読書記録

2022年05月30日(月) 私は夕暮れ時に死ぬと決めている / 下重 暁子


 西行の「花に下にて春死なむ」を持ち出すまでもなく、死に方は生き方。
私は夕暮れ時に死ぬことに決めている。暁とともに生まれ、日没そして茜色から茄子紺、闇に変わる瞬間にするりとあの世に身をすべりこませる。


年をとるということは、「減る」ということである。まず、人生の持ち時間が減る。体力が減る。そして、お金が減る。生きていくのに必要なものがどんどん減ってくる  


テレビで見かけた著者はお美しい。
経済的に自立して、自分の人生を生きておられる。

私も常々 女も経済的に自立して、自分の口を自分でまかなうという気持ちを持っていたのに、それが出来ぬまま古希も超えてしまった。
これは誰のせいでもない、私の覚悟が足らなかった、その一言に尽きる。










2022年05月24日(火) 小説8050 / 林 真理子


 歯科医の大澤正樹には中学2年生の時から7年間引きこもりの息子がいる。
引きこもった理由が同級生たちからのいじめが原因だと知って、復讐をしようと告訴することにした。

読みやすいし、何より登場人物の名前が普通にある名前で良かった。

大澤・野口・高井・金井・佐藤・寺本 等々。

フリガナがないと読めないような名前の登場人物は好まない。



雑記

私は誤解していた。

よく言われる 8050 というのは、80代の親を50代の子供が介護することだと思っていた。

違った。

引きこもりの経済的に自立していない50代の子供を80代の親が年金等々で支えていることだった。






2022年05月16日(月) ぬるくゆるやかに流れる黒い川 /櫛木 理宇

  
6年前、無差別殺人で家族を亡くした同級生の栗山香那と進藤小雪。
20歳になった2人は再会し、凶行の動機を明らかにしないまま自殺した犯人の真意を探り始める。

香那は母と妹を、小雪は祖母と母そして妹を、事件で失った。

自殺した犯人は強い女性蔑視と育てられた祖父から虐待を受けていた。

犯人のルーツは ”からゆきさん”に あった。



2022年05月07日(土) 看守の流儀 / 城山 真一


受刑者の自殺。

刑務所内で印刷されている医科大学の試験問題が流出した。

受刑者の健康診断記録とレントゲンフィルムの紛失。

真面目な受刑者の仮釈放審査と満期出所。

出所しても再犯率が高いと予想される受刑者。


性的マイノリティな受刑者のために男子刑務所に派遣された女子刑務官。

それぞれの章のみんな優しい刑務官。



2022年05月01日(日) 不安と折り合いをつけてうまいこと老いる生き方

92歳の精神科医   中村恒子

54歳の精神科医   奥田弘美


対談形式の共著


何といっても92歳という中村先生がすごい。

第二次世界大戦末期、高等女学校で学徒動員の後、たった一人で広島から大阪に向かい、大阪女子高等医学専門学校に入学する。
敗戦後のドタバタの中でインターンになり精神科医になり、結婚もして二人の子を授かる。
が耳鼻科医の夫は大酒飲みで家にお金を入れなかった。
生活のために必死で働く。
子供が独立しても特にすることがなかったから精神科医を続けてこられた。


そして何より死生観。
孤独死もありと言われる。
それは誰にも迷惑をかけない死に方だからと。
コレ、私と一緒。
死後、早くに発見してもらえるようにしておけば孤独死は理想の死に方。

でも今は体力の衰えを感じて自分で手配した施設におられる。
あぁ 素晴らしい。

私も常々考えていることだが、如何せん資金がない。
何で経済的に自立しなかったのだろう。。。と後悔しきり。

中村先生の穏やかな日々を心からお祈りする。  






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