごろするー。ドアが開いたらお帰りって言うー。(馬鹿)

カレーライスがとても有名だけど、私はその後のおやすみ(首の長い猫、っていうフレーズがとても印象に残る。猫の首の長さなんて気にしたことないからなあ…)と待ちすぎた僕は疲れてしまったがとても好きだ。待ってたのがはたして君かどうか僕にはわからない、とか、ノックがあっても眠ったふりをしていようとか、かわいいよねえ。そんな曲ばっかり。セッションをそのまま録ったような寝図美よこれが太平洋だもいいですね。ちなみに寝図美は猫の名前だそうです…

そんな単純な、甘甘な言葉の歌詞なんだけど、音楽が印象的なのがおもしろかったです。個性的ってことなのかな?ギターの弾き方とか普通とちょっと違うような気がする。ギタリストではないのでくわしく説明はできないんだけど、グルーヴが立っているなという感じがする。この人のリズムだなって耳が行く感じ。早く帰ろうっていうブルースがギターだけだけどファンキーですごいかっこいいです。ハーモニカも歌い方が個性的だと思った。音楽が本当に好きな人、考え抜いてつくってる人なのではというのが伝わってきた。

そういうことを思いながら劇場へ。ぽつぽつ空いた席がありつつもまんべんなく埋まった状態でした。上映前に遠藤賢司〜エンケンさんが登場、白い派手な柄のスーツ、と思ったらこれは花嫁衣装の打ち掛けなのでは!なんかどきどきしてしまった。エンケンさんは口上を高らかに述べてから、地元の映画監督の真喜屋力さんとの対談になりました。

映画が制作されたアルタミラという会社の話から、制作のいきさつや自分の音楽の取り組み方の話などなど。自分のライブを映画にしたいという話が来た瞬間に自分以外の監督が思いつかなかった、というのと、チャウ・シンチーが好きで(笑)、これの撮影前にカンフー・ハッスルを見て気分が盛り上がったんだというのがおもしろかったです。おおっ!!遠藤さんも好きですか!!私も大好きです。とお見合いとか合コンの席で(そういう機会があったらの話ですが…)言うのは恥ずかしいけど、カンフー・ハッスルは今年のベスト1不動状態ですよー。劇場で見てないのに。ああそんなライブ。楽しみだ!

というわけで映画上映。エンケンさんも客席に居て一緒に鑑賞というのが嬉しかった。映画はエンケン対日本武道館というタイトル通り、観客のいない武道館で、その存在というか武道館でこれまで演奏してきたスター達の記憶というものも含めて対峙して歌い、弾ききる!!というものです。富士山をかたどって壊れたギターアンプが積まれ、すすきや柿の木も生えてる所にこたつやまねき猫のあるステージが舞台装置のようです。そういう武道館を練習場&アンプの捨て場所にしてる100歳のロックンローラー(!!)の一日という設定で、朝自転車で走ってくるエンケンさんから始まります。実際に24時間だけ借り切って撮影したとのこと。

本当に誰もいない武道館での熱いライブ。カットのタイミングであんまり気にならないけど、拍手とか歓声が聞こえないとか人気が感じられないのはやりづらかっただろうなーと思いました。カメラなどのスタッフの方が写ってるのがむしろほっとした。エンケンさんもトークでそのことを言っていて、見ながら良かったら拍手を下さいって言ってて、曲間で拍手をすることができて嬉しかった。しかしあのスピーカーの積みっぷり…実際は調整して映画の音声になってるんだろうけど、撮ってる時はどんな音だったんだろう。PAブースも見えたので本当にコンサートの音響でやってたと思うんだけど。ああもったいない。

好んでフォークを聴かない自分がなぜ今回この映画を、というのは、フライヤーを見てエンケンさんはオレンジのアンプを使っていることを知ったからです(笑)。アンプが見たかったというのはちょっと失礼ですが…実際はマーシャルとオレンジとフェンダーと3台並んでたけど、他のライブの写真見たらオレンジメインだったようです。知らなかった。音太くてよかったなあ。ギターはグレッチでした。すさまじいノイズ、フィードバックの場面もあって驚きました。曲中盛り上がる所でドラムもたたくんだけど、それもグレッチでしたね。おそろい?きれいな白いセットだったんだけどラウンドバッジだったのでオールドなのかなあ…すてき。

ドラムプレイも純ドラム的で、ハットとバズドラユニゾンでドドドド(私もよくやります)とパワフルに盛り上がるべき所で盛り上がる。いいなあ。大好きなドラマーの石塚俊明さんとご一緒にライブをやっているのがよくわかる感じがする。石塚さんは友川かずきさんとか遠藤ミチロウさんとか三上寛さんとか強烈な方々と一緒に演奏されるんだけど、グルーヴを出して歌がそれに乗っかるというのではなく、トシさんはトシさんのドラムで歌とぶつかり合うという感じですよね。デュオが特にいいんですが、それもけんかにならなくて音が合うと。すばらしい…今回もエンケンバンドで湯川さん・石塚さんが来ないかな?と期待してたんですがかなわず。いちど見てみたいと思いました。

ぜひぜひ映画を見て頂きたいので細かく内容を語るのはやめます。東京ワッショイとか不滅の男とか定番曲もよかったけど、夜汽車のブルースがとても気に入った。これ1stの1曲目みたいですね。最初からロックだったんだ。アルバム聴きたいなあ。あとやっぱり夢よ叫べでは涙が出てくるし、ド素人はすっこんでろ!にはぐっときました。人生のド素人とは。エンケンさんがトークで人間は純ドラマーなんだよって言っていた言葉を思い出しました。自分は自分のリズムしか叩き出していないものなんだって。なんかこういう言葉はしみた。元気無かったんで…まるで点滴打ってもらったような感じで、生存できる単位のシンプルな栄養を頂いた気がしました。年の暮れにこれを見れてよかったです。

また上で待ってる歌が好きって書いたけど、そういう内容の雨上がりのビル街がよかったなあ。そういう曲をつくるのがうまい方なんだろうな。あーあとギターを弾いている所のアップでピックが猫の顔(笑)とか、プレイ中に猫が憑いて?ニャー!!と猫ハンド&シャウトしてるのがよかったです(笑)これいつもやってるのかなあ。生で見てみたい。猫ー。




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