おうち鑑賞

2011年01月16日(日) 『96時間』


『96時間』Taken 2008年/仏 ピエール・モレル監督


娘を拉致された父親が犯罪組織に立ち向かい娘を取り戻す物語だ。

仕事(工作員?)にあけくれ、家族をかえりみなかったため離婚をし

富豪と再婚した妻のもとで暮らす娘を愛しているという男の背景が

取って貼り付けたような説明描写になっていると思う。

履歴がちゃんと存在してはいるのだろうが?

必然としての描写が成り立っていないと思う。


一番気になったのは、この物語の製作者の意図だ。

愛する娘を救出するという御旗の元に行われる男の暴力、殺戮の数々。

暴力描写がダメとかいう意味じゃない。

愛する娘を救出するためなら何でもありなのか?

愛するもののために闘うという大義名分の踏み絵を

差し出されているみたいで、違和感や反発を感じてしまうのだ。

「愛する娘のため」「家族」にフォーカスせずに

暴力描写を生かす?方向にもっとベクトルを向けた方が

かえって作品が生きるのではないか?

あくまでも「愛する娘の救出」は男のキャラクターを

描写するために存在するひとつのきっかけ、

その位のニュアンスだったら物語的に納得したかも。

(肉食民族を解さないアジア人的発想なのか?)









2011年01月15日(土) 『天使と悪魔』


『天使と悪魔』Angels & Demons 2009年 ロン・ハワード監督


物語の設定自体は魅力があると思うが、人物が描かれていない。

(原作は小説だそうだ。なるほど込み入った雰囲気がそれっぽいわ。)

登場人物が豪勢な物語という名の器のための将棋の駒にしかなっていない。

物語とは人間を描くためのツールになりえて初めて存在できるのだ、

などと、改めて考える。

ただ作品的にはイマイチだけど、ユアン・マクレガーなんかも出演しているし

ミーハー的に軽くチェックする感覚で時間を置いて再見してみるのもいいかも。









2011年01月14日(金) 『黄金の七人』 『続・黄金の七人 レインボー作戦』


『黄金の七人』Seven Golden Men 1965年/伊 マルコ・ヴィカリオ監督
         Sette uomini d'oro

『続・黄金の七人 レインボー作戦』Il Grande Colpo Dei Sette Uomini D'oro
                     Golden Seven:strike Again! 1967年/仏=伊=スペイン



NHK-BSで見る。タイトルに惹かれた。

ルパン三世のルーツ? 不二子ちゃんがいた。

銀行強盗をいかにやり遂げるか男達の奮闘をコジャレたタッチで描いた物語であった。

何かひねりがあるのかと思いきや、終始一貫銀行強盗が進行する話だった。

そこがかえって印象的と言えば印象的だけど、この作品を構成する中の

何か特化してもよい要素が、突き抜けて表現されていたとしたら

もっと刺さる作品になりえたような気もする。

だけど、この作品はこれが完成型なのかも。ルーツ、原石という意味で。





『続・黄金の七人 レインボー作戦』は、前作に比べると面白くなかった。

(この作品を見てから1ヶ月近く経過しているのでディティールの記憶が曖昧になっているが)

面白くないという以前にシーンの運びがよく分からなかった。

場所と人の移動が理解できない箇所があった。(という記憶が)

前作の蛇足的作品だったと思う。









2011年01月13日(木) 『アバター』 『あかね空』


『アバター』

再見する。




『あかね空』2007年 浜本正機監督


NHK-BSで見る。

個人的にファン、と言うほどの役者さんは出演していないけど

それなりに演技力のある役者さんたちだとは思う。

しかし、腹が立つほど全く魅力を感じない。感情や機微などが全く伝わってこない。

つまり脚本(構成)が良くないのだ。

物語が人物を描き、人物が物語を語っていないのだ。

逆に、なるほどねという感じ。









2011年01月12日(水) 『アバター』


『アバター』Avatar 2009年 ジェームズ・キャメロン監督


スゴイ。

最新技術の映像だ何だという触れ込みに、

見ずして鼻白む思いというか、冷めた目で傍観していたのが、

一瞬にして心奪われてしまった。

デジタル映像(と言うのか?)も、ここまで突き抜けてしまえば芸術だ。

物語は良くも悪くも単純だと思う。だけど、エンターテイメントを突き詰め

芸術の域まで昇華させた映像美は圧巻としか言いようがない。

ハリウッドの(観客動員を当て込んだような)大作映画には興味が持てないけど

ジェームズ・キャメロン監督は『ターミネーター』(1984年)を製作した監督、

という一点を支え?にして見れるような気がする。



『マトリックス』
『ハリー・ポッター』
『エイリアン』
『ターミネーター』
押井 守
『もののけ姫』
『天空の城ラピュタ』
ライオンキング
九寨溝・・・

等々のイメージがオーバーラップした。

何か見たことあるなあ、と感じてしまう感覚がそこに留まらず

昇華された映像美が、全く異なった高みへと誘ってくれるのだ。

そして、単純に「あーオモシロイ」凄さ。

あ、そうそう。

アカデミー賞の主要部門の受賞は『ハート・ロッカー』だったそうだが

『アバター』に受賞させないヒネクレタ状況も凄いと思った。



時間を置いて再見する。(と思う)

DVDorBD購入検討するリストに入れておく。









2011年01月11日(火) 『続・菩提樹』 『やじきた道中てれすこ』


『続・菩提樹』Die Trapp-Familie in Amerika 1958年 西独
       ヴォルフガング・リーベンアイナー監督


『菩提樹』(1956年)の続編。

覚書を書いているのは2月4日。この作品を見てから3週間ほど経っているので

詳細の記憶が曖昧になっているが、続編だけに柳の下の二匹目の

ドジョウを狙って作られた印象は残ってる。

『菩提樹』の流れで見るもよし、(是が非でもという意気では別に)見なくともよしという感じ。










『やじきた道中てれすこ』2007年 平山秀幸監督


NHK-BSで見る。

自分的にはかなり面白くない作品であった。

面白くないというか、どこに芯があるのかよくわかならい作品だった。

個別のシーンを抜き出してそこだけ見れば、それなりに見ごたえがあるのかもしれないが

物語全体を貫く一要素になってない感じがした。

花魁お喜乃を演じた小泉今日子の生かし方がヘタクソだと思う。

スターだから?登場場面を増やしたかったというのもあるのだろうか?

弥次郎兵衛を演じる中村勘三郎と喜多八を演じる江本明の関係の中に

やたらお喜乃が絡んでくるのだが(いや絡んできても結構なのだが)

弥次郎兵衛と喜多八とお喜乃が作る物語の芯がどこにあるのかよくわからないのだ。

『スティング』を思い出した。

詐欺師を演じるポール・ニューマンをかくまう娼婦館?を営む女の粋と格好のよさ。

この作品の「娼婦館?の女」のように、物語のアクセントとして存在させた方が

かえってお喜乃と弥次郎兵衛と喜多八との関係性や、キャラクターを強烈に

浮き彫りに出来たのではないかと思ったのだ。

「てれすこ」が物語の中でうまく消化されていない感も残る。

アレもコレもで、結局何だったのだ?









2011年01月10日(月) 『菩提樹』


『菩提樹』Die Trapp-Familie 1956年/独 ヴォルフガング・リーベンアイナー監督


『サウンド・オブ・ミュージック』のオリジナルバージョンだという予備知識を仕入れて見る。

『サウンド・オブ・ミュージック』は中学校の課外授業で

講堂に集められて見た以来紐解く?作品ではないか。

ルート・ロイヴェリクという女優さん、元気ハツラツでポジティブなマリアが

全然嫌味じゃなく、すごく好感が持てた。

トラップ大佐は(遠い記憶を引っ張り出してきてみるに)

『サウンド・オブ・ミュージック』のクリストファー・プラマー(という俳優さんだったのね)

の方が魅力的だったように思う。

『サウンド・オブ・ミュージック』の方が、より見栄えがするようリメイクされていて

オリジナルバージョンのこの作品は、比べると質実剛健という感じ。

『サウンド・オブ・ミュージック』の四方八方に歌い上げる記憶があったので、

大向うを狙っていない『菩提樹』のラストシーンに肩透かしをくったように感じてしまった。

だが、むしろ味わい深いのではなかろうか。

アフレコされたマリアと子供たちの合唱が、教会音楽のような響きで感動的だった。

とはいえ、音楽劇って刺さる感じではないのだよなあ。

自分にとって、この作品の魅力はマリアを演じた

ルート・ロイヴェリクという女優さんの存在。

『朝な夕な』のストーリーをチラ読みする。見たい。









2011年01月09日(日) 『クレイマー、クレイマー』


『クレイマー、クレイマー』Kramer vs. Kramer 1079年 ロバート・ベントン監督


再見する。



2011年01月07日(金) 『バリー・リンドン』


『バリー・リンドン』Barry Lyndon 1975年 スタンリー・キューブリック監督


物語的には、ありふれたと言っては言い過ぎかもしれないけど

ありがちな(ある男の一生を描いた)物語だ。

役者さんたちの演技も上手いには違いないけど、何かが刺さってくるという程でもない。

しかし、何と言ってもこの作品のすごさは美術だ。

どこをどう突っついても(?)作り物というニュアンスが全くない。

この作品を見てしまったら、変に格好をつけた他の古典劇が

余計に薄っぺらで嘘っぽく見えてしまうと思う。

人生は芸術。

人生は芸術によって描かれる。芸術は人生によって語られる。

・・・という自分の思いに合致する。

この作品を見てから約3週間経つので(この覚書を書いているは28日)

物語のディティールの記憶がちょっと曖昧。

『眺めのいい部屋』に続き、気持ちがノッてないのに見ちゃった感もある。

イマイチ入り込めずに見た(傍観した)感覚もあるので時間を置いて再見したい。

スタンリー・キューブリック監督の他の作品を先に見る。(かも)









2011年01月06日(木) 『眺めのいい部屋』


『眺めのいい部屋』A Room with a View 1986年 ジェームズ・アイヴォリー監督


この映画を見るための気持ちが向かいきれていなかったせいかなあ。

佳作で良い作品だ。だけど、どこか乗り切れずに見た感じだ。

ルーシーを演じたヘレナ・ボトム=カーターという女優さんの

一種強烈なヘアスタイルが全編通して気になり続ける。

作品において、そのヘアスタイルが突っ込み要因ではないことはわかる。

しかし、頭の上にチャウチャウ犬が丸ごと一匹乗っかっているように見えて仕方なかった。



ハリー・ポッターシリーズでマクゴナガル先生を演じている

マギー・スミスという女優さんが出演していた。

クセのある面白い人物を魅力的に演じていて味がある。

当初『モーリス』のモーリス役で出演するはずだったという

ジュリアン・サンズという男優さんの演技を見て、口惜しい気持ちは消滅した。

ジェームズ・ウォルビーの演技がどこか物足りない感じがしていたので

写真を見る限り、美貌のジュリアン・サンズがもし予定通りに

モーリスを演じていたら、どんなに素晴らしいモーリスになっていただろうと

想像を膨らませていたのだ。しかし、ジュリアン・サンズの演技は

この作品を見る限り可もなく不可もなくという印象だった。

モーリスはジェームズ・ウォルビーが演じて正解だったのだ。

自分本位でオタク?の貴族を演じていたのが『マイ・ビューティフル・ランドレット』で見た

ダニエル・デイ・ルイスだったとあとから知ってびっくり!

全くキャラクターが違う。

何気ないシーンが印象に残っている。琴線にふれる。

そして、多くが『モーリス』と同じキャストだった。

二番煎じ的に見えてしまった、は言い過ぎだけど、

その辺りが、乗り切れなかったことと関係しているのかもしれない。

そういう意味で『モーリス』を先に見ることができてよかった。




人物描写のための器(構成)は、ぐっとくる。(よくわかってないなりだけど)

E・M・フォースターの原作に添う形で

ジェームス・アイヴォリー監督が上手く映像化しているのだと思うが

もう少しポップな演出でも有りじゃないかなと思う。

『エマ』とまでいかなくても、ちょっと自分の頭の中で軽く置き換えて遊んで?みる。

乗り切れなかったぶん、時間を置いて再見する。









2011年01月05日(水) 『プリシラ』CD 『高慢と偏見』


大好きな映画『プリシラ』のサントラCDを

(お正月映画DVDと一緒に)やっと購入した。

アマゾンの価格は、マーケットプレイスで販売されている価格と

倍以上違っていたので、ずっと躊躇していたのだ。

しかし、送付元がイギリスだのアメリカだの

カナダだの海外ばかりなのでややこしそうだ。

(万が一の時はどうするのだ?)

精神的な価値を優先してやっぱりアマゾンで購入。

19曲全ての曲が超キュートで超ラブリー!

映画のシーンとオーバーラップして胸が熱くなる。

ホントに買ってよかった!

心からそう思う。ヘビロテ、ヘビロテ。







『高慢と偏見』Pride and Prejudice 1995年 イギリスBBC制作


ジェイン・オースティンの原作を未読なこと、

見る前の期待値が高かったこと、

あと自分の中のベクトルの向きが違っていた?

それらが要因かもしれない。

佳作であるとは思ったが、アマゾンにつらなるレビューのように

狂喜乱舞?それほどまで熱狂する感覚にはならなかった。

むしろ先に見ていた『プライドと偏見』の良さを再認識したくらいだった。

これは原作を未読なことと関係しているかもしれないが、

『高慢と偏見』でエリザベスを演じたジェニファー・イーリーより

『プライドと偏見』のキーナ・ナイトレイのエリザベスの方が

断然魅力的に思えたし、ダーシーを演じたマシュー・マクファデンという男優さんも

コリン・ファースと比べても(意外だが)遜色ない演技だったと思える。

あとエリザベスの母親も映画版の方が好感が持てる。

BBC版の母親は見ていると魅力を感じるより先に癇が立ってくる。

つまり映画の登場人物全般、キャラクターの魅力を再認識した格好だ。

それに、約2時間の尺の中に上手く構成してあったのだなあとも

(よくわかっていないなりなのだが)思う。

ただひとつ、映画版とBBCテレビ版に共通していたのは

ジェーン(エリザベスのお姉さん)が「すごい美人」という設定なのだけど

どちらもその説明台詞にすがって見た、というところ。



時間を置いて再見する。

BBC版『高慢と偏見』を見た時は、自分の中の「見たいベクトル」の方向が

先に書いたように違う方に向いていたと思う。

再見で感じ方が変化するかもしれない。

コリン・ファースとジェニファー・イーリー、良くも悪くも安定感を通り越しているような。









2011年01月04日(火) 『ラヂオの時間』NHK-BSチラ見


『ラヂオの時間』1997年 三谷幸喜監督


ずいぶん前にDVDを購入し繰り返し見た作品だ。

小気味よく、小技が効いていて(よくわからないなりにそう思った)

ハートウォーミングな様子がすごく好きだった。



深夜に放送されていたので久々に見る。ん? 

かつてのように興奮して見た時の感覚がない。

何だかすごく作り物っぽい、リアリティがない、と感じてしまった。

結論として、この作品は(少なくとも自分的には)

普遍性を内包していなかったのだということ。

面白いとは思う。だけど裏表でわざとらしさもセットで感じてしまう。

だからチラ見になってしまった。

時間の経過と共に変質したのだ。









2011年01月02日(日) 『おとうと』


『おとうと』2009年 山田洋次監督



僭越ながら、さすが「世界が存在している」なあと思う。

予算の関係だか、製作者の力量の問題なんだか

近年の日本映画は、半径1メートル以内のチマチマした

ツギハギという感じがするのだ。

それに比べ、山田洋次監督の作品は安定感があって安心して見られる。

しかし、裏を返せば何かがビシバシ刺さってくる感じでもないということだ。

リアルタイムの物語だけど、登場する若者は年配者が作った

キャラクターのように感じた。

あと「みどりのいえ」に関わる場面にもっとリアリティを感じたいとも思った。

一昔前の教育テレビ的というか、どこかの機関が配布する

指導ビデオちっくなトーンに思えて違和感があった。

曲がりなりにも自分自身が経験しているリアルがあるから、余計そう思えてしまったのかもしれない。

ただ、山田洋次監督作品の見方のツボを自分の中に開拓すれば

違う角度から見て、違う感じ方が出来るような気もしている。

量は質に変わる。寅さんシリーズ作品をピックアップして見る。(かも)









2011年01月01日(土) 元旦映画『ムーラン・ルージュ』BD版


自分恒例のお正月映画のDVDを選定。

アマゾンのお急ぎ便指定で注文し大晦日に受け取った。

一旦は『高慢と偏見』(イギリスBBCテレビドラマ)にしようと思ったものの

ちょっと自分の中のベクトルが違う感じがして

結局BD&DVD2枚組みの『ムーラン・ルージュ』のブルーレイディスクの方を見ることにした。

ブラウン管テレビではあるが、せっかくBD&DVD2枚組みを購入したのだ。

本編に続けて、ブルーレイディスクならではの特典映像バージョンを

再生してみる。しかしすぐに見るのをやめてしまった。

今はゲームチックな画面操作の解説は求めてないことがわかったからだ。

しかし面白いには違いないと思う。時間を置いて再見する。





どちらが作品に忠実なのかという問題は別として

NHK-BSで放送された字幕翻訳の方が情緒が上手く表現されていて感動的だ。

こういう誤差があるからなるべくBD&DVDを先に見ておきたいのだ。

NHK-BSの翻訳の方が良いと感じることが多い。

先にNHK-BSの字幕翻訳の心地よさに馴染んでしまうと

後から購入ディスクを見た時の感じ方の落差が大きくなってしまうのだ。

ま、それはそれ。この作品、ポップで濃密、軽すぎず重過ぎず。

今年のお正月映画に選んで正解だった。

エルトン・ジョンの詩はいいなあ。








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