過去日記倉庫(仮名)
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フリフリおれ的わたし的ベスト2007はこちらより


2008年03月20日(木) ペルセポリス(映画)

いちばん行きたい国からハガキが届く幸せ…いいなあトルコ。手書きの外国語の文字にもどきどきしました。スネールメールが届く(かなり)前に友人は帰ってきているはずなのですが。落ち着いたら手紙を書きたい。今回初めて写真のぼかし入れに成功しました。フリーソフトSqueeze使用。探せばあるんだな。

貧乏で節約をしなければいけないんだけど、桜坂劇場でやっているペルセポリスという映画を見に行った。ペルセポリスとはイランの重要な遺跡の名前。ジョン・ゾーンのマサダみたいなものかな。歴史物語ではないんだけど、イラン出身の女性が書いたイラストノベルを映画化したもので、原作をずいぶん前に置いてあったのを覚えていた。絵がかわいいし、作者がほぼ同い年だし、あと春分の日ってイランのお正月らしい。それでモチ上がったというか(笑)お昼から外出しました。早起きしたらひどい頭痛と腹痛があって二度寝したけどな!あれは何だったんだ。呪いか?

時間が短いのか、あれもう終わっちゃうのって感じだった。イランでリベラルな家庭で育った女の子が政情不安で弾圧をおそれて?14歳でウィーンに留学する。いろいろあってボロボロの状態で帰国、結婚するけど続かず再度フランスに出国する所で終わる。白黒で(イントロと最後の場面のみカラー)2次元の単純なアニメーション。なんかちびまる子ちゃんを連想したけど内容まで似てるどうかは不明。キャラは似てるかも。ごちゃごちゃしていない絵が見やすくてよかった。抽象的な表現もあって見入りました。DVDが出たらまた見てみたい。インタビューにもあるけど、これが実写だったら本当によその世界としてしか感じられなかったかもしれないけど、政治背景の解説もすっきりしているし、主人公が政治活動に関わったりするわけでもないので、社会的状況がくわしくわからなくても見れる。それこそが受けている理由なんだと思うけど。

本国では上映禁止になったと言うけど、いかにも欧米受けする内容だなと思った。声の出演でフランスではカトリーヌ・ドヌーブと娘さんのキアラ・マストロヤンニと母娘役でよく共演しているダニエル・ダリューというのもすごいと思ったけど、英語吹き替えもこの二人とジーナ・ローランズ(!)と父役にショーン・ペン、ダンディな活動家の叔父役にイギー・ポップ(!)というのがいかにもという感じがした。(吹き替えの見てみたいなあ…)戦争についても欧米の関与に言及する所もあるけど一言二言だし、何より本筋はマルジャンという女の子の成長の物語で舞台がヨーロッパだしね。

思えば前に紹介した愛より強くに続いてなかなかハードな内容なんだけど、それも漫画の作用で笑って見れる感じ。ウィーンでマルクス君という男の子とつき合っていた頃の描写がすごいおもしろくて、盛り上がってる時はそれこそ昔のフランス映画?みたいなロマンチックな絵なんだけど、それが壊れたとたん王子様だったマルクス君はあばた面のへたれ男になってしまうし、嫌なエピソードばっかり後出ししてるし、その極端さがありがちで笑ってしまいました。

実際はそのどちらでもないんだろうけどね。(というか、どちらでもあるのか)結婚した時も同様で、その辺の女語り的なのが国籍問わず幅広くアピールするんだなと思った。もう愛してないから離婚したいけどどうなんだろうと祖母に相談する所で、私はイランで最初に離婚した女だよ、離婚したって命まで取られないんだからと元気づけてて、へーすげーと思ったんだけど、映画が終わった後で、映画とは別に作者が出したエッセイ集を立ち読みしたら祖母は結婚3回してるって書いてあってもっとびっくりした(笑)。祖母すげえ。このエッセイも漫画でおもしろそうだったなー。タイトルが実はすごいんです…

自分としては、ウィーンで寮とか知り合いの家を転々としながら過ごした破天荒な(笑)時期についてもうちょっと見たかった。哲学書とか読んで理解したけど、ちょっとした習慣とかカルチャーギャップはどうしても受け入れられなかったとか、私も似たような経験があったので、そういう細かい所が知りたかったですね。原作を読めばいいのかも。しかし14歳って本当に多感で繊細な時期なので、そこで異文化に放り込まれたり恋愛に失敗したりするととてつもないダメージを被る可能性がある。差別もあるし大変だったでしょうね。

最終的には失恋のショックでホームレスになって(涙)体も壊して帰国するんだけど、静養しながら、戦争で生き延びて活動家の家族を失ったりした私がこんな平凡な失恋のために死んでたまるか!って立ち上がる所がすげえなと思ったね。失恋で死んでもいいけどなあ(笑)その辺が誇り高い民族って感じなのだろうか。そこで流れるのがロッキーの有名なEye of the Tigerっていう曲でぐっときましたね。ロック好きっていうのがまた共感する所かな。子どもなのに市場で立ち売りしてる男からピンクフロイドではなくアイアンメイデンのカセットを買って(笑)家でかけてエアギター大興奮っていう場面もよかった。それを許してるのもなかなか得難い環境だなと思うけど。うーん、ロック重要だな。

また自分が気になるのは、マルジャンが生まれたその時点で家がだいぶリベラルだったということで、その親御さんとか祖母様のこととかもっと知りたかったですね。もともと昔はそういう自由が許された社会だったということなんだろうけど、イスラム文化についてそんなに書き込まれてなくて、ごはんとか行事とかそういうディテールが知りたかったんだけど、あんまり見れなくて残念だった。うちみたいにへんてこりんな家だったりして。

またぜんぜん関係ないんだけど、巡回しているブログでたまたま紹介されていたタイのセックスワーカーについての本を思い出した。職種とか南北問題(経済格差)的な所は置いて、伝統文化が近代化で衰退・変化していく中で女の人がどう生きて行くかっていうのが意識されて、興味がわいた。なかなかナイスタイミング。ぐぐった中でヒットしたTalpidae様のレビューも非常におもしろかったです。こうやって見てみると同じアジアの仏教圏?でも日本とは決定的に違った文化で、風景も変わって見えてくるもんだなと思う。沖縄だとまた違ってくるんだろうね。


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