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2008年03月21日(金) Smile / BORIS (感想メモ)

      

BORISのSmile聴いております。感想がぽつぽついろんな所で読めるようになってきたんだけど、やっぱりこれがどんなアルバムかひとことで言い切るのは難しい。まだ十分大きな音で聴いてないっていうのが一番の理由か(笑)。先にインタビューを読んでたんだけど、正直あんまり中身には期待できないかもなあって思ってた。

なんだろう、アートワークとか言ってることもねじれすぎというか、まあ何やっても自由だとは思うんだけど、Atsuoさんには素直に(笑)ハッタリかましてほしかったしBorisにはわくわくさせてほしかったんだよなあ。あと石原洋さんつながりで、どうしてもゆらゆら帝国の空洞ですと比べながら聴いてしまいますよね。どんづまりをどう突破するのかという所で考えると、ゆらゆら帝国の方が新しい方法をしっかり獲得していてそのありさまも作品としてすばらしく、訴える力があると思う。まあでもそんなことはこのアルバムに限らないし、どうでもいい。私はファンなのでBorisならではの表現の軌跡をどこまでもたどっていきたいと思うだけだ。

簡単な感想を書くと、小賢しいという批判もあったけど、確かにノイズの入れ方とか編集とかが凝っていて、前作のPINKHeavy Rocksと比べてすらっと聴けない作品になっている。リフの消滅。打ち込みとかボーカルのミックスの仕方とか、端的に言ってライブでそのままは再現できない形が多いと思った。従来の大文字ボリスBORISの作品は曲の形式も定型を壊すことなく、録音のアレンジのままでライブという感じだったんだけど、実験的な小文字ボリスborisの要素がかなり入り込んでいる。もちろんPINKの後のSUNN O)))や栗原ミチオさんとのコラボレーションの影響もあると思う。ライブの演奏と違いをつけるっていうのも今回のテーマなのかなあと思ったけどどうだろう。

またwikiのページで初めて知ったんだけど、海外レーベルのSouthern Lord Recordsのと曲順が違うんだよね。1曲目が花、太陽、雨メッセージもアルバムとは違うバージョン。ドラムを抜いてスカスカの打ち込みではない、オーソドックスなアレンジのシングルバージョンなのかなあと思って、試しにiTunesでセットリストつくってみたんだけど、心なしかこっちの方がストレートに流れる感じがしたんだよね。まあ名曲を頭に置く効果っていうことなんだろうけど。

上のインタビューでも語られていた、先に想定された形に近いのがSouthern Lord Records盤で、それを日本人向けにねじり加工(笑)したのがこの黄盤なのかなと思うと、やっぱりちょっとげんなりする感じもある。コンプレックスが強いのかなあ…自分らはニセモノって言うけど、じゃあホンモノって何なんだよ。ジャケットも、最近出た似たようなアルバム(上のジャケは愛唄っていういかにもなタイトルのシングルコンピ)と並べると見事にまぎれておもしろいんだけど、これまでのfangsanalsatanならではの美しい作品とは決定的に違うような気がする。おもしろいんだけど、なんかちょっとがっかりという…その手に乗りたくない、こんなメッセージ渡されたくねえよっていう気持ちかな。まじで無音のライブとかされたら暴れますよ私(炎)。ケージを気取ってどうするんだ、ロックだろ。ファンだったら暴れるよ。

ただギターの音作りとか音響的な部分はやっぱり先鋭的で、ノイズとかドローンとかはすばらしいです。歌詞もすてきだし。小文字boris名義でやっていたようなリリカル&フォーキーな要素とが渾然となってフリークとかキメラとしかいいようのない奇妙な生き物になっている。詳しい方によるとギターにいくつもトラックを使ってるんだという話なんだけど、要するにギターの音のスペースを広く使ってるってことなのだろうか。そこだけ肥大しているというか。しかもわざとつぶしたりとか音の響き方が変につくられている。近年爆音轟音へヴィなロックというのが浸透して?イージーリスニング化している(今Borisのシングルがビルボード入りってニュース見たけど、その上のIsisとか、それこそBGMで流しても平気なのもあるねe***とかさ)ヘヴィロックとは決定的に違いがついている所だ。この辺がむしろ柱なんだろうけどまだ詳しくは書けません…もっと大きい音で聴いて考えたいと思います。

今回の歌の扱い方についても、もうちょっと聴いて考えたい所なんだけど、歌謡曲っぽいというのは、もともとそうなんじゃないだろうか。私はどっちかというと特にHeavyRocksなんかはアニソンだよな!と思ってる(笑)。そうではなくて、90年代以降のJ-pop的な要素があるかどうかというのはよくわからない。まあ洋楽のロックも系統立てて聞き込んでいないのでロック自体よくわからないんだけど、表現者としては普通の70~80年代育ちの日本人であると言うしかないんだろうと思う。音楽ファンとしてはすごくマニアックな趣味だったりするんだろうけど。

あと、PYGのカバーの花、太陽、雨なんだけど、この曲は去年後半なんどとなく聴いてて覚えちゃったのでとても気になる所があって、一カ所歌詞が違うんですよ。前半ネガティブな言葉を連ねて絶望に暮れる所に間奏をはさんでちょっと日が射すように、あの明るい美しい世界に近づいていこうみたいな展開になるんだけど、太陽もある その世界 っていうフレーズが、前半と同じ「この」世界って歌われてるんだよね。

私としては、PYGのオリジナルを聴いて歌詞を取りながら、この期に及んで「その」(「この」と比べて距離を感じるので)なのかよ…暗いなあ〜でもそれが肝なのかもな!と思えたんだけど、それをそのまま歌わないのはどういうことなのかなっていうのが気になってしょうがない。前のwithメルツバウのライブ盤でもそうなのかなあ。実際にメンバーの方にお会いできるならきいてみたいことではあるね。YouTubeの沢田研二甲斐よしひろとか見るとちゃんと区別して歌ってるんで、意味がある所だとは思うんだけど、細かいかしら。意味があって変えてるんならその事情を知りたいし(ライナーには歌詞が載せられていない)、単なる間違いだったらがっかりだなあ。どっちなんだろ。

まあそれはそれとして、脱線すると、この沢田研二のライブ映像は今見つけて感激でした。イントロがロマンチックな感じになってるね。ボーカルもシングルの歌い上げバージョンっぽい。私はアルバムのちょっとシニカルな感じの方がぐっとくる。またアルバムバージョンは間奏後の悲しみの日を 喜びの日に っていうフレーズを一行先取りして、2回歌ってるのがいいんだよねー。このライブではやってないけど。この間奏で3人ギターが前に出てユニゾンしてるのにびっくりしました。

あとBorisの人にききたいことは、髪型は別にいいんだけど(笑)MySpaceのWataさん分割映像って一体何がしたいんだよと。ギター持ってないんだぜ。まあこんなことできるんだ!すごいなーとは思ったけど、自分のしょぼいパソコンでは同時ストリーミングが不可能であんまり意味がなかったです。て6画面同時進行って可能なの?いやその前に一体何が(略)…ああもうつっこみたい(笑)。


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